新潟市にある山田コンサルティング事務所

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「生活動力2013」発表会

2013年05月27日 | 見聞録
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

先日、「生活動力2013」発表会を聞いて来ました。
「生活動力」発表会とは、毎年、新潟商工会議所と株式会社新潟博報堂により開催されている講演会です。

博報堂といえば日本を代表する広告代理店ですが、効果の高い広告をつくるには「世の中の人々」のことがわからなければいけません!ということで、生活総合研究所という研究機関を持っています。そして、「世の中の人々」を知るための調査を行っており、そのデータやデータをもとにした未来像を提言として発表しているのです。

今年のタイトルは「総子化~そうしか」。
日本が高齢社会、長寿社会であることは周知の事実ですが、それって、つまり、大人であっても(親の)子どもであるという人が大勢いるってことだよね?…という点に着目した考察です。

成人までの20年は名実ともに「子ども」ですが、その後、親が健在である「大人だけど(親の)子ども」という期間が、実に40年もあるという…。つまり、多くの人が「子どもとしての自分」を持ちながら長い期間を生きるわけです。

一方、社会情勢に目を転じると、成長経済の時代は終わり、すでに成熟経済の時代。世の中は不安定で不確定。成長経済の時代には合理的だった核家族とは異なる家族関係が生まれているのでは?
どうやら旧来の家制度とは違う、自らが望んでの親・子・兄弟・孫のつながり、新たな連携があるようです。

となると、核家族社会を前提に開発された商品やサービスは、当然その姿を変えなければ生き残れない。そこに新しい市場の芽があるといえます。

例えば、成長経済・核家族の時代には「食の外部化」が進み、外食・個食ということが言われました。それが今(今後)は、イエ食・大勢食へ。
みなさんのまわりで、あるいは、みなさん自身、近ごろ「親戚みんなで集まってバーベキュー!」なんてこと、増えていませんか?

そのせいなのかは不明ですが、アウトドア用品を扱うお店で、バーベキュー用品が、今までは売上が夏に集中していたのだけれど、ここのところ春の早い時期から秋まで売れるようになったのだそうです。

コンサルティングをするうえでデータはとても重要で、世の中のトレンドを知ることも欠かせません。ですから、私は毎年この発表会を聞きに行っています。「人々がどんな暮らしへと向かっていくのか」を知ることで、新しい市場を考えるヒントが見えてきます。消費者を相手に商売をしている方や、消費財をつくっていらっしゃる方にもヒントになることがたくさんあると思います。来年、機会がありましたら、お出かけになってみてはいかがでしょうか。

【ご参考】 生活総研ONLINE

紹介:山田まり子

給与は最低賃金以上ですか?

2013年05月19日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
最低賃金には、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金があります。
・地域別最低賃金は、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。新潟県は平成24年10月5日から689円です。
・特定(産業別)最低賃金は、特定地域内の特定の産業について設定されており、全国で244件(平成24年10月1日現在)の最低賃金が定められています。

今回は、給与が最低賃金以上になっているかどうかを確認する方法をご紹介します。
1.時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
2.日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
3.月給制の場合
月給÷1か月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金は除外されます。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)、②1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)、③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)、④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)、⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)、⑥精皆勤手当、通勤手当および家族手当

【月給制の場合の換算方法:○○県で働くAさんの場合】
○○県で働くAさんは、月給で、基本給が月90,000円、職務手当が月25,000円、通勤手当が月5,000円支給されています。また、この他残業や休日出勤があれば時間外手当、休日手当が支給されます。M月は、時間外手当が35,000円支給され、合計が155,000円となりました。
なお、Aさんの会社は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は7時間30分で、○○県の最低賃金は時間額695円です。

Aさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
(1)Aさんに支給された賃金から、最低賃金の対象とならない賃金を除きます。除外される賃金は通勤手当、時間外手当であり、職務手当は除外されませんので、
155,000円-(5,000円+35,000円)=115,000円

(2)この金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較すると、
(115,000円×12か月)÷(250日×7.5時間)=736円>695円
となり、最低賃金額以上となっています。

【日給制と月給制の組み合わせの場合の換算方法:△△県で働くBさんの場合】
△△県で働くBさんは、基本給が日給制で、1日あたり4,600円、各種手当が月給制で、職務手当が月25,000円、通勤手当が月5,000円で合計30,000円が支給されています。M月は、20日間働き、合計が122,000円となりました。なお、Bさんの会社は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は8時間で、△△県の最低賃金は時間額730円です。

Bさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
(1)Bさんに支給された手当から、最低賃金の対象とならない賃金の通勤手当を除きます。
30,000円-5,000円=25,000円

(2)基本給(日給制)と手当(月給制)のそれぞれを時間額に換算し、合計すると、
基本給の時間換算額:4,600円÷8時間/日=575円/時間
手当の時間換算額:(25,000円×12か月)÷(250日×8時間)=150円/時間
合計の時間換算額:575円+150円=725円<730円
となり、最低賃金額を下回ることになります。

出所:厚生労働省のリーフレットより

このようにして、給与が最低賃金額以上になっているかどうかを確認します。

紹介:山田 透

割引するなら

2013年05月13日 | 販売・接客
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

そば・うどんのチェーン店で食事をしたときのことです。立ち食いではないものの、ファーストフード的な簡素なつくりのお店でした。何を食べようか、メニューを見ながら選んでいると、店員さんが「このメニューは、きょうはお得です!」と、あるメニューを勧めてきました。50円安くなるのだそうです。私は、勧められたメニューを注文しました。

他に食べたいメニューがあったわけでもなく、正直、何でもよかったので、安くなった分、得をしたのですが、でも、これって、なんなの?

店内では、他のお客さんにも同じように割引メニューを勧めていますが、どのお客さんも「ああ、そうなの?」という感じです。割引の事前告知(例えばチラシやクーポン券の配布)をしているようには見えませんでした。

お店に入る前に割引のポスターや看板は見当たらなかったように思い、帰り際にもう一度確認しましたが、普通のメニュー表が壁にかかっているだけで、割引に関する情報はありませんでした。

何のために割引をしているのでしょうか?

割引というのは、利益を落としても、販売数量が増えることによって利益を増やすという作戦です。割引をしていつもと同じ数量しか売れなければ、確実に利益が減ります。

ですから重要なのは、割引をしていることを知らせることによって販売数量を増やすこと。飲食店の場合であれば、来店客数を増やすことです。

割引をするときには、その結果、いつもより何人多くの人に買ってもらう必要があるかを計算しましょう。

例えば、
・350円のうどんを50円割引する
・普段は100個売れている
・原価率は30%(105円)である
ということであれば、
(350円-105円)×100個=24,500円(粗利)
★これを50円割引すると…
24,500円÷(300円-105円)≒126個

普段、100個売れているうどんを126個売らなければ、同じ利益を確保できません。つまり、お客さんが26人増えなければいけないのです。

冒頭に紹介したお店であれば、お店の前に目立つようにポスターや看板を出して、他店で食べようと思っていた通りがかりの人を「おっ、きょうは安いのか。じゃあ、この店にするか。」と入店させる工夫が必要です。あるいは、人の流れの川上に行って、割引情報を伝えるなどの方法もあるでしょう。

来店客を最低でも100人から126人に増やすには、何をしなければいけないか。しっかり考えてから割引をしましょう。

著作権:山田まり子

車両事故に対する損害賠償

2013年05月07日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
従業員が、勤務中、会社の車を運転している途中に交通事故をおこしました。けがは労災保険を使用し、事故については自動車保険を使用するにしても、事故を起こす従業員はある程度決まっているようです。一事故についてペナルティとして1万円から20万円を徴収して事故の予防を図りたいと考えた場合、どのような点に注意が必要か考えてみましょう。

労働基準法第16条に賠償予定の禁止があります。内容は「使用者は労働契約の不履行について、違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはなりません。」という条文です。
違約金とは、契約不履行について不履行者がその相手方に支払う金銭のことであり、実害の有無にかかわりなく取り立てることができるものと解されます。こうしたことから、従来労働者のあしどめ策に利用され、労働者の身分を拘束する作用をしていました。

損害賠償額の予定とは、債務不履行の場合に賠償すべき損害額を実害のいかんにかかわらず一定の金額として定めておくことです。すなわち、賠償予定の禁止とはあらかじめ金額を定めておいてはいけないということです。
これは、損害賠償請求まで禁止しているわけではなく、現実に従業員の労働契約違反により損害が生じた場合は、その損害の賠償を請求することは可能です。

故意や重大な過失により会社に損害を与えた場合は、損害賠償として○万円支払うといったような取り決めはあらかじめ損害賠償額を決めているので賠償予定の禁止違反になります。冒頭の事例はこれに該当するので、金額の明示はできないと言うことになります。

実際に損害を受け賠償させる場合、過去の裁判例では通常、賠償させられるのは一部だけで、全額の賠償は難しいとされています。なぜなら、事業活動で利益を得ているのは会社であり、事業活動によって利益を得ていながら、発生した損害の全額を従業員に負担させるのは適当ではないという考えからです。会社の指示で業務を行っており、損害が発生する可能性のある仕事をさせている(危険を作り出している)のは会社であるから、会社にもある程度の責任があるという考えです。
以上のことから、発生の予想される損害について、従業員にだけ責任を負わせるのは酷であって、会社も一定割合の損害を分担すべきとされています。

損害賠償の負担割合は、次のように従業員の不注意の程度によって異なりますので、事故が発生した際には、従業員とよく話し合い、損害の負担割合を決めていけばよいと思います。
●軽度の過失(些細な不注意)によって発生した損害については、事業活動のコストとして損害賠償の請求はできません(アルバイトがお皿を割るようなケース)。
●通常予想されるケース(軽度の過失)を超えている場合は、従業員に損害賠償責任が生じます。ただし、この場合、賠償させられるのは裁判例によると、損害額の25%程度です。
●故意又は重大な過失の場合、横領・窃盗・背任など従業員が故意に発生させた損害については、全額賠償させることが可能です。
また、従業員の飲酒運転や違法行為など、通常では考えられないような事故によって損害が生じた場合は、会社は相当の賠償を求めることができます。

損害賠償の負担割合の決定
損害賠償の負担割合は主に過失(不注意)の程度によって決定されるのですが、この他にも、事業の性格、規模、施設の状況、従業員の業務内容、労働条件、勤務態度などの諸事情によっても左右されます。

あたりまえのことですが、損害賠償よりも、安全対策や従業員教育、リスクの分散を考えるべきと思います

著作権:山田 透