新潟市にある山田コンサルティング事務所

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時間外労働と代休

2011年02月28日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
ライフ・ワーク・バランスの一環として、残業時間を代休で相殺することで、健康で豊かな生活のための時間の確保ができる企業運営を図ろうと考えています。このことを実行するについて、労働基準法上問題がないか検討していきたいと思います。

「代休」と「振替休日」の関係について復習します。
「代休」とは、休日労働や残業が長時間行われた場合に、その代償措置として以後の特定の労働日の労働義務を免除するものです。
「振替休日」とは、あらかじめ休日と定められた日を別の日に振り替え、その代わりに、あらかじめ休日と定められていた日を労働日(出勤日)とすることです。このように、事前に振替休日をした場合は、本来の休日と労働日を入れ替えたことにより、休日労働としての割増賃金の対象にはなりません。
「代休」と「振替休日」とは、すごく簡単に要約すると割増賃金が発生するか否かという違いがあります。

例えば、1日の所定労働時間8時間の会社で、残業時間が8時間を超えたとき、月1回に限り本人の希望で休める代休制度を創設しようとしました。
労基法上は、時間外労働割増賃金が法定どおり支払われ、かつ、残業時間と代休を相殺することを労使間で定めている場合には、特に問題はないものと思われます。

土曜日と日曜日が休日の会社で、土曜日に8時間勤務させ、月曜日に代休(就業規則で無給と定めている)を与えた場合について考えてみます。
土曜日の8時間の勤務に対しては割増賃金を含めて8時間 ×125 %の賃金を支払った場合、月曜日の代休に対しては、1日分の賃金(8時間 ×100 %)を差し引くことができます。その結果、一給与計算期間で見たときには、通常の賃金は支払われることになり、かつ、2割5分の割増賃金も支払われることになります。

同一の給与計算期間中に代休が取得され、2割5分増の割増賃金を支払う限り、法律上特に差し支えないものと考えられます。
労使間で合意していても、個々の労働者が代休を取得する意思がないのに一方的に代休として取扱うなど、従業員の意思に反して残業時間と代休を相殺することはできません。従業員が代休を取得するかどうかの選択権を有し、また、代休を取得しない場合には、割増賃金だけでなく通常の賃金も支払うようにすることが必要です。
代休は法律で規定されている制度ではなく、労使の合意に基づく制度ですので、運用に際しては、十分注意をして下さい。

著作権:山田 透

四十坂(しじゅうざか)

2011年02月21日 | 雑記
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。
きょうは徒然なるままに…雑記でございます。

「四十の坂は手ぶらじゃ越せない。手ぶらで来るな。」と、昔、一緒に会社をつくった仲間に言われました。当時、私は20才代後半、彼女は40才を過ぎたところ。
意味もわからないまま、しかし、ずっと心に残っていた言葉です。

その後、悩んだり、あるいは周りの人の振る舞いを観察したりしたときに、この言葉を思い出すことが増え、歳を経るごとに、うっすらその意味がわかってきたように思います。

30才の坂は勢いで越せる。…と思います。
私の世代が30才前後のころは、フリーランスになったり、海外留学したり、学校に入って勉強し直したり、といったことが多かったように思います。

しかし、40才の坂は、それまでに積み上げた生活や仕事を背中に負いながら、新たに両手で何かをつかみ取らないと越せない。…ような気がします。

積み上げたものを背負いつつ新たな一歩を踏み出すというのは、この年齢になると億劫な気持ちが先に立ち、なかなか決心がつかず、始めても継続がむずかしい。今までの延長で生活できないわけでもありませんし。

今までのすべてを捨てて、というのなら、いっそ簡単かもしれませんが、それは30才の坂の越え方。三十の坂というのは、そもそも捨てるほどのものを持っていませんから。だから、勢いで越せるんじゃないかと思います。

中小企業診断士の資格を取得して開業したのが44才のとき。
私は四十の坂を越えられたのでしょうか。
それとも、まだ越えている最中でしょうか。

著作権:山田まり子

継続雇用の労使協定

2011年02月14日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
平成18年4月1日に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高齢法)の改正により、65歳未満の定年を定めている事業主は65歳までの安定した雇用の確保するため次の(1)から(3)のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じる義務が発生しました。
(1)定年年齢の引き上げ
(2)60歳定年後における再雇用(継続雇用)制度の導入
(3)定年制度の廃止

(1)の場合は、定年を65歳以上にするか、定年を60歳以上65歳未満のいずれかに定め、その後(2)の継続雇用制度を導入する方法です。(3)の定年の廃止は文字通り定年制を廃止するので、退職と年齢は関係なくなります。
さて、この(2)60歳定年後における再雇用(継続雇用)制度の導入では、希望者全員とする場合と、再雇用する際に基準を設ける場合があります。
定年後再雇用時に基準を設ける場合は、原則として従業員代表と労使協定を結ばなければなりません。基準の内容については、労使で十分話し合って決めます。
例えば、①定年後も働く意思がある、②無断欠勤がない、③健康状態に問題がない、③人事考課で平均B以上である、などです。

しかし、特例として、労使協定締結の努力をしたにもかかわらず協議が整わないときに限って、就業規則などで定めることで基準を設けることが可能とされていました。
就業規則の作成は、法令を下回らない限り、経営権の作用の一つとして使用者が一方的に作成することが出来ます。作成・変更については、労働者への周知、意見聴取(同意ではない)、労働基準監督署への届出という3つの手続が必要です。
一方、労使協定は、労働基準法、高年齢雇用安定法、育児・介護休業法で定める事項のいずれかについて、事業主と従業員の過半数代表者とが協議して決めて、締結内容を書面にした契約事項のことをいいます。

この特例は時限的なもので、中小企業の場合は平成23年3月31日までです。(大企業は平成21年3月31日で終了しています。)
現在、労使協定を締結せず再雇用の基準を設けている場合は、労使協定を締結するため、従業員側との協議を行ってください。定年後の再雇用基準を設ける場合は、平成23年4月1日より必ず労使協定を締結しなければなりませんので、注意が必要です。

著作権:山田 透

ブランド力の向上

2011年02月07日 | 経営
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

ブランド力をアップしよう!とか、ブランド構築、ブランド確立、ブランディングなどなど。『ブランド』という言葉はよく聞きますし、ご商売をされている方なら「うち(の店)もブランド力をつけないと」と思われているのではないでしょうか。
そこで、きょうは『ブランド』についてお話ししたいと思います。

■ブランドとは
brand。もともとは、家畜に押す焼き印を意味しました。昔、ヨーロッパで家畜を放し飼いにしていて、牛やら馬やらがあっちへこっちへ。隣の家の牛と混ざっちゃったり、遠くへ行って迷子になったり。そんなとき、「この牛は、俺んちの牛だぞ~」というので、目印として焼き印を押したのが始まりのようです。

きっと、その後、「この焼き印がついている牛の肉は、いつも美味しいなぁ~」とか何とか、品質の目印になっていったのではないでしょうか。時代がくだるとともに、品質や銘柄を表すようになりました。そして、今では“商標(トレードマーク)”という形で法的に保護することも可能なものに。

■ブランドの機能
ブランドには以下の機能があります。
出所表示機能…どこの商品かわかることで選びやすくなり、繰り返し購買する
品質表示機能…商品の品質、価値などが判断され、品質判定基準がつくられる
宣伝広告機能…イメージや評判を向上させ、顧客からの信頼を得たり、ステイタスになる
資産価値機能…ブランドが持つ資産価値のことで、収益性の向上に貢献する(信頼感や知名度など無形の価値)

どれも大事な機能ですが、私は「宣伝広告機能」の「ステイタスになる」というのが、ブランド力向上のポイントではないかと思っています。

ステイタスになるというのは、例えば、本人がベンツに乗っていたり、ロレックスの時計をはめていたりするときに、「すごいね」とまわりから思われること。これが一般的なイメージだと思います。

しかし、私がブランド力向上のポイントとして考えるステイタスは、ちょっと違います。

私が友人の家にお招きを受け、手土産に何を持って行くか。例えば、虎屋の羊羹や鶴屋吉信の京観世といった皇室御用達の和菓子を持参したとします。すると、先方はお菓子を受け取って、「さすが山田さん、お目が高い」となる。こういうステイタスです。

飲食店でいえば、「和民に行こうか」の「和民」もブランドですが、和民に誘われて「さすが山田さん」とは誰も言ってくれません。(和民さん、ごめんなさい。単なる例です。悪気はありません。)

もちろん、TPOにあわせて…ということが大事ですから、何でもかんでも高級路線がいいということではありません。
ただ、中小や個人のお店屋さんなどがブランド力の向上を考えるときに、どのような方向を目指せばいいか悩みますよね。そんなときに、この「ステイタスになる」という要素は、いいポイントになると思います。

ブランド力アップ!と叫んでみても、何をどのようにがんばればブランド力が向上するのか。自店(自社)のコンセプトに照らすとともに、この「ステイタスになる」というポイントを意識してみてはいかがでしょうか。

著作権:山田まり子