新潟市にある山田コンサルティング事務所

◆ お問合せは、電話:025-223-3097 ◆

法定休日(2)

2010年11月29日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
前回(11月15日)に引き続き、改正労働基準法における法定休日の取り扱いについて説明していきたいと思います。平成22年4月1日に労働基準法が改正されました。今回の改正に伴い、その割増賃金について厚生労働省から公表された改正労働基準法の質疑応答があります。
その中から「法定割増賃金に関する事項」について見ていきます。

厚生労働省が作成したQ&Aは下記の内容です。
【Q】
①日曜日及び土曜日の週休2日制の事業場において、法定休日が日曜と定められている場合、日曜に労働し土曜は労働しなかった場合も、割増賃金計算の際には日曜を法定休日と取り扱い、日曜の労働時間数を通常の時間外労働の「1箇月60時間」の算定に含めないこととしてよいか?

②法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜及び土曜の両方に労働した場合、割増賃金計算の際にはどちらを法定休日労働として取り扱うこととなるのか?

③4週4日の変形休日制をとっている場合はどうか?

【A】
①法定休日が特定されている場合は、割増賃金計算の際には当該特定された休日を法定休日として取り扱い、通常の時間外労働の「1箇月60時間」の算定に含めないこととして差し支えありません。

②法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)のうち、土日いずれかを労働させた場合、他の休日が自動的に法定休日として特定されることになります。
また、上記の場合で土日の両方を労働させた場合は、当該暦週(日から土)において後に位置する土曜日の労働が法定休日労働になります。

③4週4日の休日制を採用する事業場においては、4週で4日の休日であれば、すべてが法定休日になります。4週で8日の休日ある場合は、休日に労働させたことにより、それ以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働になります。具体例でいいますと、休日の8日間を全部出勤したとします。最初の4日間の休日は、通常の時間外労働としてカウントされ5日目以降8日目までの休日が法定休日労働になります。

労働基準法における1週間とは、単に7日間を意味するのか、暦週の日曜日から土曜日までを意味するのか、必ずしも明確になっていません。この点については行政通達では、「日曜日から土曜日まで」または「月曜日から日曜日まで」等、当該事業場における就業規則その他において定めるところによるとしています。ただし、「就業規則等に別段の定めが無い場合は、日曜日から土曜日までの暦週をいうものと解される(昭和63・1・1基発1号)。」という通達が出ています。

法定休日については、割増賃金を計算する際、休日労働に該当するのか否を明確にするため、あるいは割増賃金の計算を簡便化するためにも、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことがよいでしょう。労使のトラブルも防ぐためにも、法定休日を定めたほうがよいようです。

就業規則に規定する場合の例を挙げておきますので、参考にしてください。
【例】
①毎週日曜日を法定休日とする
②毎週土曜日を法定休日とする
③その週の最初の休日を法定休日とする

著作権:山田 透

コンセプトの威力

2010年11月22日 | コンサル日記
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

先日、創業支援を行ったお店がオープンしたというので、様子を見に行きました。店頭には開店を祝うお花や鉢植えなどが所狭しと並べられ、店主の交友関係の広さを物語っています。

しばらくの間、開店前後のお話を聞いたり、お店に並んでいる商品を見せてもらったり。すると、大事なことを思い出したように、突然、『先生、コンセプトのおかげでお金が借りられたんです!』

店主がいうには、自己資金は一定程度あったものの、商品の仕入に予想以上の資金がかかり、また、開店設備(工事)を助成する補助金を申請し、審査は通ったけれど、実際に補助金を受け取れるのは工事などの支払いを済ませたあとになるため、資金繰りが困難になったとのこと。

実は、私のコンサルティング(創業支援)を受ける前に、銀行に借入の相談をしたのだけれど、店主自身のいろいろな事情も重なって、そのときは断られたのだそうです。

しかし、ようやく開店までこぎつけたのに、ここで諦めるわけにはいかないというので、以前断られた、その銀行にもう一度、借入の申込みに行ったら、「では、面接をしましょう」と。

『先生、コンセプト・シート(=私がお渡しした、コンセプトを考えるための枠組みを記した用紙)にしっかり書いたから、面接で何を聞かれてもちゃんと答えることができて、銀行の担当者もそこまできちんと考えているのなら…ということで、借入ができたんです。』

もちろん、他にも要因はあると思いますが、店主が事業に対して強い熱意をもっていること、そして、それをきちんと他者に説明できることが重要なのだと、コンセプトの威力を再認識した出来事でした。

著作権:山田まり子

法定休日(1)

2010年11月15日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
今回と次回は、法定休日を取り上げたいと思います。

【法定休日】
法定休日とは労働基準法に定められた休日のことで、毎週少なくとも1回、または4週間に4日以上与えなければならないとされている休日です(労働基準法第35条)。

法定休日は仕事をする必要のない日として必ず与えなければなりません。また、その法定休日に働かせる場合は、別途休日労働の賃金を支払う必要があります。
法定休日は曜日を特定することは求めていませんので、企業の都合で自由に決めても差し支えありません。また、一斉に付与する必要もないので、各労働者の休日を異なる日に指定すれば、シフトを組んで年中無休などの稼動も可能です。週休制でない場合の法定休日は4週間に4日休日の変形休日制を採用しなければなりません(労働基準法第35条第2項)。

変形休日制というのは2週ごとに2日の休日を指定したり、4週ごとに4日の休日を指定したりして、トータルで4週に4日の休日を与えればよいものです。変形休日制は年間を通じて行うことも、特定の期間、例えば繁忙期だけ行うことも可能です。
ただし、変形休日制の場合には、4日の休日を与える4週間がどこから始まるかを明確にしておく必要があります。この起算日は、就業規則やこれに準じるものにその4週間の起算日を明記することが義務付けられています(施行規則第12条の2第2項)。

【法定外休日】
法定外休日というのは、法定休日以外の休日のことです。法定休日を日曜日と決めた企業で週休2日を採用している場合、その週の日曜以外(例えば土曜)の休日が法定外休日になります。他に、国民の祝日やお盆休み、年末年始休暇などを休日としてる企業では、それらも法定外休日になります。法定外休日は通常は就業規則などに明記しますが、別段決めなくても労働基準法に違反することはありません。

ところで、平成22年4月1日より労働基準法が改正されています。改正労働基準法では、1か月に60時間を超える時間外労働をさせた場合は、5割以上の割合で計算した割増賃金を支払わなくてならないことになりました。

このことを踏まえて、賃金の割増率について整理してみますと…

通常の時間外労働2割5分以上の割増率で計算しますが、時間外労働が60時間を超えた場合は、5割以上の割増率で計算することになります。そして、法定休日に労働させた場合は通常の時間外労働にはならず、休日労働として3割5分以上の割増率で計算します。

つまり、60時間を超えて労働させる時間数が多い企業は、通常の時間外労働にはならない休日労働の時間数を多くした方が、金額を低く抑えることができます。そのため、この法定休日をいつにするかが問題点となってきました。
次回は、改正労働基準法における法定休日の取り扱いについて説明していきたいと思います。

著作権:山田 透

深夜勤務と健康診断

2010年11月08日 | 労務
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
コンビニエンスストアや24時間営業する飲食店、あるいは医療関係や介護関係など深夜勤務に従事する場合、健康診断はどうしたらよいかについて考えていきます。

定期健康診断を受診しなければならない労働者は、通常の労働者のように期間の定めのない者のほか、パートタイマー等の短期間勤務者であっても雇用期間の定めのない者、定めがあっても期間更新で1年以上継続勤務している者、あるいは契約更新により1年以上使用されることが予定されている者で、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間数の4分の3以上である者が対象になります。

深夜労働従事者とは、所定労働時間の全部又は一部が深夜時間(午後10時~午前5時)にかかる労働者のことをいいます。深夜労働従事者を雇用する事業主は、半年に1回、年に2回定期健康診断を実施する必要があります。

深夜業、坑内労働等の特定の業務(労働安全衛生規則第13条で規定する)に従事する労働者には、6か月以内ごとに1回定期的に健康診断を行うことが安衛則第45条で義務づけられています。内容は定期健康診断の検査項目と同じですが、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査および心電図については、前回(6か月以内)にその項目について健康診断を受けたものについては医師の判断で省略できるなどとなっています。

さらに、深夜業を含む業務等に常時従事する短時間労働者については、上記の「1年以上継続勤務」の「1年」を「6月」と読みかえることとなっています。したがって、期間の定めのない契約、6か月以上の契約、6か月以上の雇用の見込みがあれば、この年2回の健康診断に対象になると思われます。

深夜業の回数については、特に規定はありません。
回数については、平成12年4月1日から深夜業従事者の健康管理を充実させるために「自発的健康診断」という新たな助成金が設けられました。そのなかで、深夜業の回数要件があり、当該健康診断を受けた日前6か月間を平均して1か月に4回以上で6か月間で24回以上の深夜業に従事した労働者とありますので、それが参考になると思います。

ご参考までに、この助成金についての申請書及びパンフレット等は、各都道府県の産業保健推進センターにあります。
新潟県産業保健推進センター「自発的健康診断受診支援事業」は下記をクリックしてください。

自発的健康診断受診支援助成金のご案内

自発的健康診断受診支援助成金に係るQ&A

事業主、労働者ともに、深夜勤務のある職場では健康管理に十分注意する必要があります。

著作権:山田 透