先輩方の不安

年の瀬にカレンダーを届ける時期になりました。
ある、おふた方の嘆きを。

先代から引き継いだ修理工場を営んでいるご夫婦。
お店の間口はガラガラのガラス戸。
私はカレンダーを手に戸をガラガラと開けます。
お店はキレイに片付き、広い工場になっていました。
「どうなされたんですか？」と聞くと
「うちのお父さん(ご主人)足腰が弱って、年内で辞めることにしたの」と、奥様。
夫婦は、50近いひとり娘と3人家族です。
「じゃ、娘さんから援助受け、後は国民年金でやっていけるんじゃないですか」と
わたしは他人事の様に返しました。

奥様は「娘は早く嫁に出すべきだったの」と後悔している様子でした。
続いて「私たち二人だけだったら、娘に負担かけずに済むんだけど」と。
「そして、最期は共同墓地で永代供養塔に入れてもらいたいんだ」
私は一応返事をします
「ムリしないで自転車、バイクのパンク修理ぐらいすれば、そこそこの収入で
また、ボケ防止になるんじゃないですか？」と、てきとうな返答をすることしかできませんでした。

「隣の文房具屋さんのご主人は介護生活になり、2ヶ月前に店を閉めたし、
またその隣の菓子屋さんの主人も体調を崩し、奥様は資格は無いし間も無く店を閉めるらしいの」
「昔は繁華街だったのにね」
「長い歴史に幕ですね」などと言って、「今度、お伺いする時はご自宅に行きますね」
と言って店を後にしました。

そして、また違うお客様も同じような悩みを持っておられました。 つづく