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みんな降りて行っちまうなら
俺や 白馬線は
何のためにあるんだ?
都戸利津さん初のオリジナル作品の単行本です。
「別冊 花とゆめ」で読んで大泣きしました。
オーストラリア・メルボルンの路面電車「シティーサークルトラム」をモデルにした「環状白馬線」、その人の電車に乗ると幸せになれるという、背が高くツンケンした車掌の英(はなぶさ)さん。環状路面電車での出会いと別れと「出会わない」を描いた物語です。
読み切りの予定で描かれた第1話が「別冊 花とゆめ」平成18年11月号、第2話が平成20年8月号ですから第1話と第2話との間に2年間の間があります。作中では半年ほどが経過しているという設定です。
第1話と第2話、そして最終話の第3話が描かれるまでの間に『心霊探偵八雲』の連載→完結がありましたが、こちらは原作付きだったので都戸利津さんオリジナル作品である『環状白馬線 車掌の英さん』の方が俄然力が入っているのが分かります。
少年車掌の英が捨て子であったという設定は第1話から確立していて、それが最終話の第3話の、少年時代の英を描いたお話でとてもよく活かされています。
市内を循環する環状白馬線、車掌の英さんは毎日乗り合わせる大勢のお客さんと「ほんの少し」の時を共有します。
彼が尊敬する、かつて白馬線の車掌だった義父の言う通り、「いつまでも他人のままがお客さんのためなのさ」「他人だったらいつでも乗れるし乗るのを自由にやめられるだろ?」という言葉を大切に、当然のように思いやりを持って、しかし他人のままという距離をおいてお客さん達に接する車掌の英さん。そこから多くの出会いと別れと「出会わない」が生まれます。
「出会いと別れは同じだけあるが 一番多いのは"出会わない"だ」
幼い頃に白馬線の中に捨てられ、外の世界を全く知らない英さん。
子供時代の英を描いた第3話では世界中を旅している少年との出会いと別れがあります。
もっと広い世界を知りに行こうと自分を誘う「友達」の姿を見て
「分からねぇ ただ 世界は広いなと思ったんだ」
と泣き出してしまう子供時代の英。
彼と出会うまで自分は世界の広さを知らなかった、今も知らない。
「白馬線は狭いけど 俺がここにいるのは 自分のためじゃなくて お客さんのためだけじゃなくて
どこかの誰かのためかもしれねぇ そう思ったら俺
世界の全部を走ってる気がするんだ」
と狭い白馬線の中で車掌を続けることを決める英に胸が一杯になるような不思議な感動を覚えました。
何年、十何年、何十年もの時の流れの中で出会い、別れ、再会し、そして「出会わなかった」ことで生まれる数多の物語にとても心温まるものを感じます。
少女漫画誌掲載の漫画ですが、女性だけでなく男にも読んで欲しい作品です。
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