わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

紹介文を紐解く「ブロードウェイ進出」

2011年06月16日 | 太平洋序曲2011年公演
演出家にはユニオンの縛りがないのかもしれませんが、保守的な舞台の世界「ブロードウェイ」への「進出」がいかに難しいかは、ひとつ前の記事からもおわかり頂けると思います。

それでも、02年のニューヨークとワシントンの公演の成功があったので、すぐにでもブロードウェイ・デビューが出来るのだろうと思っていましたが、ここでも直前までいろいろあったそうです。

亜門さんには、どれもこれも大変な出来事だったと思いますが、私が大変だっただろうと思ったのは、ワダエミさんが衣装担当をしなかったことでした。

ワダエミさんは、ご存じのことと思いますが、黒澤明監督の『乱』(1985年)の衣装デザインにより日本人女性初のアカデミー賞(衣装デザイン賞)を受賞なさっています。
亜門さんにとってアメリカで仕事をするには欠かせないお仲間のはずです。

なぜ、亜門さんの晴れ舞台なのに、ブロードウェイでは衣装担当をなさらなかったのでしょう。
ワダさんは、衣装は染めからこだわりをもっていらっしゃるそうです。1~2年位かけて丹念に衣装を作っていらっしゃるのです。

ところが、ブロードウェイ公演は最終段階に来て、同じ「太平洋序曲」の演目のロンドン版と日本版(亜門版)で劇場側がなかなか最終決定をしてくれず、衣装の染めが間に合わないということなり、ワダさんは降りられたそうです。

亜門さんも衣装担当スタッフを捜さなくてはならないという難題を抱えることになり、大変だったと思います。

先日の記事で書きましたように、「太平洋序曲」は日本の話ではありますが、ロンドンやオーストラリアなどでも上演されているようです。ソンドハイム氏のHPに以前は各作品の上演一覧の情報があり、時々みていました。
ロンドン版を観劇した知人に聞いたところ、11人のキャストですごくシンプルな舞台だったとのことでした。
オン・ブロードウェイの公演なら、スペクタクルもあった方がいいということで亜門版になったのかもしれませんね。

亜門さんのこのデビューを記念して、講演会があり、私も拝聴しました。
本当に、大変なことがたくさんあったようなのですが、それを話す亜門さんの楽しそうなこと。
やこのパワー、つまり負の出来事でも楽しんでしまうパワーを持っていらっしゃるので、観客の心に届く作品を創り上げることができるのだろうと、お話を聞きながら感じました。

このパワフルな亜門さんの演出に刺激を受け、ワダさんが長い時間をかけて作り上げて下さったすばらしい衣装をまとえば、キャストの皆様のパフォーマンスも一段とすばらしいものになると思います。

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