マガジンひとり(ご訪問ありがとうございます。年内に閉鎖を予定しています)

書肆マガジンひとりとしての小規模な同人活動を継続します。

日本幻景 #20 — よこはま・たそがれ

2017-02-03 21:19:57 | Bibliomania
五雲亭貞秀が描いた開港時(1859・安政6年)の横浜。黒船で来航したペリーが武力を盾に和親条約を結ばせたのに対し、初代アメリカ総領事として赴任したハリスは、折からアロー号事件を発端に清国(中国)が英仏と交戦中でもあり、世界の情勢は激動しており貿易によって富国強兵の道を開くことができると日本を説得、日米修好通商条約を結んだ。ハリスは江戸・大坂の開港を望んだが幕府は反対して協議難航、神奈川(横浜)・長崎・箱館をまず開くことで決着。一寒村に過ぎなかった横浜が歴史の表舞台に




国鶴(2代)による「横濱商館並ニ辨天橋圖」。開港した横浜は外国の公館や商館が立ち並び、文明開化の先進地として発展。1872・明治5年には新橋との間に初の鉄道が開通





1923・大正12年9月1日、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9の関東大震災が発生。↑は神奈川県庁と税関が火災に見舞われる様子をとらえた着色写真。横浜市でも「朝鮮人が井戸に毒を」のデマが飛び、武装した自警団が組まれ、殺害事件が起こったが、いっぽう事態を憂えて、「朝鮮人が毒を投入した井戸の水を持ってこい、私が諸君の前で飲む。異常があれば(総持寺で保護されていた)朝鮮人を引き渡すから」と、毅然として秩序と人命を守った警察署長もいた




馬車道の米兵と日本人の着色写真。大戦の無条件降伏により、多数の米兵が横浜に駐留し、接収された市の中心部にはカマボコ型の兵舎が立ち並んだ。周辺では米兵相手の商売などで独特のヨコハマ文化が培われる。また磯子区の魚屋出身の美空ひばりが国民的歌手に




1972・昭和47年頃の横浜駅。田園都市線や根岸線、相模鉄道の新線が開通し、洋光台・左近山など市内各地に高層団地・ニュータウンが造成され、昼間人口より夜間人口が多い(東京の)ベッドタウン化が進んだ。当時「伊勢佐木町ブルース」「ブルーライト・ヨコハマ」「よこはま・たそがれ」「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」といった大ヒット曲が生まれたが、新興住宅地ヨコハマとはかけ離れた雰囲気




保土ヶ谷区仏向町。そうそう、こういうのが私の知るヨコハマ。私は1969~76年に南区・保土ヶ谷区・戸塚区の境界あたりに山林を切り拓いて造成された公団の六ッ川台団地に住んだ。来日当初のピーター・バラカンが新幹線に乗って、神奈川県の風景を「絶望的」と評したが、私にとって魂の原風景である



格差の広がりは、自由主義の拡大がもたらした当然の結果です。国際競争で生き残る、という旗印のもと、それぞれの国家は市場に従属するようになりました。政府が労働者や産業を守ることが難しくなったのです。

グローバル化に対する一つの答えは、「よし、みんなでスウェーデンになろう」です。しかし、スウェーデンは腐敗のない政府や労働市場、教育に対し、半世紀以上にわたり投資を続けてきた国です。小国ゆえ、競争力と社会的平等を両立できるポジションを、世界経済の中に見つけることもできました。ごく例外的なケースであり、ほかの国が簡単にマネできるようなものではありません。

重要なのは、そのスウェーデンですら1990年代以降、格差の拡大が世界的にも最速で進んだということです。資本の移動が自由になったからです。企業が課税に抵抗するようになり、投資を国内にとどめておくため、政府が税率を劇的に引き下げたのです。

国家までが国際競争にさらされた結果、福祉国家であることがとても高くつくようになりました。グローバル化した資本は、規制や労働組合、高税率といった「社会民主主義の檻」に我慢できなくなった。資本が動きやすくなる一方、働き手は簡単には移動できない。資本がどんどん優位になり、こうした「檻」が打ち破られてきたのです。 —(トランプ当選を受けての特集記事「グローバル化への反乱」より独社会学者ヴォルフガング・シュトレークへのインタビュー、朝日新聞2016年11月22日)



総務省のホームページによると、年収700万円の給与所得で扶養家族が配偶者のみの人がふるさとなどの自治体に3万円寄付すると、本来その人が住所地の自治体に納めるべき住民税などが2万8千円控除される。

より所得の高い人が10万円寄付すると9万8千円、20万円なら19万8千円がそれぞれ控除される。たった2千円の負担で寄付できる。しかも、自治体の多くが寄付を受けた額の4、5割相当の返礼品を贈るので、寄付をした人にとって「おいしい」のは間違いない。

(中略)寄付した人の居住地の自治体では税の「目減り」を強いられる。寄付した人とそれを受け入れた自治体が浮かれていられるのは、この「目減り」を食いつぶしたおかげだ。また、居住地の自治体では、もしこの「目減り」がなければ、多少なりとも保育所の待機児童問題が解消できるのに、ということにもなる。

(中略)世の中には高齢者を言葉巧みにだまし、多額の金を巻き上げる悪い連中がいる。(中略)よくもここまで悪知恵が働くものだと感心する一方で、そんな知恵があるのなら、それを他人の金をかすめ取ることにではなく、世の中のためになることに向ければいいのにと腹立たしい。

そこであえて言うが、ふるさと納税で寄付を集めるために絞る知恵は、振り込め詐欺の連中が絞る知恵に似ている。自治体もよその自治体の税を奪うためにではなく、もっとまともなことに知恵を働かすべきではないか。(中略)こんな不毛な競争に駆り立てる仕組みをつくった国は実に不見識であり、無責任だと思う。そろそろ年末の税制改正作業が本格化する時期を迎える。来年度の税制改正では、いの一番にふるさと納税を廃止するよう提言したい。 —(片山善博 「ふるさと納税 即刻廃止を」 東京新聞2016年12月1日)



Jin Saburi @saburicom 2月2日
これちょっと前に知ってアホかって思った。こないだの150万円カツアゲされてる小学生も、いじめじゃないとか色々横浜ダメなんだよね。教育もダメ。警察もダメ。ドライバーもダメ。
待機児童ゼロゼロ詐欺で全国の親たちが激怒

ktgohan@技術書典2・い-03 ‏@ktgohan 2月2日
横浜はさらに医療も討ち死にしており、そのしわ寄せがなんと町田や相模原に波及し仲良く無事死亡の見込み。いまはその隣の座間綾瀬海老名が戦々恐々としてる段階。




きょうの記事は蒐集のシリーズでも情弱列島のシリーズでも構わない。が、しのびない。↑の表では、東京23区は別格的に待機児童が多いことになっているが、裏を返せば、正直な数字を出しても、企業や金持ちは東京から出ていかない。税収上、痛くも痒くもない。横浜市は「保留児童」と呼び替えてゼロに見せかけたり、150万円恐喝されても「いじめではない」と取り繕わないと、デフレ大国にっぽんの負け組都市に追いやられてしまう。

あるいは「ふるさと納税」の問題でも、横浜市青葉区・港北区や川崎市多摩区・中原区などに住んで東京へ通勤する層には、横浜・川崎への愛着が薄く、積極的にふるさと納税して贈り物をもらう傾向があるかも分からない。憶測ですが。

引用したシュトレーク氏の言によれば、「法人税を下げたり労働規制をゆるめたりで企業を呼び込む『底辺への競争』からどの国も逃げられない。分水嶺は石油ショックやインフレが起こった1970年代」だという。私は横浜市の人口増加の一人だった。

長い鎖国から一転、横浜などを開港し、不平等条約も苦労してあらため、欧米列強に伍して富国強兵の道を歩むも敗戦、米国に従属して復興と高度成長を果たしたグローバル化の優等生はいま、激動の大波に呑まれようとしている。戦後民主主義は、この弱肉強食を生き延びることができるのか—

コメント    この記事についてブログを書く
« Top 20 Hits of 28-Jan-2017 | トップ | Top 20 Hits of 4-Feb-2017 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Bibliomania」カテゴリの最新記事