うなぎの与三郎商店

目立たぬように、はしゃがぬように、似合わぬことは無理をせず、教育・古典など。タイトルは落語「うなぎ屋」より(文中敬称略)

まぼろしのスクランブル交差点

2012-06-29 23:00:00 | 随想 ダイアリー
【まぼろしのスクランブル交差点】 《JR御茶ノ水駅前のスクランブル交差点の真ん中で、ひとりの年配の男性とすれ違った。20年の時を超えて、あの日あのままのOさんの姿だった》  今日、JR御茶ノ水駅前のスクランブル交差点の真ん中で、ひとりの年配の男性とすれ違った。ベージュのチノパンにグレーのポロシャツ。こざっぱりした身なりにすっかり白くなった髪。  また何か楽しいことでも想像しながら歩いていたのか . . . 本文を読む
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職場見学の楽しみ~予備校講師、職人に出会う~

2012-06-28 23:00:00 | 随想 Home! Sweet Home! ―家族の物語―
【職場見学の楽しみ~予備校講師、職人に出会う~】 《新居のリフォームが始まって数日。部屋のできぐあいだけでなく職人の仕事ぶりにも引き寄せられ、まるで小学生の職場見学を体験しているかのような気持ちになった》  リフォームのため、新居には数日前から職人が入っている。  初日、壁と天井のクロスをはがす作業から始まった。寡黙な職人がコズミックな義足を装着して天井のクロスを一気にはがす。脚立を使うより . . . 本文を読む
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ぜんざい瓦礫

2012-06-12 23:00:00 | 随想 社会・文化私論
【ぜんざい瓦礫】 《落語「ぜんざい公社」を聴くと、硬直したシステムの滑稽さと腹立たしさを感じる。しかし、中には神聖さと快適さを感じる者もいるだろう。もしこのシステムを心の底から神聖で快適だと感じることができたら、もしこのシステムの中で出世して自由自在に操ることができたら……。論点のズレ、はぐらかし、ボケとそれを意図的に仕組む者に関する断章をいくつか〔2013-11-06一部修正・追記〕》 Ⅰ  . . . 本文を読む
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宇宙飛行士は宇宙飛行士の夢を見る~講師メッセージ2012

2012-06-11 23:00:00 | 教育 聖と俗の教育随想
【宇宙飛行士は宇宙飛行士の夢を見る~講師メッセージ2012】 《これも小さすぎるNewsletterに書いた受験生へのささやかなメッセージ》 名前:○○○○ 自己紹介:気がつけば○○〔予備校名〕講師を目立たぬように、はしゃがぬように16年。○○〔コース名〕は創設時からの御縁です。 近況報告:一軒家を購入。たぶん人生最大の買い物。銀行の融資審査では全人生を審査されているようで緊張しました。 . . . 本文を読む
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「学校遠望」の遠望 ~ある日の講師メッセージ

2012-06-09 23:00:00 | 教育 聖と俗の教育随想
【「学校遠望」の遠望】 《丸山薫「学校遠望」を読み返す》  丸山薫という詩人に「学校遠望」という、回想の中の学校の窓からぼんやりと外を眺めているかつての自分に語りかける作品があります。 学校を卒えて歩いて来た十幾年 首を回らせば、学校は思い出のはるかに 小さくメダルの浮彫のようにかがやいている そこに教室の棟々が瓦をつらねている ポプラは風に裏反って揺れている 先生はなにごとかを話しておられ . . . 本文を読む
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ひとりはみんなのために~ある日の講師メッセージ

2012-06-08 23:00:00 | 教育 聖と俗の教育随想
【ひとりはみんなのために】 《数年前に大学受験生(高校生・浪人生)へ向けて書いた講師メッセージのリメイク版》  学習の基本は独学かもしれませんが、無理をする必要はありません。どんなに参考書や問題集、教育機器が進歩発展しても、講師に直接質問し、直接アドバイスをもらい、それを自分の学習に取り込み、日々精進するのはいいもんですよ。  何より楽だし、また思いがけない知識を得たり、新しいものの見方や考 . . . 本文を読む
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スタイリー・スターリン~悲劇、そして喜劇

2012-06-07 23:00:00 | 芸能 至福の落語・コメディ
【スタイリー・スターリン~悲劇、そして喜劇】 《私の好きなスターリン・ジョークを巡るささやかな散歩》  私の好きなスターリン・ジョーク(ソ連・東欧の政治ジョーク)3選。  モスクワ帰りのマチアス・ラコシは、1956年に『非スターリン化』の波濤に押し流されるまで、一貫してハンガリー共産党の人格的中心であった。  一人の労働者が居酒屋で、酔ったいきおいで叫んだ。 「ラコシは馬鹿もんだ!」 . . . 本文を読む
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昇華の権利

2012-06-06 23:00:00 | 随想 こころの処方箋
【昇華の権利】 《作家・星野智幸のインタビュー記事をきっかけに、ネット社会の登場によって私たちが失った「昇華の権利」について考える。私たちの内なる反社会的欲求は日々ネット上で発散されることによって、社会的・文化的な価値の高みへと昇華する機会を奪われてしまったのではないか》  1年ほど前のこと、作家の星野智幸が新聞記者のインタビューに答え、インターネット環境に充満する自己中心的なメンタリティーに . . . 本文を読む
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キャリアプランニング~パンドラの箱の開け方

2012-06-03 23:00:00 | 随想 職業としての予備校講師
【キャリアプランニング~パンドラの箱の開け方】 《大卒正社員のメリットをどんぶり勘定で考えてみた。一方でフリーランスのメリット――あればの話だが――についても考えてみた。結局、パンドラの箱を開けるような、デリケートな作業であることに思い至る》 その1 「格差上等」のプランニング  高卒で正社員になった場合と大学に通ってから就職した場合とでは、どちらに金銭的なメリットがあるのだろう。  高卒 . . . 本文を読む
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わかりやすさの心理と病理~わかりやすさイデオロギーの誕生

2012-06-02 23:00:00 | 随想 社会・文化私論
【わかりやすさの心理と病理~わかりやすさイデオロギーの誕生】 《大学入試問題の中から〈わかりやすさ〉の危険性について論じた課題文を取り上げ、少々のコメントを加えてみた》  ある大学の小論文入試問題に〈わからない〉芸術作品の意義に関する課題文が出題されていた。現在の日本の文化は〈わかりやすさ〉が要請され、強制される現状にあるという。そしてそれは〈ナショナルなもの〉、つまり〈国〉〈国家〉〈民族〉 . . . 本文を読む
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