うなぎの与三郎商店

目立たぬように、はしゃがぬように、似合わぬことは無理をせず、教育・古典など。タイトルは落語「うなぎ屋」より(文中敬称略)

春眠

2017-03-30 23:00:00 | 随想 職業としての予備校講師
【春眠】

《春先の寝言》

 数年前に大リストラの激震に見舞われたはずの予備校に相変わらず出講している。といっても、大学受験本科(高卒生)とはとっくに縁が切れている。激震の前年に受験科を外れた。その後は専ら個別指導コースや系列の塾(高校生対象)に細々と出講していた。そんなさなかの大リストラだった。幸か不幸か、激震の津波が逸れた。あきれるくらいキレイに逸れた。毒にも薬にもならない講師にかまっている暇はない、そう言われたような気がした。でも、生活していけるのならそれでいい。

 確定申告をするとき、大学受験予備校と教員採用試験予備校の源泉徴収票や支払調書に加えて、毎年最低1通以上の「新参者」がいる。ひょんなことからご縁のあった会社のものである。ほとんどの場合、単発で終わる。会社が私に魅力を感じなかったのか、私が会社に魅力を感じていないのがバレたのか。決して手を抜いたつもりはないけれど、なぜか長続きしない。原因を考えても仕方ないと思いつつ、一方でそんな「新参者」が途切れることなく続く幸運に感謝すべきだという気もする。

 この春は大学受験予備校の中学生講座(現在は廃止)に初出講してまる20年になる。3月から21年目。教員採用試験予備校も初出講が2002年の2月だった。2月から16年目に入った。時々、生物進化のことを考える。優れた種が残るのではなく、所与の環境にたまたま適していた種が残るというだけの話。それは恐竜時代の隕石衝突時に隅っこ暮らしをしていたネズミのようなものかもしれない。骨格もなければ大脳もないゴキブリのようなものかもしれない。そんな生態的地位(ニッチ)をほどほどに自覚しながら、さて、花見の季節の到来である。

 
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