●方法俳句0139・自由律015・瀧井折柴・2013-08-17(土)
○「お前の正直な日がくれて夏座布団」(瀧井折柴01)
季語(夏座布団)
正直なひとの日が暮れる 正直なひとの太陽が落ちる 正直なひとの夜がおとずれる 正直なひとの 正直な家の 正直な部屋の 正直な畳の上に 正直な夏座布団が置いてある
○瀧井折柴(たきいせっさい)(1894~1984)
代表句「蛍かごラヂオのそばに灯りけり」02
季語(蛍かご・夏)
岐阜県飛騨高山生まれ。瀧井孝作。小説家、俳人。15歳から句作。初めホトトギス派の俳句を学んだが、大阪に出てからは、新傾向俳句の影響を受けた。1914年、上京して「海紅」の編集助手をしながら→中塚一碧楼に家に住み込んだりした。その後定型に転じた。
●特集俳句0139・天体(星)08・兒玉南草・2013-08-16(金)
○「あるだけの山星いでぬ鉦叩」(兒玉南草01)
季語(鉦叩・秋)
山の上にはまばゆい星空が広がっています。存在するすべての星が天球に現れたかのようです。「星月夜」といえば秋。ここでは「かねたたき」との取り合わせとなっています。秋は星の美しい季節ですが、地上は猛暑真只中。
○兒玉南草(こだまなんそう)(1922~2000)
代表句「魚と水同じつめたさ麦の秋」02
季語(麦の秋・夏)
大分県生まれ。→野見山朱鳥に師事。「菜殻火」の編集に関わる。1964年、「海音」創刊、69年、誌名を「地平」に改め主宰。72年、角川源義主宰「河」に参加、75年、「河」賞受賞。俳人協会評議員。
●三色絵0139・走馬燈の・透次・2013-08-15(木)
○「走馬燈のなかを百年走者の儘」(→透次0153)
季語(走馬燈・秋) →三色絵フォトチャンネルへ
「走馬燈」は夏と秋のどちらの季語か、という論争?がありますが、ここでは「お盆」とセットの物として秋の季語とします(どっちでもいいですね)。今日は68回目の終戦記念日。走馬燈が廻るかぎり、走馬燈にうつる影も廻り続けます。
●色彩俳句0139・暗色02・井本農一・2013-08-14(水)
○「みみず鳴く引きこむやうな地の暗さ」(井本農一01)
季語(みみず鳴く・秋)
「みみず鳴く」という奇妙な季語。地の底から聞こえるような秋の虫の声をミミズが鳴いているととらえたもの。いやあ、俳句はやはり深い!!!。「暗」と「明」を色彩に昇格させました。(^_^.)
○井本農一(いもとのういち)(1913~1998)
代表句「ビルを出て遅日の街にまぎれ入る」02
季語(遅日・春)
千葉県成田出身。作家青木健作を父とし、高校の頃から俳句になじんだ。1973年、俳文学研究誌「俳文芸」を創刊。1984年、「常磐松俳句会報」を創刊主宰した。師を求めず、結社に片寄らず、独自の存在を示した。
●五体俳句0139・眼04・渡辺水巴・2013-08-13(火)
○「秋風や眼を張つて啼く油蝉」(→渡辺水巴03)
季語(秋風)
日本列島は連日強烈な猛暑のなかですが「秋風」の句です。今日は渡辺水巴の忌日(1946)。季重なりですが、蝉の背景を流れる秋風がまさります。この油蝉は秋の蝉です。最後の力をふりしぼって鳴く油蝉。「眼を張って」という表現が必死さをあらわします。