2000年のイギリス映画『リトルダンサー』(原題は『Billy Elliot』)を見ました。私はけっこう好きです。
「鉄の女」といわれた保守党のマーガレット・サッチャーが首相だった時代(在職1979~1990年)のイギリス、北部の炭坑町ダラムという設定。父も兄も炭坑で働く11歳の少年ビリーは、父親からボクシングを習わせられているが、本人はバレエやダンスに興味を持つ……というのが設定部分です。(3月22日追記…少し補足すると、サッチャー首相は労働運動には特に厳しい態度で臨み、ピケに対して大量の警官隊を投入して実力行使をおこなうなどしました。それによって、英国最強といわれた炭坑労働者組合は実質的に解体させられるわけで、そのような実際の出来事が映画の重要な背景になっています。)
日本映画で言えば、『シャル・ウィ・ダンス』に『ウォーターボーイズ』に『フラガール』の要素を全部混ぜたような映画と言えるでしょうか。予定調和と言えばその通りだし、ひねりがないと言えばそれもその通りですが、それでも後味のいい泣ける映画でした。
以下ネタバレがありますので、御注意ください。
まず重要な点は、ビリー少年の踊ることへの情熱は最初は周囲から理解されないことです。「男の子がするならフットボールかボクシング」という常識(または偏見)の中で、ただ「踊りたい」というビリーの願いはなかなか受け入れてもらえません。しかし、だからこそ、はじめは頑なだった父親がそんな気持ちを捨てて、最後には自分の子どもの願いをかなえさせてやりたいと思うようになるところが泣けるところです。
もう一つ重要な点はビリーの済む町の状況です。この町の労働者の多くは炭坑で働いているものの、労働条件の悪さのため、組合としてストライキに訴えます。しかし、ビリーがロイヤル・バレエ学校のオーディションに行くロンドンまでのバス代もない父親は、仲間を裏切ってスト破りをしてまで、ビリーのためにそのバス代を稼ごうとする。そして、ビリーの兄はそんな父親を泣いて止めようとしますが、父親は「ビリーのためにこれしかない」と涙を流します。父親の気持ちが痛いほどに伝わってきて、ここがこの映画でもっとも泣ける場面です。
ちなみに、ビリーがロイヤル・バレエ学校に入学できても、炭鉱労働者たちのストライキは失敗に終わり、彼らは大きな敗北感をかかえて再び炭坑の底へと降りていくことになります。しかし、だからこそ、彼らがビリーに希望を託し、ビリーの夢をかなえさせてやりたいと願う気持ちが切ないほど訴えかけてくるのだと思います。
私が映画というもの自体に興味を持ったのは、12歳のときに見た『小さな恋のメロディ』(1971年、原題『Melody』)だったように思います。この映画も、実は『リトル・ダンサー』と同じイギリス映画で、同じように子どもが主人公となる映画でした。その意味で、『リトル・ダンサー』を見ながら、子どもの頃に見た『小さな恋のメロディ』のことを思い出していました。
『リトル・ダンサー』にはハリウッド映画のような派手さや見栄えのよさはありませんが、イギリス映画が持つ味わいの深さが出ており、たいへん後味のよい映画でした。
ちなみに、私も初めて一人で見に行った映画は「小さな恋のメロディ」でした。同世代ですね。ビージーズの「若葉のころ」懐かしいです。
初めて一人で行った映画が「小さな恋のメロディ」というのも一緒で、なんだか他人とは思えませんね(笑)。またの書き込みをお待ちしています。
私は先日ツアーで訪れたロンドンで観ました。
友人がミュージカルが観たいと言い、あまりミュージカルが得意でない私が観たいと思ったのがこの作品でした。
映画は以前観ていてかなり好きな作品です。
もちろんラストも好きなので、『Bye, Michael』で終わってしまった時は意外でしたが、子役のダンスに魅了されました。
ロンドンでもスタンディングオベーションでしたよ。
ちなみにニューヨークで以前『Rent』を観まして、こちらもかなりハマりました♪