フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 





 岩手県盛岡市でおこなわれた文化講演会の講師をしてきました。
 私の勤める中央大学では、「学術講演会」という行事を全国でおこなっています。その内容や予定はこちら → 「中央大学学術講演会

 そのページでは、講演会の趣旨を以下のように説明しています。

「中央大学学術講演会」とは、本学の専任教員が、学術研究の成果を社会に還元することを目的として開催する講演会です。来場者に対し、事前申込不要・入場料無料を原則としています。
講演では、時事的な問題や地域に密着したテーマについて、講師の専門分野の見地からわかりやすく解説いたします。

 私も、日ごろの研究内容を学生たちだけではなく、中央大学の卒業生や一般の方に知っていただくよい機会と考えており、都合がつくのであれば、できるだけお引き受けするように心がけています。

 私なりにいつくかの講演テーマを用意していて、講演会を開催する地域の卒業生支部の方たちに、そのテーマの中からリクエストをいただいています。今年は私の用意したテーマのうち、「テレビドラマは時代を映す」というテーマへのリクエストが多く、テレビドラマへの関心が高まっているのではないかと感じています。

 今回の盛岡では、学員会(卒業生の会)岩手支部の皆さまにたいへんお世話になりました。広報にも努めていただいたおかげか、中央大学卒業生以外の一般の方にもおおぜい来ていただいていたようでした。
 中央大学全体としては「学術講演会」という名称が一般的ですが、ややかたい印象がありますので、岩手支部では「文化講演会」という名称を使用しているとのことでした。

 また、今回特に印象に残ったことは、講演会場です。今回の講演会場は盛岡市内にある「ベル・オーブ」という結婚式場でした。講演会場が、いわゆる会議場ではないことはそれほど珍しくないのですが、結婚式場での講演は初めてでした。これは中央大学卒業生の方がこの式場の責任者をさなっているとのことで、講演会のために便宜をはかってくださったことと思います。

 結婚式場が講演会場だったこともあり、写真のような素晴らしい雰囲気の会場で多くの方に話をさせていただくことができました。インテリアが美しいだけでなく、講演会場内には、2枚目の写真のようなバー・カウンターがあったり、ピアノが置いてあったりします。できれば聞いている皆さまに一杯飲みながらくつろいでいただきたい…そんな気にもなるような素敵な会場でした。



 講演会の後には、学員会岩手支部の支部総会、そして懇親会がおこなわれました。支部総会は私は失礼いたしましたが、懇親会には出席させていただきました。
 結婚式場だけに、お料理も本格的。目の前でお肉料理を切り分けてもらったりして、支部の皆さまとおおいに懇親会の料理と会話を楽しませていただきました。
 懇親会の最後には、中央大学の校歌と応援歌で締めくくり。写真のように肩を組んで歌う支部の皆さまもいて、支部の結束と盛んなようすがよくわかる懇親会でした。
 支部の皆さま、お世話いただき、ありがとうございました。

 



 私は今後もこの学術講演会のため、7月12日(土)に長野市、7月19日(土)に下関市にお伺いします。



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    ↑ サワラのポアレ・グルノーブル風(クラシック)

       サワラの燻製とカブのサラダ(モダン) ↓
  

 五反田に新しく開店したフレンチ・レストラン「MAY」へ行ってきました。
 すべての料理にシェフの工夫があり、とても手間をかけて作られていることがわかる料理でした。

 私が行ったのは平日のお昼。ランチの設定は以下の通りです。

  Menu Légèr ¥2,900 (平日のみ)
  Menu A ¥3,900
  Menu B ¥4,800
  Menu MAY ¥6,500

 平日のみのランチもありましたが、せっかくなので、メニューA(アミューズ+オードブル+メイン2皿+デザート+コーヒー・パン)をいただきました。
 こお店の特徴は、メイン料理の素材によって、メイン2皿の組み合わせが決まっていること。私は鰆(サワラ)料理をいただきましたが、それを選ぶと、1皿目にサワラのポアレ、2皿目にサワラの燻製が出されるという仕組みです。素材がウズラならウズラで2皿、素材が豚肉なら豚肉で2皿がサーブされます。

 私は先入観で、メイン2皿はリストから自由に選ぶのかと思っていましたが、実際にはこのように組み合わせが決まっています。同じ素材を異なる料理法で楽しむというコンセプトになっていると思ってシェフに尋ねてみたところ、その通りではあるものの、異なる料理法というのは必ず「クラシックとモダン」(順番は素材・料理による)になっているとのことでした。なるほど、これは初めての体験でした。

 クラシックなフレンチ(オート・キュイジーヌ)か、モダンなフレンチ(ヌーベル・キュイジーヌ)か。これは通常その店のスタイルとして決まっています。私もフレンチ・レストランで食事した後に、「今日はクラシックなフレンチでガッツリいったなあ」とか、「今日のフレンチは新しい試みがあって楽しんだなあ」とか、思います。
 しかし、このお店では、同じ食材をクラシックな料理法とモダンな料理法の両方でいただけるという仕掛けになっており、実際に食べてみて、おおいにその仕掛けを楽しむことができました。
 ただ、私もなんとなく固定観念を持っているので、メインを2皿食べるなら、1皿目に魚介料理を、2皿目に肉料理を食べたいという気持ちはあります。このお店では、通常の組み合わせはできないので、その点では好みが分かれるかもしれません。客の自由度が小さいと考えるか、店のコンセプトを楽しむか、これはもう客の好みとしか言いようがありません。

 通常のコースが食べたければ他にいくらでもフレンチ・レストランがあるので、私は、このお店のような明確なコンセプトと工夫のあるお店を貴重だと感じます。
 内装など店内の雰囲気もよく、シェフが食器の一つ一つも、すべて異なる形状のものを選んでいます。価格設定などから、仕事の合間のランチにというのはやや適さないかもしれませんが、接待、デート、仲間同士の会食等のいずれにも適したお店だと思います。

  
  アミューズ(白ニンジンのムースと稚鮎のフリット)

  
          オードブルのパテ

     
     デザート(ベリーのミルフィーユ)

※追記
五反田周辺のレストランは日曜・月曜休みの店が多いのですが、このお店は水曜定休。行きたいお店が休みのこともあるので、その点でもこのお店は重宝しそうです。










<p><a href="http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/13168755/?tb_id=tabelog_98b84812f5870e8a55b9c9c314e5add4fc63ffa9">メイ</a> (<a href="http://tabelog.com/rstLst/RC021101/">フレンチ</a> / <a href="http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/R4018/rstLst/">五反田駅</a>、<a href="http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/R1721/rstLst/">大崎広小路駅</a>、<a href="http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131604/R1718/rstLst/">大崎駅</a>)
<br />昼総合点<span style="color: #FF8C00;">★★★★</span><span style="color: #A9A9A9;">☆</span> 4.5
</p>



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 書くのが遅くなってしまいましたが、先週5月29日(木)に「BUN-Cafe」第1回が始まりました。

 「BUN-Cafe」は、中央大学の文学部の先生方のトークイベント。文学部長の都筑学先生の発案で始まったもので、学部長補佐の中村昇先生(哲学専攻)が聞き手を務めて、毎回のゲストの先生の話を聞く形式で進められます。

 初回のゲストは山科満先生(心理学)。山科先生は精神科医で臨床心理士。心理学専攻において、精神医学と臨床心理学とをつなぐ役割を果たしている先生です。その山科先生に中村先生が質問し、山科先生が精神科医になった経緯や、専門のフロイト派精神分析医療の在り方などを、学生向けにわかりやすく話してくれました。

 私が興味深く感じたのは、哲学者の中村先生と精神科医の山科先生の専門領域の違いと重なり合いでした。私はお二人の同僚ですから、中村先生のお話も山科先生のお話も面白いであろうことははじめからわかっています。ただ、「BUN-Cafe」の面白さは、個々の先生の面白さだけではなく、それに加えて、文学部13専攻の専門領域がクロスするところではないでしょうか。

 今回のイベントも、はじめは中村先生が神妙に(?)山科先生のお話を伺う学生のように話を進めていましたが、途中から鋭いツッコミを連発しはじめ、「心は存在するのか」「判断を下しているのは〈私〉と言えるのか」といった哲学者としての問いを発していました。それに対して山科先生が、「哲学者はそう考えるのでしょうけど、精神分析の立場からはその現象をこう考えるのです」と、御自分の領域からの心のあり方について語り、そうやって話が深まっていきます。
 こうした異なる領域のスリリングな交錯が、13専攻を持つ中央大学文学部の面白さなのではないでしょうか。


※写真は部屋の前の方しか写っていませんが、実際には部屋の外まで学生があふれていました。本来は「Cafe」のようにお茶を飲みながら語るというイベントなのですが、嬉しい誤算だったのかもしれません。









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