フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 NHKのテレビ番組「クローズアップ現代+」にコメント出演しました。
 放送日時は11月24日(木)22時から。現代のさまざまな現象を考察する番組で、この日のテーマは、恋愛しない若者たちについてでした。

 私は、日本のテレビドラマの変遷から、近年のテレビドラマでは恋愛が描かれにくくなっていることについてコメントしました。
 放送内容については、こちらをご覧ください。私は最後の方に出てきます。
 ⇒ 恋人いらないってホント? 出現!”いきなり結婚族”」


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      (文学研究科のガイダンスのようす)

 私が勤める中央大学大学院の進学相談会がありました。
 これは、大学院のいわゆるオープンキャンパスで、中央大学大学院への進学を考えている人たちへの資料配布、ガイダンス、個別相談などをおこなう行事です。毎年2回ずつこの行事はおこなわれるので、私がこの行事について書くのももう7回目になりました。

 今回もほぼ例年に近い形でおこなわれましたが、時期やスペースなどの関係で多少の変化がありました。前々回までは、委員長によるガイダンスが20分でした。前回は2会場に分けて45分と長い時間をとり、その代わりに、大学院に在籍する日本人学生と留学生一人ずつにも話してもらうという方式でした。今回はスペースが確保できなかったために、25分割り当てとなり、委員長の話に加えて、日本人の大学院生一人に話してもらいました。

 そのように、そのつど多少の変更はあるものの、中央大学大学院への進学を考えている人たちの熱心な姿勢に、毎回触れることができます。さきほど、私がこの行事について書くのが7回目としましたが、それよりずっと以前からこの進学相談会はおこなわれていたわけです。私がこの行事にかかわるまでは、こうした努力があって大学院に支えられているのだということを、あまり意識したことがありませんでした。
 この行事が、参加した皆さんの今後の進路選択に有益であることを願っています。

 
(大学院進学を考えている人たちの個別相談に応じるのは現役の大学院生たち)

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 私が勤める中央大学文学部の主催で、「アートとドラマから見る韓国」というシンポジウムがおこなわれました。

 このイベントを企画したのは、中央大学文学部の榎本泰子教授です。榎本先生がワンアジア財団からの寄付講座としておこなった授業科目が、今年度前期に開設されていました。その科目からの連動する企画として、このシンポジウムがおこなわれました。
 この企画の趣旨を、中央大学ウェブページから引用しておきます。

 文学部2016年度前期プロジェクト科目「アジア共同体を考える-共に生きるための15のヒント」(ワンアジア財団寄付講座)の関連企画として、公開シンポジウムを開催します。現代韓国の社会と文化を、アートとドラマという二つのジャンルから読み解こうという意欲的な試みです。学生・教職員・市民のみなさまの参加を歓迎します。

第1部 韓国現代アートの世界
 報告者
   ヂョン・ヨンドゥ(アーティスト)
   徐京植(作家・東京経済大学教授)
 司会者
   大田美和(歌人・中央大学文学部教授)
第2部 テレビドラマから見る韓国
 報告者
   李香鎮(立教大学教授)
   宇佐美毅(中央大学教授)
 
司会者
   榎本泰子(中央大学文学部教授)

中央大学ウェブページ上の告知記事 ↓
http://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2016/11/49239/



(シンポジウム会場のようす)

 この告知文のリストにあるように、私も韓国ドラマに関する報告者の一人として、このシンポジウムに参加しました。私は韓国文化の専門家というわけではありませんが、日本のテレビドラマを研究対象にしている関係で、このシンポジウムの発表者に加わりました。

 写真のように、当日はおおぜいの来場者がありました。それだけではなく、内容的にもたいへん充実した報告や質疑がおこなわれました。中央大学文学部にはいわゆる「韓国学」関係の学科があるわけではありませんが、それでも「韓国」を視点として、「アート」と「ドラマ」、それに加えて、文学・文化・言語・社会・歴史……等々がここで交錯し、意味を生み出したという実感を持ちました。
 近年の研究は細分化しすぎてしまった反省もあり、学際的な研究の必要性が叫ばれています。このシンポジウムはそのひとつの可能性を示すことができたのではないか。そんな感触を持つことのできた一日でした。


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 10~12月気のテレビドラマについて何回か書いてきましたが、今回は23時以降に放送されている、いわゆる「深夜枠」ドラマについて感想を書きたいと思います。
 深夜枠作品は、20~22時頃に放送が始まるテレビドラマ作品に比べて、視聴率がとれないのが普通です。とはいえ、だからこそ実験的で個性の強い作品が放送されることもあり、なかなか侮れない要素があります。たとえば、TBS系列の深夜枠ドラマ『深夜食堂』やテレビ東京系列で23時台に放送されてきた『まほろ駅前便利軒』、『孤独のグルメ』などは、プライムタイム作品以上の人気シリーズになりました。今回はどうでしょうか。


警視庁 ナシゴレン課   2.6%→2.1%→2.7%→2.4%


 「ぱるる」こと島崎遥香が警視庁の課長役で主演する警察ドラマ。とは言っても、舞台はもっぱら室内。ぱるる演じるデカ長はその推理力を発揮して、警視庁の1室からまったく出ずに事件を解決します。古田新太、勝村政信、猫背椿らが、ぱるるの脇をしっかり固めています。
 途中でぱるる中心の歌の時間が入るなど、さながら島崎遥香一座の芝居興行。小劇場で大衆演劇&歌謡ショーを見に行くつもりで視聴するのがよいでしょう。

 コック警部の晩餐会  1.9%→2.3%→1.9%→1.6%

 独特の個性を持つ俳優・柄本佑が主演するドラマ。警察ものとグルメものの融合がはかられており、その意味では一つのドラマで両方見られるお得な作品といえます。謎解きがすべて料理・食べ物にかかわっているというのも興味深いものがあります。
 ただ、柄本佑はとてもいい俳優ですが、「味にこだわり、自ら料理の腕もふるいながら、謎解きをする名警部」という役柄に似合うかどうか。柄本佑は、どちらかというと陰を持った複雑な性格の人物を演じるのに優れた俳優だというのが私の意見です。、『あさが来た』の眉山惚兵衛や『遅咲きのヒマワリ』の松本弘樹のような役柄を演じたとき、その個性がいかんなく発揮されるように思います。その点で、ドラマとしては、謎解きのときの痛快感がもう少し出てくることを望みたいところです。


 黒い十人の女  3.1%→3.9%→3.8%→2.5%→3.6%→3.7%→3.4%

 『素敵な選TAXI』などのヒットをとばし、すっかり脚本家としての評価を固めたバカリズムの新作。この作品も、他の作品にはない設定で、おおいに楽しめます。
 テレビ局の中年プロデューサー風松吉(船越英一郎)には妻と9人の愛人がいる、というぶっとんだ設定。主要な女性登場人物が10人もいたら、雑になるところも出そうに思うのですが、いずれも個性を持った重要な人物として活かされています。また、コップの水を相手の顔にかける、といった、女性同士の争いには定番シーンだけではなく、愛人同士で強烈なとっくみあいの喧嘩ををするわ、心の中で他の女性に毒づくわで、女性の愛憎の恐さが鮮烈に描かれています。


勇者ヨシヒコと導かれし七人  4.0%→3.5%→3.2%→3.9%→3.7%


 2011年から始まった「勇者ヨシヒコ」シリーズの第3作。これまで同様に、「低予算」かつ「ゆるーい」雰囲気で制作されています。また、RPGゲーム「ドラゴンクエスト」のパロディ要素が各所に盛り込まれているのも、従来通りです。
 ゴールデンタイムで放送するような作品を深夜枠で追いかけても仕方ないでしょうから、深夜枠はぜひこういう深夜枠ならではの作品を制作していってほしいもの。また、監督・脚本の福田雄一の作品は、プライムタイムの作品よりも深夜枠作品の方が実験的で面白いと思います。


家政夫のミタゾノ 8.2%→6.7%→7.5%

 大ヒット作『家政婦のミタ』(日本テレビ系)のタイトルは、もちろん『家政婦は見た』(テレビ朝日系)をもじっています。もちろん、内容はぜんぜん違いますが、長年親しまれた『家政婦は見た』の知名度は一定の役割を果たしました。今度は本家のテレビ朝日系が、再度もじり返すという「報復」に出た(?)というわけです。
 内容は、松岡昌宏演じる女装の家政夫の各家庭での活躍を描くもの。家事に関しては完璧、というよりももうこれはスーパー家政婦!この点は『家政婦のミタ』に近いと言えます。しかし、毎回異なる家庭に家政婦として入っては、その家の秘密を「覗き見」してしまうところは、元祖『家政婦は見た』を踏襲しています。
 つまりは、元祖『家政婦は見た』+『家政婦のミタ』=『家政夫のミタゾノ』という図式が成り立つようです。となると、『家政婦のミタ』にあった主人公の秘密にあたる要素もあるのか?毎回の問題解決に加えて、ミタゾノの過去にも興味をひかれます。


とげ 3.6%→3.6%→2.7%→2.3%→3.1%

 主人公は市役所勤務の倉永晴之(田辺誠一)。真面目だけれど、ちょっとつまらない人物。市民相談室係長の倉永には、市民からの要望や苦情が次々に届きます。近年「モンスターなんとか」という存在が取りざたされますが、まさにモンスター市民からの無理難題の数々。市役所の若い職員も自分勝手な言動ばかり。それらに倉永がどのように対するのか。
 企画の意図はよくわかるのですが、倉永が立ち上がるまでが長くて、それまで「やられっぱなし」なのがじれったすぎます。なんでいつまでも対抗手段をとらないのか、私は少しいらいらしてしまいました。我慢する期間が長いほど行動の意味が高まるとは思いますが、視聴者は倉永のように我慢強いかどうか。


 潜入捜査アイドル・刑事ダンス  2.0%→1.6%→1.4%→1.0%→1.7%

 深夜0時台の放送ということで、視聴率は高くありませんが、私は、毎週このドラマを楽しみにしています。
 主人公は、25歳の新人刑事・辰屋すみれ(中村蒼)。ちなみに、名前は「すみれ」ですが、男性です。彼は芸能界の犯罪を捜査するために、集められた他のメンバーとともに5人組のアイドルグループ「デカダンス」を結成し、毎回、テレビ局などに潜入捜査をおこないます。
 初回は「歌番組」、第2回は「トークバラエティ番組」、第3回は「サバイバルゲーム番組」に潜入します。いわゆる楽屋落ちのような裏話が多く、テレビ局、芸能界のパロディが満載です。その徹底したバカバカしさが爽快です。
 主演の中村蒼はかつては爽やかな二枚目役を多く演じ、その後『無痛』では複雑な事情をかかえたスキンヘッドの入院患者という難しい役を、『せいせいするほど愛してる』では主人公(武井咲)に猛烈アタックする王子様のような関西弁の青年役を演じました。どんな役もこなせる若手演技はとして評価の高い中村にこの役をやらせていいのかとも思いましたが、コメディもできるなら鬼に金棒かもしれません。
 深夜枠ならではのコテコテのコメディをおおいに楽しんで見たいと思います。


 途中にも書いたように、深夜枠でプライムタイムと同じような作風を追究しても面白くありません。深夜ならではの。とがった作品を今後も見せてくれることを期待したいと思います。




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 恒例のテレビドラマ批評の2回目です。いくつかの作品については先に書きましたので、他の10~12月期のテレビドラマについて、恒例の批評・感想を書いていきたいと思います。

 とはいえ、一度にすべての感想を書く余裕がないため、まずは早めに放送が始まって作品を中心に、その感想を書いていき、残りの作品は後日に書くことにしたいと思います。

カインとアベル  8.8%→8.6%→6.9%

 言わずと知れた聖書の題材からのドラマ化。古来からジェームス・ディーンの映画や韓国ドラマなど、数々の映像化された聖書の物語です。それをフジテレビ「月9」がどう料理するか。
 完璧に見える兄、父から軽視される弟、という構図はもちろん当然の設定。そして二人が同じ女性を好きになるというのも、ドラマのお約束でしょう。となると、今回のドラマ化の目玉は何かということになりますが、そこがもう一つ見えてきません
。設定でも配役でも、何かひねりがほしかったところ。二人が好きになる女性が実はとんでもない腹黒い女で、二人を手玉にとるとか…。それじゃ「カインとアベル」にならないか。お坊ちゃん育ちの弟君のやることが毎回つごうよくうまくいくのも、なんだか安易すぎるような気がしますし、何かこの作品ならではの目玉がほしかったところです。


逃げるは恥だが役に立つ  10.2%→12.1%→12.5%→13.0%

 人気マンガのドラマ化。大学院出の派遣社員が職を失い、家事代行をきっかけに契約結婚をするというストーリー。たしかにマンガ的です。「家事代行」と「契約結婚」の間の差はあまりにも大きく、それを簡単に越えてしまうように見えるのが、いくらマンガ的と言っても私には不満です。しかし、そこさえ気にせずに乗り越えてしまえば、その先は現代的な「不器用な恋愛」ドラマの王道。さらに、ガッキーの可愛さとエンディングの「恋ダンス」が評判を呼び、視聴率は上昇傾向。エンディングで登場人物が踊るのは『最高の離婚』『民王』『グ・ラ・メ』など近年の流行ですが、ここまでネットで話題になることは珍しいこと。まして、視聴率が毎回上昇する作品というのはきわめて稀。ダンス人気と相まって、物語の方でもどこまで視聴者を引きつけるか注目です。


砂の塔~知りすぎた隣人  9.8%→9.6%→8.6%

 思いがけず、高級タワーマンションに住むことになった平凡な家族。しかし、そこはマンションの階層で家族を階級付けする世界。新しく住人となった高野亜紀(菅野美穂)は、マンションの住人づきあいに苦労します。その亜紀を助けてくれる謎の多い住人・佐々木弓子(松嶋菜々子)。そして、連続して起こる失踪事件。謎は深まっていく。
 という話なのですが、なかなか謎が明らかになりませんし、血だらけの浴槽の場面などグロい映像が多いのもいただけません。せっかく菅野美穂・松嶋菜々子という看板女優2名が共演しているのに、それが活かされているかどうか。現代の視聴者は以前よりも気が短くなっています。1話完結ドラマが多いのもそのためで、この作品のような、なかなか謎が明らかにならない作品を視聴者に見続けさせるのは、かなりの力わざを発揮しないといけません。大きな展開があるまで視聴者が見てくれるかどうかが鍵になりそうです。



ラストコップ  8.6%→7.4%→8.0%→9.8%

 近年多いバディもの。とはいえ、事故のために30年間昏睡状態だった50代の刑事・京極浩介(唐沢寿明)が、20代の刑事・望月亮太(窪田正孝)とバディを組むという設定は異例。過去に単発などで数回放送された作品が、今回は連続ドラマになって帰ってきました。
 50代の方は昭和の肉食系オヤジで、セクハラ発言連発。これに振り回される亮太とのコンビはなかなかのもの。また、浩介のオヤジギャグや昭和ネタは、昭和世代のオヤジである私のツボに見事に入ってきました
。ただし、土曜9時枠は小中学生とそのお母さんが見られる貴重な時間帯。昭和オヤジの話がこの時間帯の視聴者に評価されるためには、少し時間がかかるかもしれません。

キャリア  7.9%→6.2%→7.4%→6.9%

 キャリア組であるために若くして北町警察署長になった、遠山金志郎(玉木浩)の活躍を描く作品。その名の通り、時代劇の定番作品だった「遠山の金さん捕物帖」を現代に置き換えた作品とも言えます。
 近年のテレビからは時代劇がめっきり少なくなりました。その時代劇の構図をそっくり現代に移すというのは、近年の現代ドラマのヒット作を考えたとき、いい目のつけどころと思います。ですが、時代劇の『遠山の金さん』の場合は、「えらいお奉行様」と「粋な遊び人」のギャップが肝でした。こちらは「エリート」で「正義感」が強くて「人情」に厚くて…。つまりあまりにも「いい人」です。その分、人物と物語が平板で驚きがありません。たたき上げ刑事(高島政宏)との対比は面白いのですが、もう少し意外性がないと、視聴者は食いついてくれないかなと思いました。


レンタル救世主  10.2%→7.5%→7.3%→7.6%


 お人よしなために、多額の借金を背負って無職になった男(沢村一樹)が主人公。その結果、困った人を助ける「レンタル救世主」という、要するに高度な便利屋になるという話です。タイトルからして、沢村が演じるのはもっとヒーロー然とした、かっこいい主人公かと思ったら、高級便利屋の「やられ役」「引き立て役」をする情けないオヤジが主人公でした。その分、コメディ色が強く、「セクスィー部長」などで見せた、沢村の笑いを引き出す一面がよく出ています。志田未来のブサイク泣き顔や意味不明のラップなど、遊び心が満載。もう難しいことは考えずに、のんびり見ていきましょう。


他の作品、特にまだ書いていない深夜枠ドラマについては、また後日書きたいと思います。



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