愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

広島県因島土生町の秋祭り

2012年10月22日 | 祭りと芸能
10月21日は、広島県因島土生町の秋祭りでした。何年も前から一度は見てみたい祭礼の一つでした。昼間の宇和島でのお仕事を終えて、急ぎ因島へ直行。夕方からが賑やかな行事なので、何とか間に合いました。神社は大山神社。団車(だんじり)と曵舟が勇壮な祭礼で、獅子舞も奉納されます。

団車(だんじり)は、三台登場します。破風屋根なので、一見、瀬戸内海島嶼部に多い破風屋根の曳き屋台のようですが、構造は布団太鼓屋台と似ています。屋根が重ね布団ではないのですが、四本柱の中央に太鼓を据えて、これを叩きながら、差し上げりたりする。車は近年のものであり、担ぎ屋台の一種です。

このような「担ぎ」を基本とする太鼓屋台は、ここ因島でも、だんじり(表記は因島では団車)と呼ぶのですが、隣の生名島や弓削島でもやはり「だんじり」と呼ばれる布団屋根の屋台があります。「だんじり」というと、愛媛では西条市のだんじりの印象が強烈ですが、これもだんじりなのです。新居浜、四国中央市の方からすれば「太鼓台と呼ぶべき?」とも思うかもしれませんが、瀬戸内海島嶼部では、これを「太鼓台」とは呼ばずに「だんじり」と言っています。

ちなみに神輿を担ぐ際には掛け声が「ちょうさ」でした。香川県の方からすれば「ちょうさ」といえば太鼓台。こちらは神輿の掛け声となっています。やはり「ちょうさ」は瀬戸内全般で、神輿、屋台等をかつぐ際の一般的な掛け声と見ていいのでしょう。



獅子舞も太鼓、笛、カネの囃子で、子どもの演じる「獅子止め」の役が見られます。因島からそう遠くはない大三島の獅子舞に似ていました。愛媛では大三島型というように分類していましたが、広島県側の獅子舞の分布も押さえた上で、大三島、因島型獅子舞の分布域を確認する必要を感じました。

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