愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

民俗資料館に関する情報が少ない。

2011年03月25日 | 災害の歴史・伝承
3月11日の地震直後から、博物館・美術館等の全国組織では被災状況の把握につとめ、随時それぞれのホームページ等で情報を掲載しています。その一例が以下のとおりです。

<美術館に関して>
全国美術館会議
http://www.zenbi.jp/

<科学博物館に関して>
全国科学博物館協議会
http://www.jcsm.kahaku.go.jp/

<動物園・植物園に関して>
日本動物園水族館協会
http://www.jazga.or.jp/

<文学館に関して>
全国文学館協議会
http://www.bungakukan.or.jp/kyougikai/index.htm

<文化財に関して>
文化財の被災情報をニュース等から集めて紹介しています。
http://savebunkazai.tumblr.com/

<歴史資料・公文書に関して>
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の会員館の安否確認情報
http://www.jsai.jp/info20110323.html

歴史資料ネットワーク(史料ネット)
http://blogs.yahoo.co.jp/siryo_net

<博物館全体に関して(会員館のみ)>
財団法人 日本博物館協会
http://www.j-muse.or.jp/


現在、私が気になっているのが、歴史系博物館を統括する全国組織がないため、歴史系施設の状況が案外、把握しづらいことです。県立施設など大規模館の状況は情報が流れてくることが多いのですが、市町村立施設はなかなか現地の状況が把握できません。歴史系でも、とくに民俗資料館のような地域の民具(有形民俗文化財)を展示している施設については情報が少ないという印象です。国・県指定文化財・登録文化財であれば、文化財被災関係の中で情報が入ってくることがあるのでしょうが、民具(有形民俗文化財)の多くは未指定文化財です。民具は一般的なイメージでは、卑近なもので特に資料的価値が高いと思われないことが多いのですが、実は地域の生活文化の移り変わりを物語る貴重な資料であり、被災地の復興にあたっては地元の方々の生の記憶が込められた資料として、将来的に活用が期待されるものです。このような民具(有形民俗文化財)を収蔵する施設の状況に対する心配が日々増してきています。日本民俗学会や日本民具学会での動きも大切でしょうし、日本博物館協会では会員館以外でも、全国の小規模な博物館・資料館についても被災状況を把握する動きがあるとは思うのですが、民具(有形民俗文化財)の保全・保存についての声明を出せないものなのか、自問しています。今の段階では被災者の方々の生活支援、復旧が第一で、民具(有形民俗文化財)の被災状況や保全作業までは手が回らないと思います。保全の必要性のアピールだけでも現段階から行っておくことが必要なのかもしれません。






最新の画像もっと見る