この艶やかな熟し柿を見てください!
スプーンですくって口に入れると、とろける甘さと懐かしい香り。
種を包んだゼリーのたっぷり、ツルンとした舌触り。
ああ、美味しい!
・
この柿は愛知県から送られてきた富有柿が、最後になって熟したものです。
子供の頃、山間の村に一時いたことがあります。
竹ざおの先に付いた二股で、柿の枝を折って食べたのは「久保柿」のような小さな実で、その頃はとても甘く感じましたが。
懐かしさ半分でしょうが、柿を食べないと秋になったような気がしません。
・
近くに「大枝(オオエ)」という柿の産地がありますが、先日柿を物色しに行ったとき、渋柿の注文を受けていました。
今年はどうも、全国的に不作の年らしく、キロ当たり650円・・・ずい分高値です。
そこでネットで調べたら、何処もかしこも売り切れです。
吊るし柿を作る人は思ったより多いようですね。
ようやく見つけたのが、愛媛県産の「愛宕柿」。
宮崎県の業者が販売元です。
安くはないけど「大枝」のよりましなので10キロ注文しました。
形が似ているから大枝のしぶ柿も愛宕柿かもしれませんね。
(大枝は古来軍事、交通の要所で万葉集にも詠まれた所だそうです。酒天童子が棲んだのもこの大枝山だという説もあります。)
・
注文した柿がさっそく届きました。
これです!
縦10cm 横8cm、一個あたり350gはあり、29個入っていました。
大きなボールに水を貯めながら白い粉(農薬かも?)を洗い落としました。
・
・
タオルで水気をふき取ったあと、研ぎたての包丁でクルクル剥いたのがこれ。
皮も実も淡い色味です。
皮が硬いので切れない包丁は滑って危険です。
ピーラーもイマイチでした。
むきたてをチョコッと舐めると甘くはありますが、しっかりシブが舌先をこわばらします。
シブと包丁の金気で人差し指は黒くなってしまいました。
・
・
柿の皮は三日間ほど干し、すり鉢で粉にして茶さじ一杯を湯飲みに入れ、お湯を注いで飲むと風邪・感染症の予防になるらしい。
新型インフルにも効き目があるかもね。
・
・
前日に購入したシュロ縄のより目に少しのこした小枝を差し込んで、物干しに吊るし、ヤレヤレ^^;
吊るしてみると
「エー!こんなに少ないの?」
柿農家の軒先を思い浮かべてしまいました
17~18日で柿にしわができて茶褐色になったら柿を指で揉みます。
これで柿の中の水分が外に出るそうです。
4~5日後また揉み、むしろで包んで1日置くと白い粉をふくそうですが、むしろがなければしゅろ箒で果肉の表面に傷をつけても良いそうです。
・
中国では「柿霜」と呼ばれ、この白い粉をかき集めて砂糖代わりにしたそうです。
・
さあ、これから美味しく変貌するカキさん達を日々眺める楽しみが出来たというものです