圧倒的に多数の人々は、若いうちには仕事に追われ,そして子育てに、家事にと、----自らの思いや願いを心に秘めたまま過ごしてきたに違いない。 そう考えると、高齢期というのは人生の中で、最も自由で素晴らしい時期と言えるのではないかと思う。 しかし、高齢期になると新しい知識や情報が入りづらくなるのも事実である。 自分から学ばなければ得てして経験主義に陥り、頑固で偏屈な高齢者になりがちで、社会からも家庭からも疎外されてしまうことも。 人間は高齢になるほど、「自分が社会の中で何をしてきたのか、役立つことをしてきたのか---」と自問自答する傾向が強くなることも事実である。 急速に高齢化する日本では、定年後20年にわたる高齢期が新たな課題として浮かび上がってきた感がする。 誰もが最後まで生き生きと元気に暮らしたいと願っている思っていることは間違いないのだが、少なくとも、「最期まで身の回りのことは自分自身で」「生きがいをもって、生きる張りをもつこと」「家族や友人、近隣の人々との良好な付き合い」「経済的に何とかやっていける見通しをつけること」「人の命は必ず消え去るので、死を覚悟すること」----の、最低この5つの思いぐらいは、シッカリと心に刻み込んでおきたいものである。 戦後70年続いた平和憲法を破壊し、戦前の軍国主義の政治に戻そうとする動きが顕著である。 戦争という人の命と暮らしを破壊する愚行を二度としないと誓った高齢者こそ、平和で安心して暮らせる社会を子や孫に遺す責任があるのではないかと強く思うこの頃である。