THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

「小路」

2008-11-25 | Weblog
「フェルメール全点踏破の旅」 朽木 ゆり子 著

4.デルフト ≪小路≫

ここでは、
≪小路≫とそれに描かれたフェルメールの住んだデルフトを紹介している。(ただし、≪小路≫はアムステルダム美術館所蔵)

小路
この絵も、今回の「フェルメール展」に展示されている絵である。(ココ参照)

デルフトの街角を描いた≪小路≫は、≪デルフトの眺望≫の影に隠れているが大変な名作である。フェルメールは、小さな絵に大きな世界を閉じ込めるのがうまいが、この作品はその典型である。この絵で特に素晴らしいのが、いろいろな素材の質感であり、素材の違いが一目でわかる。また、この絵をみると複製画像と本物の絵の差がわかる。実物からは絵の具の物理的な存在感が伝わってくる。

デルフトに行ってみるといまだに同じような風景が街中に残っている。しかし、
≪小路≫がデルフトのどこで描かれたかは、いろいろな議論がある。現在は、3か所が可能性として残っていて、その中でもっとも信憑性が高いと言われている、アウエ、ランゲンディク通り二十五番地、つまり妻の実家後が、公式に認められている場所であり、解説パネルが掲示されている。しかし、実際にはどの場所かは特定されておらず、リアリスティックに描かれているこの絵も実は、現実を微妙にすり替えられていて、いくつかの要素が組み合わさっているというのが専門家に受け入れられている見解である。