酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

缶コーヒーとの共通点

2008-10-02 10:49:24 | ブレンディッドウィスキーの話
昭和54年の洋酒カタログを眺めております。
最後のページは、価格表。ご紹介いたします
シーバスリーガル12年→8500円
オールドパー12年  →7000円
グレンフェディック10年→10000円
グレンリベット10年  →10000円

高いです!とても買えませんし呑めません。
酒のやまやさんでは、おそらく、この価格(当時)より6割は安くなっております。ですから洋酒は、高級だったのでしょう。
毎晩オールドパーを晩酌に使っておりました田中角栄氏でございます。
1週間で約1本、オールドパーだけでも、月々4万円ほどのお支払い。
例えばですよ、酔漢お薦めの「ボウモア12年」は4200円前後で買い求めますが、当時の価格は11000円。とてもとても買えません。
バーなんかで呑みましたら、一杯いくらするんでしょうか。当時であったら、迷わず「塩竈のお鮨屋さん」へ参ります。(同じお金を持っていたとししたら・です)
考えますれば、洋酒、安くなりました。
「昔は高級酒、今は寝酒」です。ですが、これにも、「からくり」がございます。
やはり税金が問題だったのでした。

「サザエさん」を見ておりまして、原作者長谷川さんが外遊の折、お土産に持参しましたのが「ジョニーウォーカー黒ラベル」でした。
海外に行けば、「ジョニ黒」は定番アイティムだったのです。
「日本で買うより安く手に入る」という事でしょう。ただ、百貨店で買いますと、紙包みにくるまれて「たいそうなお土産」に見えるお酒も、デューティーフリーのすきとおったビニール袋に入っただけだと、何となくありがたみが薄れるような気もいたします。
どうして、「あんなに外国産洋酒が高かったのだろう」素朴な疑問でした。
やはり、「酒税」が今と違っているのでした。
現在の「酒税法」は1953年施行のがベースになっております。
懐かしい響きですが「特級」「一級」「二級」といいます「等級別税率」もこの時課せられたのでした。
単純にアルコール度数にての「級別」
整理いたしますと
特級→度数43度以上
一級→度数40度以上43度未満
二級→度数40度未満
簡単に区別いたしますと上記のようになります。
日本古来からあります「焼酎」は税率が低く抑えられ(今「甲類」「乙類」と区別されておりますが、甲類は単式蒸留で乙類は複式蒸留です。この過程はウィスキーと基本的には変わりません)外国輸入の洋酒には、高い税率がさらにかけられておりました。これが非関税障壁と諸外国から言われて(参考 かみさんの「卒論」です。難しくてわからん!)非課税障壁撤廃と相成りまして、1989年の「酒税法改定」が行われます。ここから少し安くなりました。そして1997年洋酒輸入大国の圧力もあって、さらに税率が下がって「現在に至るわけです」
この税率で計算いたしますと、さきにご紹介いたしました「オールドパー12年、10000円は、税金で4362.62円いろいろと取られているわけです→計算方法に誤りがあるかもしれません。その際はご容赦下さい。それと消費税は含まれておりませんのであわせてご容赦)これ、相当高いですよね。

正月家族・親族が集まっての大宴会。(これは本当にのんべ達の集いでした)
「遅くなったっちゃ」叔父達が次々と集まりだします。
母の兄弟が9人ですので、それなりに、叔父達がたくさんおるわけです。
「んで、こいず持って来たからっしゃ。勘弁してけさいん」
「なんだや、『ジョニ赤』だべ。こげな高級酒呑めんだったらっしゃ。一生懸命『角瓶』空けんでねかったっちゃ」
もうかれこれ6・7人でオールドとかニッカとか角とか空けておりました。
「んで、呑みなおしだっちゃ」
「やっぱし、『ジョニ赤』うめぇべ」
「んでも、貰っておいて言うのも何だけんどやっぱし『黒』の方がうめぇべさ」
「んな事言ったからっしゃ。さとうさんには、『赤』のませねぇべ!」
(一同爆笑)
「『黒』はうめえっちゃ。んでも『赤』とどこ違ぇんだべ」
となります。
(ちなみに、この時、酔漢小学生でございます。間違っても一緒に呑んだくれてはおりません・・・ホント)
ここで、ジョニーウォーカーのお話を少しばかり。
現在でも売上高は世界一位。創業者は「ジョン・ウォーカー」さんです。(「ジョン」が「ルーク」だったらかっこいいのに・・)その時はお酒の名前を「ウォーカーズ・オールド・ハイランド・ウィスキー」と名乗っておりました。
二代目さんが「ボトルの格好を変えてみっぺ。『グランツ』は三角だから、四角さぁしてみっぺし」となりまして、「四角ボトル」が誕生するのでした。「ついでにラベルも斜めさぁしてみたらおもせぇべ」と、今の形になります。
まだ、あの「ストライディングマン」は登場しておりません。
あの絵が登場するのは3代目のとき(名前にはジョン・ウォーカーJrと名乗っております)でした。
8年熟成モルト<核モルトは「タリスカー」(アイランズ・先だって語りました「スカイ島」のお酒)そして「ラガ・ヴーリン」(アイラ)です。>を中心といたしました「赤ラベル」を登場させます。そして12年熟成ものとして「黒ラベル」も同時に作りました。
漫画家「トム・ブラウン」さんへお手紙。
「おらの酒のラベルさぁ書いてけねぇすか?」
「いかすよ!」
と、あの「ストライディングマン」が登場いたしました。
よく、「ジョン・ウォーカーさんがモデル?」と思われておりますが、トムさんの創作人物です。
皆様へは機会がございましたら「ジョニ青」(とは呼ばれておりませんが)こと「ジョニー・ウォーカー・ブルーラベル43度」を飲んでみてください。
「ゴールドラベル18年」「スウィング」などありますが、長期熟成モルト(古酒)のブレンドは難しい中で、なかなかバランスの取れたお酒です。「バランタイン」のブレンド技術に勝るとも劣らない見事なブレンディッドだと思います。
もう一つお試しいただきたいのが「ジョニ黒」をシングルで飲んだ後に「ラガ・ヴーリン」をシングルで飲んでみますと、ブレンディッドの中の核モルトの役割がわかります。(スコッチバーに行った時にでも、お試しあれ)

高かった洋酒も、今何とか買えます。「酒税」がそのままでありましたら、「酔漢のくだまき」は無かったのかも・・。それにしても、「税金は高かった」のでした。

そうそう、冒頭の答えです。
「ジョニー・ウォーカー」の「ストライディングマン」は過去にいろいろ変わっております。時代によって、微妙に変化しているのでした。
「ポッカの缶コーヒー」は髪型を中心にもう数人位役者が変わっているとか。
タイガー魔法瓶のマーク。昔は恐いトラだったしね。

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21 コメント

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オールドパーは良い香りでした (すず)
2008-10-02 16:12:03
>サザエさんのジョニ黒の話

 波平さんとマスオさんが、泣きながら「あの時飲んでおけば良かった」と大事に戸棚にしまっておいたジョニ黒を飲むんです。読んだ当時は子どもだったので意味がぴんっとこなかったのですが、この記事の冒頭にあるように輸入洋酒の価格がぐっと安くなった時のお話だったんですね。

偶然にも夕べ、うちのおじいさんが頂き物のオールドパーを開けたんですが、どうやっても中身が出ない?私も訳が判らずネットで検索して、ようやくあの強引な中身の出し方を知りました(笑)あの方法、香りを保つ為+偽造防止なんでしょうけど、強引ですよねぇ~。
ジョニ黒といえば・・・ (丹治)
2008-10-02 16:54:59
舶来ウィスキーの代名詞でしたね。

父方の義理の伯父が洋行、じゃなくて海外旅行した時(ヨーロッパでした)のお土産がジョニ黒でした。酔漢さんのお話にもありましたが、勿論のこと小生へのではないですよ。当時はまだ小学生でしたからね。祖父と親父へのお土産です。

小生、初めてアルコールを口にしたのは中二。初めて酔っ払ったのが高一、初めて二日酔いになったのが高二、二度目の二日酔いが高三でした(もう時効だらう)。小学生だった頃は断じて飲んではおりません。いや、なめたことすらございません。

みなもと太郎の『ホモホモセブン』第一作で、セブンがとあるキャバレーに迷い込んだ場面でホステスがこういいます。「サクラちゃん、ジョニ黒ー」。

今日の話も懐かしかったです。ワインもウィスキーも含めて、舶来の酒がリーズナブルな値段で手に入るようになったのはいつの頃からでしたかね・・・

大学生だった時、酔漢さんの家に行って悪酔い
○ッドを飲みながら、こんなことを話し合ったのを今でも覚えています。

「国産ウィスキーよりも舶来のが高い(たげ)のは何故(なすて)だや」。
「んだ、同じ洋酒でも普通の酒屋(さがや)で買うど量販店(こんな言葉も珍しかったですナ)よりも高い(たげ)んだど」。

その疑問が、実に二十数年ぶりに解けました。奥様の卒論の御蔭です。呉々も宜しく御伝えあれかし!


やはり黒だべ! (酔漢です )
2008-10-02 17:42:42
丹治様へ
「赤と黒」 どこかの警察でも来そうな・・

と言えば、やはり「黒」だと思います。
熟成年だけではない、ブレンドそのものが違うような気がしてなりません。(これを公開しますと、おそらく秘伝公開になるのだと思います)深みと言いますか、スモーキーさの度合いが格段に違うのです。
「なんでだべ」
この奥を感じるところが面白いのですけど。
独特のキャップ玉付ですね (酔漢です )
2008-10-02 17:55:16
すず様へ
最初にお話すればよろしかったですね。
玉付です。お呑みになられましたでしょうか。
偽造防止策でした。中身をすり替えられないようにとに工夫です。
最初は慌てますよね。
サザエさんの件。はっきりしなかったのですが、ありがとうございました。
あの「ジョニ黒」の顛末まで、記憶がはっきりしておりませんでした。
オールドパーのスモーキーさ。いかがでしたか
そう、それです! (すず)
2008-10-02 20:07:28
 オールドパーは、おじいさんが「美味いっ」と言って飲んでいます。私は香りを堪能しただけで満足です(笑)

「サザエさん」は実家に全巻あって(「いじわるばあさん」も「エプロンおばさん」もあります)子どもの頃から何年もかけて読んでいるからでしょうか、結構覚えています。今となっては教科書よりも、昭和の出来事がよく判る参考書になりましたね(笑)
私には (ひー)
2008-10-02 22:02:32
懐かしい響きのジョニ黒ですね。
最近メッキリウイスキーを飲まなくなりました。
先日やまやに行った時シーバスが3千数百円・・前にも述べましたが、1800円の免税で買っていた時代の印象が強く、最近は少ないお小遣いなので、我慢してます。
勿論昔から比べれば安くなってるわけですがね。
酔漢さんの記事に出てくるボトルを見つめ・・・ジッと指をくわえて見ているだけです。
今のスナックはシーバスやオールドパーは普通に置いてますね。
好きなの買っていいよと家内に言われますが、焼酎を手にしている私です
ブルー・ゴールド・スイング・・・
わかりませんでした。
昭和54年よりほんの少し前のことですが・・・ (ぐずら)
2008-10-03 00:23:20
当時、よからぬ高校生だったぐずらとその一党は、塩竈は尾島町の元は遊郭だったという家の息子の所に集まって「クリスマスやろうぜぇ~!」ということになり、酒肴を取りそろえたんですが・・・

まぁ、十七八のやろっこ集団なので、とうぜん日本酒、ビールはペケ、他の酒は知らねぇー・・ってことで、ウィスキーだスコッチだ!となり、集めた酒が、
バット69、カティーサーク、グレンフィディックにオールドパー、その他もろもろ・・・
ちなみに、その当時のオールドパーの値段は6500円ぐらいだったと記憶してます。

んで、飲みなれてねーもんで、そんな高級ウィスキーを当時のトレンドでコークハイ・・・
コークハイですよ!もったいねぇ~

それから肴は、寿司折人数分、刺盛り、乾き物、ケーキがホールで3個、挙句に七面鳥の丸焼き・・・
七面鳥は、塩釜ジャスコで6000円だったと思いますが・・・

・・・なんちゅうふざけた高校生だったんでしょうか・・・いったいいくら使ったんだ

もっとも、おいらはコーラ1ダースと乾き物少々持ち込んだだけで、ほかのごっつおは美味しく頂きましたが・・・(ごめんなさい
ホモホモセブンは・・・ (クロンシュタット)
2008-10-03 06:34:12
笠神の板橋商店。中学生の私。
「もーしー。おばちゃんこの一升瓶いぐらすんのっしゃ。おつかいで来たんだげど」
おつかいなのに値段を知らぬ奴・・・
なけなしの小遣いで自分用の酒を購入していた、暴走中学生時代でした。

ぐずら様
高校生時代、友人の下宿(クラスで数人は下宿組がいました)で飲んだ際、「食パンに砂糖塗り」が唯一のおつまみでした。

丹治様
「ホモホモセブン」は子供の頃、とてもハマッタ漫画です。あと、「半漁人」。
楳図かずお様には、近所で何度かお会いしました。
先日もすれ違ったので(係争中ゆえ)「がんばってください」と声をかけましたが、「ニッ」と笑っていました。

あ、すみません話題が飛んでしまいました。
長生きのご利益 (酔漢です )
2008-10-04 08:46:19
すず様へ
パー爺さんの話は、ブログ本編で語っております。152歳まで生きた本人です。
おじい様が、「あやかれる」と良いですね。
今は安くなりましたね (酔漢です )
2008-10-04 08:50:06
ひー様へ
かつてより、本当に洋酒の類が安くなりました
宮城には「やまや」さんがありますもんね。
ですが、ウィスキーの売上日本一のスーパーも仙台にございます。長町の「西友」です。(モール)他のスーパーと桁が違います。
やはり仙台の文化なのでしょうね。

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