おはようございます。
今日は成人の日です。ナイスタイミングに風邪で発熱していますが、明日朝
には熱を下げておく予定です。
今日は、2輪車の摺動磨耗部材についてのイオンプレーティング処理を中心
にブログします。
当社がイオンプレーティング装置を導入した十数年前の時点では、まさかこ
の手の市場があるなんて思ってもいませんでした。普通に、切削工具ですと
か、金型への表面処理をするんだもんね~、とのノリでそれなりに稼動させ
ていましたが、ある機械商社の営業ご担当が「バイクのインナーチューブへ
のイオンプレーティングやらないんですか?」ときました。
確かに、フロントフォークインナーチューブやリヤサスペンションロッドへ
の窒化チタンコーティングの存在自体は、ほのかに認識しておりました。
ただ、この手の畑は、つまるところ趣味の世界だから安定的に数字を伸ばせ
ていけるものやら、表面処理だけを前面に押し立てたPR活動が功を奏すの
か否か、さっぱりわかりませんでした。バイクショップ様方やエンドユー
ザー様から表面処理以外の話を始められたら、ちんぷんかんぷんなんだもんね。
摺動部材についての冶金学的見地からの話ならば、ちっとは何とかなるかも
しれんが...
そうこうしているうちに、別に積極的にPRしていなくとも、イオンプレー
ティングをはじめとした当社の表面処理に対する問合せをぼちぼちいただく
様になりました。
やっぱり系統的な営業活動をやろうよ、どうせやるならば大量処理の方がパ
フォーマンスいいし、との社内の声に押されて、いくつかの手法でPR活動
を行ない、今に至っています。
ありがたいことに現在では、イオンプレーティングのPRをすればクロム
めっき再生のお話もくるし、クランクシャフトのバランシングのお話も付い
てきたりして、相乗効果を発揮してくれているみたいです。
全国各地のバイクショップ様から、毎日たくさんのご発注品をお送りいただ
いています。
本当にありがとうございます。
ドカティやモトグッツィなんかのイタリア車はじめBMWなどの欧州車への
処理ご依頼が多い様ですし、古い車の絶版部品のレストア、オンリーワン車
にしたいが為のカスタムなどにご利用いただいてもいます。
(かなりの旧車のインナーチューブです。本来ならば捨ててしまいたいぐら
いなんだけど、絶版部品なので何とか再生してくれ、とのお客様からのお声
でした)
↓
↓ 再生しました。
↓
(クロムめっき膜厚をあまり厚くすると剥落の危険性が出てきますが、と申
し上げましたが、何とか再生して、とのこと。すこしでも欠損の危険性を低
くする為に通常のサージェント浴ではなく、ヒーフ浴を使用してクロムめっ
きしました。クロムめっき前後に円筒研削加工していますので、寸法・真円
度・円筒度いずれも良好に仕上がっています。リヤサスロッド再生のお話も
大変多いです)
(たしか、BMW車だったと思います。BMWショップ様からのご依頼、
かなり多いです。窒化チタン膜の当社商品名は「ゴールドチタン」です)
(倒立タイプのフロントフォークの場合、表面処理前後にアンダーブラケッ
トの脱着が必要です。これも、当社で承っております)
(酸化クロム膜施工のご依頼が増えてきています。なんでも、黒色の方が引
き締まった印象となるのでいいんだとか。酸化クロム膜の当社商品名は「チャ
コールブラック」。初めてこの被膜を開発できた時は嬉しかったな~)
(同じくチャコールブラック。ビッカース硬度は3000前後です。ちなみ
に窒化チタンのビッカース硬度は2500前後)
(チャコールブラックです)
時々お客様から、同じ黒色ならばS社が中心となって開発しているDLC
(Diamond Like Carbon)膜の方が硬度が高いが、とのお問合せがあります。
これに対しては以下の様に回答させていただいてます。
①インナーチューブの様な薄肉パイプへの表面処理の場合、母材のしなりに
対してついていけるだけの被膜の靭性があることが必要。DLC膜はあまり
にも硬すぎる為に硬さ=脆さが発露してしまい、使用中に剥離してくる可能
性がある。
②当社のクロムめっき+イオンプレーティング処理の場合、クロムめっき被
膜に存在するミクロなクラック形状にそのまま追随してイオンプレーティン
グ膜が形成されている為、クロムめっき膜の最大の利点である保油効果と
イオンプレーティングの耐磨耗性とが相乗効果を発揮するものと期待できる。
③DLC膜は、その特徴であるフラットさが、こと、油圧系の部材への処理
に際しては、スリッピングロック(滑るべき状況において被膜に吸着された
かの様に滑らなくなること)現象を発生させてしまう可能性がある。当社の
アーク方式のイオンプレーティング成膜だと、被膜の適度な凹凸が、表面
潤滑にプラスに寄与する。
この様に説明させていただいています。
③については、当社ホームページのトピックス欄バックナンバーもご参照ください。
(アルミ系のスプロケット類。いずれも無電解ニッケル-リンめっきを行
なった上にイオンプレーティングしました。左側の金属色のものは、窒化
クロム(CrN)膜施工品です。このお客様はハーレーダビッドソンの代理
店なのですが、アルミ部品は特注なのかな?)
(イオンプレーティング装置にインナーチューブを仕込んだところです。
ここまでの前処理がおおごとです。湿式の表面処理とはまるで比較になら
ないぐらいの大変さ)
(イオンプレーティング終了。この後、研磨加工→検査→出荷、と続きます)
(樹脂押し出し成型の際のスクリューシャフトです。クロムめっきのみの
ものより格段に耐久性があります。ただし、真空容器サイズの制約から、
MAX820mmまでしかイオンプレーティングできません。このスクリューシャ
フトぐらいが限界です。インナーチューブに関して言えばほぼ全てOK
ですけどね。ピーター・フォンダが乗ってたみたいなのは無理ですが)
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● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
または、TEL:0942-34-1387 へお願い致します。
● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・インナーチューブ・ロール等、
円筒形状機械部品のクロムめっき再生が得意です。
● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティングで
生成します。
● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
平面研削も行います。
● フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工はじめました。
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こちらをちょっと拝見させてもらって結構感動しましたよ(笑)
エロではなく、ものすごく自分が望むようなものだったので・・・・。
旧車のFフォークは感動ものですね!!
オレはかなりヒヨッ子なんですが、一応車の修理屋をやってます。
ですが、メッキや表面処理なんかの話はまったくチンプンカンプンです。
このイオンプレーティングというのは、処理をすると硬度が増すような感じですが、高周波の焼入れとはまた違うものなんでしょうか?
何かお願いすることがあるかもしれませんので、その時はよろしくお願いしますね。
高周波焼入れは、炭素鋼への熱処理です。素材自体を硬くします。イオンプレーティングは、素材の上に窒化物や炭化物・酸化物等の硬質セラミック薄膜を形成する技術です。膜厚は3~5μm程度です。
ありがとうございました。
フロントフォークに手を入れるのって
奥村さんのところでもやってますよね。
あれと同じものでしょうか?
スクーデリアオクムラ様とは、ご一緒にお客様への対応をさせていただくこともよくあります。
今後とも宜しくお願い致します。
古いバイクの再生に、弊社をご利用くださるお客様がたくさんおいでになります。
是非、Kei様もお問合せ・ご利用ください。
ありがとうございました。
インナーチューブの加工について以前より興味がありましたが小排気量車には勿体ない気がしまして勉強しておりませんでした。
価格が気になるところです。
御手数でも、弊社ホームページの問合せ欄から、弊社宛に「価格問合せ」とご連絡くださいませ。折り返し連絡申し上げます。
ありがとうございました。
皆様からのメッセージが、当社を動かすエネルギーとなります。
今後とも宜しくお願い致します。