桂林から飛行機で貴陽(コイヤン=きよう)に着くと、すでに宵闇でした。着陸にかかる
飛行機の窓から見える明かりの少ないこと少ないこと。
あ~、ついに中国で最も貧しいディープな省に来ちゃったんだなー、という感慨が。
空港から市内行きのリムジンバスを、終点の貴陽駅前で降りたのはいいのですが、
降りた途端に怪しげな人々に取り囲まれます。
飛行機に乗って、この町を訪れる外来者が降りてくるので、宿泊案内・ガイド紹介
を渡して来い、あわよくば客引きしてこい、と町のサービス業者から雇われた浮浪
者に極く近い人々なのでした。
こちらのバッグといわず、襟首といわず、少しでも引っかかりがありそうな場所に
名刺大の小さな案内チラシを押し込もう挟み込もうとしてきます。一度に何本もの
腕が延びてきて、バッグをむしり取ろうとします。奪い取るという感じではなく、
ポーターやります、というニュアンスではありますが、とんでもないです。もって
行かれてしまったら二度と戻ってはこないです。
「不要!不要!(プーヤオ!)」と叫びながら、しつこく迫ってくる何本もの腕をふり
はらって小走りに逃げ出せば、追ってくることまではしませんでした。
聞きしに違わず激しい土地です。
駅前の小汚いホテルに投宿しました。
この町を起点に、バスその他で四川省の宜濱(イーピン=ぎひん)の、S君の知合いの
会社へ行きます。貴陽の町から北西へたぶん400キロぐらい陸路移動することに
なるのではないでしょうか。途中、最低1泊はせねばなりますまい。
(貴州省地図です。省都貴陽から北へ。遵義市→仁懐市→赤水市→省境を越えて
長江上流の合江県へ移動します)
(四川省地図です。合江県から長江南岸をさらに上流の濾州市→
今回の目的地宜濱市→飛行機に乗れる成都市へ。陸路はここまでです)
朝、暗いうちに乗合バスに乗り込みます。とりあえずの行先は、終点の卒節地区の
金沙県です。
遵義市まで高速公路を走った後、西へ折れ、2000m級の山中にある鉱山町であ
る金沙へ向かいます。
(貴陽駅前で出発を待つバスの窓から。おそらく苗族(ミャオズー=びょうぞく)だろ
うと思われるオバチャン。布依族(プイズー=ふいぞく)かな?)
山中を走っていると雨になりました。4時間ほどかかって金沙へ到着。バスを乗り
換えて仁懐へ向かいます。
(雨でべちゃべちゃの金沙市街地で。我先に進もうとするバスやバイクやリキシャ
で、交通秩序もへったくれもない、の図。譲り合えば、交通量はやや多いが特段
問題とはならない程度なのですが、この人達ときたら、わざわざ無秩序を作り上げ
ていきます。そんなにクラクション鳴らしまくっても、動けないものは動けませ
んってばっ!)
仁懐市で2度目の終点となり、ここからタクシーをチャーターして、長江の大支流、
赤水河沿いに習水へ。途中、芽台酒で有名な芽台(マオタイ)を通り抜けました。
芽台は赤水河の渓谷沿いに小さく細長く延びた酒造のみを生業とした町でした。
町中アルコール臭かったです。工程からの排気、何も浄化処理されていないみたい
です。
とてつもなく臭い。酔いそうです。
(さらに赤水河沿いに下っていきますと、この様なががたる山並みが。前日まで
漓江沿いにいましたので、それほど感じませんでしたが、ここはここなりに立派
な景勝の地です)
(もし日本国内にこの景観があったならば、結構な観光地でしょうね)
暗くなってから、やっと習水に着きました。
翌朝のバスも早い時刻スタートです。
(習水から省境を越え、長江沿いの合江へ向かいます。町を出ると、とうとう
未舗装路となってしまいました。)
ガダガタベチャベチャの悪路をバスはかなりのスピードで飛ばします。40キロ
ぐらいは出してました。
よせばいいのに、これがまた、バス同士でカーチェイスしちゃうんですよね。
あぶないからやめろってば。
で、ぶつけました。僕達が乗っていたバスが、さっき追い抜いていったバスを
あおっていて、やっちゃいました。
さて、事故処理をどうするのかな、と興味深々見ていたら、何と!こちらの運転手・
車掌ペアと先方の運転手・車掌ペアが口論を始める始末!
おいおい、俺達乗客はどうなるんだ~っ。
(衝突時は30キロぐらいだったと思いますので、大したダメージではありません。
破れた窓にダンボールでも張り付けてそのまま走ってもいい程度でした)
(こんな深山でも通じる中国の携帯電話。S君、さすがに中国慣れしていて、泰然
自若たるものです。「まっ、こんなこともあるやろっ、予定はガタガタやけどな。
ワハハ..」ですと)
結局、2台のバスともにこの場で運行終了です。しとしとと寒げに降り続く雨の中、
こんな山中に放り出されました。荷物も多いし、泣きたいです。
しばらく待ってから、2台ぶんの乗客合わせて20人ぐらい、すでにかなりの乗客
を抱え込んだ後続のマイクロバスに乗り込むことに成功しました。
ところが、このバスの中がまたひどい。首のところで括り付けられたガチョウ
たちが鳴き声を上げ、雨漏りがし、となりのおばさんは車酔いで窓からもどしてい
ます。
最悪なのは、幼児連れの若いお母さん。日本でも有名な子供の尻割れパンツを開き、
バスの床にそのままオシッコさせてます。
こんなふうだったら、そりゃSARSも鳥インフルエンザも流行るわなー、と意を
強くした次第でした。
後部座席では、少しアルコールの入ったおじさん達が楽しげにトランプ博打してい
ます。S君に「あのおっさんらーの言葉、判る?」と聞くと、「一言もわからん」
とのこと。
でも、少数民族ではないみたいだけど。
漢族ではあるのですが、貴州のど田舎ですので、方言が激しすぎるらしいです。
日本での標準語に対する青森弁や鹿児島弁の比ではないらしい。固有名詞や下手
すると文法まで違うこともあるとか。
それって、もはや別の言語やん!
貴州省から四川省に移った途端、舗装路となりました。よかったよかった。
バスの終点は合江県です。まだまだ、濾州→宜濱と移動していかねばなりません。
今のバスで疲れ果ててしまったので、とりあえずタクシーで濾州まで移動しました。
(長江です。かなり上流部なのですが、ご覧のとおりドロドロ)
(川フェリーで渡ります。不思議なことに、すぐそばに橋があるのに渡し舟です。
道がつながっていないからだとか、運転手が言っています。おそらく、お金のこと
か何かに理由があって、でまかせを言っているものと思われます)
濾州でさらにバスに乗り継ぎ、S君の知合いがおられるという宜濱に到着しました。
今までの寒々とした町々と較べ、格段に大きな都市でした。
お知り合いの薬品・食品製造工場などを見学させてもらいました。
(宜濱は、長江が長江と名乗る最上流部にある町です。ここよりさらに上流は
金沙江と名を変えます。その金沙江と大支流の岷江との合流点がこの写真です。
左から岷江、右から金沙江が合流し、写真奥の方の下流へ向かって、長江として
流れていきます。河口の上海まではまだまだ2000キロ以上の距離があります。
ちなみに岷江は九寨コウを源流部に持っています)
(宜濱の市場。この手の風景を見ますと、我々日本人とのメンタリティの違いを
切実に感じさせられるわけです)
宜濱での用件も全て終了しました。歓待していただいた上にお土産までいただいて
しまいました。
嬉しかったです。
また、バスに乗って、今回の陸路の終点、成都着です。ここからは、福岡行きの便が
あります。
S君はここから深セン経由で香港へ向かい、僕の乗る飛行機は上海経由で福岡です。
次にまた同行することを約束して、成都空港で別れました。
ありがとうございました。
(飛行機の窓から見えた長江と武漢市街地。スモッグがやや薄めでしたので、
下の様子がよく見えました。川船用の巨大な造船所もありました)
(久留米の友好都市、合肥の南部に広がる大工業団地。当社の中国でのお得意先の
系列企業もあります。どの建物か、まではわかりませんでしたが)
久留米に帰りついて、すぐ翌日には、東京のIさんと共にサウジアラビアのリヤド
行きです。
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円筒形状機械部品のクロムめっき再生が得意です。
● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティングで
生成します。
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● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
平面研削も行います。
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