みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

以前、自分の著書が

2007-01-13 23:42:00 | Weblog
大学入試の国語の問題に初めて使われた時驚いたのは、入試のとっくに終わった5月頃に問題が大学から突然送られてきたこと。入試問題とたった1枚の紙きれだけ入った手紙には、入試問題なので事後承諾ですみません。印税や使用料はありませんというたったそれだけの内容だった。あまりにもそっけない文面にけっこう驚いたものの、自分の文章が大学の入試問題に使われたことに対する多少の栄誉のような感情がその時おこったことも正直否定できなかった。しかし、その後、私の著作が次々に大学で使われるようになり、そのたびに大学側のこうした横柄な態度に接し、ひどい時には何にも通知してこなかったり(ある国立大学の入試問題に使われていたことが友人からのチクリでわかったのだが)ということが続くと、大学という組織に対してかなりの不信感を抱くようになっていった。
 「入試は営利事業ではないので、著作権法の特例で、使用料を払う必要がない」という説明で納得できる人間が世の中に一体何人いるだろうか?「入試は営利事業ではない」。このことばを聞いて「ふざけんなよ」と叫びたくなる人もたくさんいるのではないだろうか?あれだけ高額な受験料や入学金を受験者たちから取っておいて、「入試は営利事業ではない」という特例を許しているのは、国が作った法律自体に欠陥があるとしか言いようがない。模擬試験などでもこれまでたくさん使われてきたけれど、こちらは大体きちんと事前に連絡してくる場合が多いが、こちらも入試問題同様、勝手に使われていいるケースもたくさんあるかもしれない。そして、その使用料にしても「ホント?」というぐらい安い。これをバラしていいものかどうか判断に迷うが、昨年ある出版社の模擬試験に私の文章が使われた時の使用料はたったの9千円。これで受験料の何人分?と思わず聞き返したくなったが、これも法律での規定があるのだという。要するに、この国はまだまだ著作権者を大事にしていない国なのだということがこれだけでもよくわかる。
そんな折に、そういった著作権者の代わりに、こうした無許可での使用や使用料の不払いなどを代行して調査してクレームをつけてくれたり、裁判などを代わりに起こしてくれる団体から入会の誘いがあった(音楽家ユニオンにもこんな団体があるが)。いろいろ話しを聞きたいと思って、連絡をすると、その会から説明をしにやってきてくれた。しかも、ゾロゾロと3人ぐらいが一緒に(一人で来るのかと思ったら、そんな人数で来られてちょっとビックリだったが)。これからも大学入試などでは使用され続けていくのだろうと思い入会することにした。とはいえ、作曲した音楽も無断で使用されていることは多々あるので、基本的にはこの国の人たちの著作権に対する意識が変わっていかなければどうしようもないと思う。楽譜をコピーですませたり、本の一部をコピーしたりすることに何の罪の意識を感じないこと自体が問題なのだと思う。一冊の本を書きあげるのに、一つの音楽作品を作り上げるのに、一つの映画を作りあげるのに、一体どれだけの時間とお金、そしてエネルギーと才能、技術が使われているかを考えたら、そうおいそれとコピーなんかはできなくなるだろうと思うのだが。