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見応えあり! 亀の瀬地すべり資料館と亀の瀬トンネル

2021年12月10日 | 鉄是好日
亀の瀬の名の由来にもなっている亀岩
この岩付近より大和川上流側1km程が地すべり地帯となっている

この記事で紹介した河内堅上にある「亀の瀬地すべり歴史資料館」にびわ湖鉄道歴史研究会の皆さんと一緒に行ってきました。 行ったのは11月29日だったのですが、「ジグザグルートで北関東・南東北乗り鉄」のブログ作成に予想以上に時間が掛かってしまい、既に10日以上も前の話になってしまいました。 現地は後述の様にしっかりした地すべり対策が施されているので、10日で様子が激変することはありませんのでご安心を。

亀の瀬というのは大阪府(柏原市)と奈良県(王寺町)の県境、生駒山地と金剛山地の間の大和側の流れる地峡にあります。 電車で行くならJR関西線(大和路線)の河内堅上駅が最寄です。 
この付近1km四方程では(行政的には柏原市)過去何度も大規模な地すべりが発生し、大和川の流れや国道25号線、JR関西本線などの交通にも甚大な影響を与えたことから、国による大掛かりな地すべり対策が施されており、それに関連して大和川河川事務所 地すべり歴史資料室が設置されていて、それらの施設が見学可能になっています。 この辺りの情報は大和川架線事務所のホームページに分かり易く掲載されています。
この地すべり対策工事中に、地すべりにより完全に崩壊したと思われていた明治期に大阪鉄道(JR関西本線の前身)によって作られたトンネルの一部が発見され、これを見るのが今回の趣旨でした。 上述のホームページの「亀の瀬に行ってみよう」というページから見学の申し込みをして今回は現地で説明をして頂いたのですが、やはり説明を聞くと聞かないとでは得られる情報の質量が違うので、訪問される際はぜひ説明を聞かれることをお勧めします。

やはり地すべりを理解しないとトンネルがここに埋まっている理由も分からないので、最初に資料室で地すべりのメカニズムや過去の災害についてのレクチャーを受け、さらに現在施工されている対策の概要を頭に入れて、先ずは実際の対策工事の見学をしました。

排水トンネル 中央に深さ20cm程の排水路がある
中は照明もあって人が楽に立って歩ける大きさがある

直径3.5mある集水井 上から地下水がボタボタ落ちてくる
石灰を含んだ地下水滴がカメラのレンズに付くとなかなか取れないので写真撮影には要注意

対策工事は大きく分けると1)杭などを打ち込んで土の移動を止める抑止工と、2)地すべりが起きないように地下水を排水する、移動する土砂を取り除くといった抑制工に大別されますが、今回は(2)の排水トンネルと集水井を見せて頂きました。 実際に見学するのはごく一部ですが、地すべり地帯一帯にこういった施設が展開しているそうです。 

明治時代に築かれた亀の瀬トンネル 奥には崩落現場がそのまま残っている
永い眠りから覚めて驚くほど綺麗な状態で保存されている

地すべり対策工事の見学後、いよいよ排水トンネル掘削中に偶然発見されたという旧亀の瀬トンネルを見せて頂きます。 
この亀の瀬トンネルは工事中から土圧による手直しなどがあって1882年(明治25年)に使用開始となりますが、1931年(昭和6年)に始まる大規模地すべりにより翌1932年に崩落、使用停止となります。 それが上述の様に2008年(平成20年)に一部が完全な姿で残っているのが発見され、現在は日本遺産にも登録されて見学可能な状態になっています。 
地中で眠っていたのと地下水などの滲出が無いためトンネル内部は非常に綺麗で、天井には往時の蒸気機関車の残した煤も見られて一気にタイムスリップしたような感覚になりました。 トンネル内の煉瓦積みは4層ぐらいありそうでしたが、湾曲部など非常に緻密に施工されているのにも感心させられます。

予約時点では他のスケジュールなどから見学時間1時間ぐらいを予定していたのですが、当日は結構質疑応答もあって熱が入り?、現地の平松氏には3時間を超える長時間お付き合い頂きました。 改めてお礼申し上げます。 
私個人としては前出の撮り鉄時に発見したオマケのようなものがきっかけだったのですが、much more than expected、非常に勉強になりました。  現地見学は地質ファンの方などにもお勧めですのでぜひどうぞ。


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