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廃止直前 京阪バスで信貴生駒鉄道の夢の跡を辿る

2023年08月26日 | 鉄是好日
近鉄生駒線ホーム
1926年に全通した王寺~生駒間は現在の近鉄生駒線
 
信貴生駒電鉄は京都方面から信貴山への旅客輸送の目的で設立され、1926年に王寺~生駒間が全通、1929年に私市~枚方東口間が開通したものの生駒~私市間は建設に至らず、その後私市~枚方間は京阪交野線に、生駒以南は近鉄生駒線となり現在に至っています。
この未開業区間は現在(2023年8月27日)生駒~田原台一丁目間を結ぶ奈良交通バスと、田原台一丁目~京阪私市を結ぶ京阪バスを乗り継いで行くことが出来ますが、後者が9月3日限りで廃止になることが決まったので、この機会に信貴生駒電鉄の夢をバスで辿ってみることにしました。
 
田原台一丁目行の奈良交通バスは南口のバス乗り場から
こちらは幾つか系統が分かれるが1時間に3本程ある
 
今回は混雑回避の意味もあって南から北へ向かう事にし、先ずは近鉄生駒駅で下車、南口のバスターミナルから奈良交通バスで田原台一丁目に向かいます。
バスは駅前から県道142号線を北上しますが、道路標識に「↑枚方」の表記があったりしてちょっと嬉しくなります。尤もこのバスは田原台団地行なので途中の俵口(これもタワラグチです)という交差点で県道と別れて左折、後は住宅や田圃を見ながらさらに北上し、約20分で田原台一丁目に到着します。
 
今昔マップon the webで作成した明治後期と現在の重ね合わせ地図
田原台一丁目バス停のかつての姿や、小学校の移設が分かる
 
田原台団地は1990年代、平成になってから造成された様ですが、一方で学校近くの歩道橋に「田原小学校創立150年」の垂れ幕が掛かっていたので古い地図で調べてみると、小学校の場所は多少変わっているようですが、古くからの集落近くの山林を開いて新しい団地が造成された・・・ということのようです。
また、地域の掲示板などを見ると、田原台は奈良県ではなく大阪府四条畷市なんですよね!高校が四条畷市(当時は北河内群四条畷町・・・)にあったのでな~んか懐かしい。因みに四条畷の町は飯森山を挟んで山向こうで、現在はコミュニティバスによって結ばれています。
 
廃止まであと2週間程だが、京阪バス停の標柱には廃止通告の張り紙も無かった
 
少し遅れて到着した18系統(京阪交野駅→田原台一丁目)のバス
左手の奈良交通バスの他、四条畷市コミュニティバス(運行京阪バス)もこのバス停に停車する
 
ところで田原台一丁目と私市・交野市を結ぶ京阪バスは乗車日現在一日2往復、それも土休日のみの運行という閑散便なのですが、流石に9月3日限りともなると折返し交野市行となるバスは立ち客もいる満員で到着、下車すると皆さん一斉にカメラで撮影と、すっかりお名残乗車ムード。いやあ結構バスファンも居るんですね。まあ私も他人の事は言えませんが。
 
定刻11:15分、多分普段は殆どお客さんが居ないであろう折返しの交野市行バスも、この日は私同様に生駒から来た5人+折返し乗車の10人程のお客さんを乗せて出発します。ルート的には国道163号→国道168号の最短ではなく、少し南回りして暫く団地の中を走った後168号線に入りますが、沿道のそこここにカメラを構えたファンが・・・暑いのにご苦労様です。
 
交野市行は団地を出るとほぼずっと天野川を左手に見ながら走る
途中の北田原付近までは田園風景が続く
 
北田原を過ぎると山が迫り、国道にも新磐船トンネルと磐船隧道の2つのトンネルがある
ただ、この路線バスは前者については旧道を迂回するので通らない
 
交野市付近を除けばルートは概ね国道168号線の一本道ですが、途中天野川河川トンネル磐船神社付近だけは旧道を走ります。この天野川河川トンネルや磐船神社、ちょっと降りてみたい気にもなったのですが、流石に次のバスは5時間半も後なので断念せざるを得ませんでした。
 
途中乗車の数名を加え、定刻に交野市駅前に到着
 
最後は京阪の枚方駅で締めくくり
私市~枚方間は現在の京阪交野線となっている
 
電車は私市まで来ているので、京阪私市バス停で下車という選択肢もあったのですが、今回は折角なので終点の交野市駅まで乗車、交野市からは枚方市まで京阪交野線で移動し、奈良交通バス約20分、京阪バス約30分、京阪電車10分の「夢の跡をたどる旅」は無事終了です。
 
概ね国道168号線+県道142号線ルートで見た地形断面図(左が私市、右が生駒)
 
最後に国土地理院の断面図作成サービスを使って私市~生駒間信貴生駒電鉄の夢の実現可能性を見てみました。上グラフの様に私市を出て700m程の地点から天野川河川隧道の上流側(南側)付近まで、3km程の距離で標高差が約75m、平均約25‰の急坂が続き、途中何箇所かはトンネルも必要になりそうですが、いずれも距離は短くて済みそうですし、勾配も電車なら許容範囲なので全体的にそれ程困難な経路には見えませんでした。
建設断念は専ら資金的な問題の様ですが、実現していたら「次は生駒駅、王寺、田原、枚方方面にお越しの方は信貴生駒電鉄線乗り換えです」などというアナウンスが聞けたかも知れませんね。
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