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鉄道統計に見る京阪大津線のしんどさ加減

2022年05月28日 | 鉄是好日
京阪膳所駅にて 日中でも学生など結構乗客は多い

私も月に何回か利用する京阪大津線。 
運輸省から公開されている鉄道統計から、同線の輸送状況を調べてみました。 尚、これらの数値は、毎年更新して「大津の京阪電車を愛する会」のホームページにも掲載しています。



先ず輸送人員(年間、単位千人)ですが、定期旅客は少しずつ増えている一方で、定期外が2018年以降減少傾向になっていることが判ります。 ここからは推定になりますが、定期客の増加は宅地化やマンションの建設が進む石坂線沿線の人口増の寄与が大きいと思われます。 一方で定期外については、まだコロナ前の数値なので2018年の3月に日中の列車間隔が石坂線が7~8分に1本から10分に1本に、京津線が15分に1本から20分に1本に減少した影響ではないかと思っています。 コロナの影響はもっと心配ですね。



次に運輸収入(年間、単位億円)ですが、定期旅客数の増加に比例して定期運輸収入は漸増しているものの、金額的な比率の大きい定期外旅客数の減少により、トータルの運輸収入は2017年以降減少に転じています。 旅客一人当たりの売り上げを2019年で見ると、定期旅客が69円、定期外旅客は169円となり、いささか表現がえげつないですが、余り儲からない定期旅客が増えて、単価の高い定期外旅客が減っているので、全体的には収支が悪化している・・・というなかなか厳しい状況が見えてきます。 現状はインバウンドにも大きく期待できませんが、定期外旅客を如何に増やすかが大きな課題と言えます。



さて、最近JRなどから赤字ローカル線の指標として公表の相次ぐ輸送密度も計算してみました。 輸送密度の意味合いは、該当線区1kmあたり一日何人の乗客があるか・・・ということで、大津線全線の2019年の値は9680となりました。 
JR西日本が公表に踏み切ったのは輸送密度2000以下の線区で、滋賀県周辺では小浜線が991、関西線の亀山~加茂が1090(いずれも2019年)などとなっています。また同年の近江鉄道の数値は1790ですから、大津線は数字的にはそれ程悪くありません。 
むしろ10000近い輸送密度がある訳ですから、万一廃線というような事態になれば、貧弱な大津市内の道路網では輸送需要をバスなどでカバー出来ないことは必定で、如何に健全な状態で鉄道を維持するかという大きな課題があるというべきでしょう。
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