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All Photos by Chishima,J.
(波間に漂うクロガモの群れ 2009年7月 北海道十勝海岸)
7月上旬のある日、早朝の鳥類調査を終えた足で海岸へ向かった。通常なら睡眠不足解消のためすぐに帰宅するのだが、この日は近年減少を痛感していたマキノセンニュウを比較的多く確認できたこともあって、気分が少し高揚していたのかもしれない。午前7時30分過ぎ。浜に出るとすぐ、波打ち際からほど近い海上に多数のカモ類が浮いているのが目に入った。冬ならともかくこの時期の海上でこれほどの数のカモは珍しい。慌てて双眼鏡に目を当てるとそれらはクロガモで、900羽を軽く下らない大群であった。
本来冬鳥のクロガモは、道東の海上では少なからぬ数が越夏しており、数羽~十数羽の小群を夏に見ることはさして珍しくもない。ただ、これだけの数はそうそう見ることがないので、驚いた。昨年の8月にも、付近の海岸で600羽ほどの群れを観察している。その時もやはり早朝だった。どうやら、岸近くの海上に密集して夜を過ごし、昼は沖合も含め広く分散しているらしい。実際、今回の観察中も複数の釣り人が海岸線に集まって来たのに呼応するように沖合へ分散し始め、30分も経たない内に群れはかなりばらけていた。
波打ち際の群れ(クロガモ)
2009年7月 北海道十勝海岸
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本種だけでなく、スズガモやシノリガモなど海ガモ類の中には非繁殖個体が越夏するケースが多い。これだけの数が夏も残っているということは、繁殖しない年も少なからずあるということだろうか。今回観察した群れは、一見ではオスの成鳥が多いように感じたが、メス成鳥やオスの若鳥も含んでいて、特定の性や齢に偏っている印象は受けなかった。海ガモ類だけでなく、アビの仲間のシロエリオオハムなんかも道東から南千島にかけての海域で多数が越夏する(本種については、その大部分が若鳥である)。繁殖地への渡りのコストをかけるよりも、餌の豊富な道東海域で夏を過ごす方が有利なのだろう。
シロエリオオハム(幼鳥)
2009年2月 北海道幌泉郡えりも町
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海ガモ類の幼鳥は一般に成鳥羽への換羽が遅いが、クロガモも例外でなく、3~4月には一見メスなのだが嘴基部に黄色が出始めている点のみがオス的な特徴を示す、オス幼鳥と思われる個体をよく見かける。今回、それよりもステージの進んだ、全体的な体色はオスぽいが、顔が淡色であるなど所々メス的な羽衣を残した個体を何羽も見たので、以下に写真とともに紹介しておく。
クロガモ・オス若鳥3点
2009年7月 北海道十勝海岸
2羽とも若鳥と思われる
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右が若鳥、左はオス成鳥
![5 5](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/44/f2dbbb78924ecce01835fa96bbc270c1.jpg)
最左の3羽のうち、中央がオス若鳥と思われる。その後方がメス成鳥で、それ以外はオス成鳥であろう。
![6 6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d6/cf75475a2eaa834cd335bdaf90eff0f1.jpg)
(2009年8月3日 千嶋 淳)