鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

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十勝の自然97 ネオニコチノイド系農薬と生態系

2016-12-07 13:35:32 | 十勝の自然

Photo by Chishima, J.


コチドリ 2014年5月 北海道中川郡豊頃町)

(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年11月25日放送)


 1962年にレイチェル・カーソンが著書「沈黙の春」の中で警鐘を鳴らして以来、農薬が生態系に与える影響は、さまざまな規制や取り組みがなされながらも問題であり続けています。近年、世界的に危惧されているのがネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ系農薬)です。

 ネオニコチノイドはニコチン様物質を意味し、イミダクロプリド、クロチアニジンなど多くの種類があります。従来の殺虫剤と比べ、人など哺乳類への急性毒性は低いといわれます。しかし、ネオニコ系農薬が広まり始めた1990年代から、世界各地でミツバチの大量死・大量失踪が頻発し、2007年春までに北半球から4分の1のハチが消えたとされます。これら「蜂群崩壊症候群」の主な原因となったのがネオニコ系農薬でした。

 ネオニコ系農薬の特徴として、水に溶けやすく、地面に染み込みやすい上に長期にわたって残留する点があります。これが何を意味するかというと、農耕地で使われた農薬が地面に染み込んで周辺の川や湖沼に広がり、それらが長い年月残ることで、農地以外の生き物、特に水中の生き物や鳥に影響を及ぼすということです。実際に、農薬が地表水に高濃度で含まれる地域で、鳥の個体数が急速に減ったという論文が発表されています。著者らは餌の昆虫の減少がその理由と考察していますが、飼育下のウズラでの実験で、ネオニコ系農薬が生殖機能に異常をきたすとの報告もあり、化学物質が直接鳥に作用した可能性も否めません。

 地球環境に甚大な影響を及ぼすとしてヨーロッパでは規制が強化されていますが、アメリカや日本は特に規制を行っていません。それどころか、日本は今年、ネオニコ系農薬の食品残留基準を緩和するという、農薬メーカーの利益を優先した、世界の流れに反した動きをとっています。

 農地の中に川や沼が点在する十勝平野の自然は、水溶性、浸透性、残留性の高いネオニコ系農薬の影響を受けやすいと思われますが、国や自治体は実態調査すら行っていません。早急な調査や規制が必要なのは明白です。


(2015年11月19日   千嶋 淳)
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