Tomotubby’s Travel Blog

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「武十回」の特殊性

2004-07-24 | Tiger Balm Gardens
「水滸伝」は、羅貫中または施耐庵の作とされていますが、もともと一人の作者による創作ではなく、多くの独立した故事が先に存在していて、誰かがこれらを寄せ集めて梁山泊に集う百八人の英雄の話に組み替えたと予想されています。

百八人は、天罡星三十六人と、地煞星七十二人の頭領から構成されていますが、「水滸伝」の主たるストーリーは実際のところ、天罡星三十六人に関わる物語の連鎖といってもよいでしょう。まず不遇の天罡星が事件を起こし、権力者に追われ、アウトローとして江湖を彷徨う過程で、別の天罡星と出会って、その義理人情にすがって匿われる。その結果、別の天罡星まで道連れにされ、遂には梁山泊というアウトロー集団に引きずり込まれてしまうというお決まりの内容が、九紋龍史進~花和尚魯智深~豹子頭林冲~青面獣楊志という具合に延々と繰り返されます。

天罡星に対して、地煞星七十二人の殆どは重要な役割を果たしておらず、存在意義が感じられません。先に独立してあった天罡星の話を寄せ集めた際に、勘定合わせとして、後から物語に組み込まれたようにも思われます。

武松の独擅場である「武十回」では、最初に武松が小旋風柴進の邸宅に匿われ、呼保義(及時雨とも呼ばれる)宋江と出会う部分こそありますが、その後は、天罡星とは全く出会わず、つまり別の天罡星へのバトンタッチをすること無く、第二のヤマ場、兄武大の仇討ち、潘金蓮と西門慶殺しの話まで進みます。Tomotubby は「水滸伝」の中にもう一つ別の小説が組み込まれているような気がしてなりません。武松に殺されなかった潘金蓮と西門慶を描いたパラレル・ワールド小説が、同じく中国四大奇書の一「金瓶梅」であるわけですが...

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