『おりの中の秘密』
ジーン・ウィリ 著・千葉 茂樹 訳
今日は、私の読んだ本の読書日記。
児童書や絵本を紹介してくれているブログで、この本を知った。
その記事を読んだ瞬間、とにかく読みたい!と思った。不思議な位、惹かれた。
ところが、図書館では、いくら探しても見つからず・・・図書館員の方に教えてもらって借りることができた。
そう。児童書コーナーではなく、ヤングアダルトというコーナーに、静かに眠っていたのだ。
そんなコーナーがあることすら知らなかった・・・どういう基準で、このコーナーに置かれるのかしら?そんな疑問を感じつつ、本を広げる。
そして、そのまま、読みつくしてしまった。まさに、むさぼるように!
こんなに夢中になって読んだのは、久しぶりかもしれない。
耳はしっかりきこえてる。頭もちゃんと動いてる。ぼくはただ、話せないだけ。どうしてなのかはだれにもわからない。話せないからといって、話したいことがないわけじゃない。話したいことならいくらでもある。
そんな言葉で始まる、この本の主人公「ぼく」は、話せない11歳の男の子。
ぼくは、周りの友だちや大人たちの言葉に傷つけられ、疲れ果てている。
そして、言葉を話さないものたちと一緒にいたくて、動物園に行く。
ある日、ぼくの母さんが、一緒に動物園に行きたいと言い出し、二人は、あるオリの前で足を止める。
ゴリラのおり。
そこから、物語は一気に流れ出す。
ぼくは、知ってしまったのだ。その、おりの中にかくされた秘密を。
ぼくが、周りの人たちに傷つけられていく様は、あまりに悲しく、切なく・・・恐ろしく胸が苦しくなった。
ぼくの周りの人間には、これっぽっちも悪気はない。
それが十分すぎる位わかるから、こんなにも悲しく、切ないのだ。
言葉の魔力、言葉の恐ろしさ。
私の紡ぎだす言葉たちは、誰かを傷つけてはいないだろうか?
そんなことを、深く深く考える。
最後に起こる、ぼくとゴリラの奇跡は、最高に温かく、希望に輝いている。
良かったね。心から、そう言って、本を閉じることができた。
そして、そんな温かい気持ちを抱きながらも、また、言葉について考える。
・・・そんな本だった。
難しい漢字にはルビもふってあるし、なぜ、この本が児童書のコーナーにないのか、とても不思議だ。
あんな児童書のハズレのハズレ、漫画の隣に設けられた小さなコーナーでなく、是非、児童書のコーナーに持ってきてほしい。
いつか、少しだけ大人になった息子に読んで欲しい本。
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おお、読まれたのですね。
ヤングアダルトにありましたか。
こういった作品は、読むものに、切なさに耐えられるだけの受け皿がいるかなと思いました。
うちの息子は、その辺、まだ弱くて、つらそうな物語は、直感的に察知して手を出さないんですよね。そういうわたしも、戦争ものなど、いい作品と言われていても、どうしても読めなかったりします。
受け皿か~。
今まで、子どもが理解できるか?だけが、私の基準だったけれど・・・そういう視点もありますね。大切なことだと思いました。
そして、私の受け皿もそらこさんの受け皿も、きっと、色も形も違って、それぞれの感動がありますね。だから、本ってやめられない!
そらこさんには、読めない本があるんですね。
私は、本に関しては、文体が自分に合わないということがなければ、大抵、読めてしまいます。
が、映像は駄目。観たいけれど、観れない映画が、かなりあります。
ちなみに・・・ぼくが傷ついていく場面では、号泣でした。
ここを、しっかりと受け止められる受け皿というのは、なかなか難しいのかもしれませんね。
そこが、ヤングアダルトコーナーの理由でしょうか?(でも、我が町の図書館のコーナーのあり方は、ちょっと一考の余地あり!)
そらこさんの息子さんが、手にとる日がくるでしょうか?
小学生には小学生の、中学生には中学生の受け皿で、しっかり受け止めてくれるといいですね。
溢れ出てしまった時は、私たちが、しっかりと受け止めてあげないといけないですね。
その位、深い作品でした。本当に。
図書館で探して見ます。
それにしても、私もヤングアダルトなんていうコーナー、知らなかったです。。。
ヤングアダルトコーナーというのは、他の図書館でもあるのでしょうか?
ちょっと、知りたいところでもあります。
ヒットしたので、明日にでも借りに行こうかと考えています。おもしろそうですね。
言葉の持つ刃について、色々と考えさせられてしまう物語でしたが、同時に、ラストは、希望に満ちていて・・・良い作品でした。