2020年のオリンピックに備え、各ホテル各社は客室数を増やしています。東京では約25,000室が新たに生まれ、都心の客室不足は解消する明るい見通しです。ホテルを積極的に開設しなかった京都でさえも、5,000室の増設を見こんでいるようです。訪日外国人の観光需要は、急激な増加傾向にあります。ビジネスでの利用も増えています。心配は、これほど急激に増えるホテル利用者に対するサービスの低下です。日本国内では、サービス業における人手不足が顕著になっています。ホテルは、この旺盛な需要に対して、従来どおりの質の高いサービスが求められます。
そこで、ホテルのサービスを客室清掃に焦点を当てて考えてみました。人口の多いアジア地域で旅行ブームが起きています。世界的なホテルの客室数不足が顕著になっているのです。ホテルの費用は、光熱費、人件費、そして建設費からなっています。流通や小売業、そして飲食業は、人手不足で人件費の高騰が続いています。ホテルも客室清掃員の確保に苦心しているようです。女性の雇用はもちろん高齢者の雇用が増えています。ある地域では、高齢者を雇用するのですが、無理な労働が過労を引き起こし、早期に退職する方も増えているとの風聞も聞くようになりました。
このような状況の中で、人手を減らしながら、効率的にホテル業を営んでいるハウステンボスに注目しました。ここは、「変なホテル」で有名になっています。作業効率でも素晴らしい成果を上げているようです。30人のホテル従業員を7人に減らして営業をしています。もちろん、ロボットの導入によるものです。考え方は、ロボットが人間の作業を全てできないという前提で使っていることです。客室清掃で大変な作業は、トイレ掃除、ベッドメイキング、そして浴室掃除になります。この3つは、掃除ロボットに任せられないのです。ロボットにとって、この作業の技術的垣根は高いようです。
現在、ハウステンボスでは27種類、233体のロボットを使っています。床掃除や窓ふき、芝刈りの作業をロボットに行わせています。人間の仕事はかなり減っています。ロボット1台が500~800万円します。1台が従業員2~3人分の給料に匹敵します。とても、手が届かない額のように思います。経営者は、1年目は500万円だが、2年目からは無料になると考えています。毎年給料を払うより、前金で払って後は「ただ働き」してもらうと割り切るようです。人手不足に対する対応策として、ロボットの導入は一つの解決策を提示しています。
ロボットの性能は、1年のスパンではなく、まさに日進月歩です。掃除ロボットができない浴室掃除など3つの作業は、これから克服されていくでしょう。前回の東京オリンピックでは、ユニットバスを導入して大会を乗り切りました。今回は、最初からロボットが掃除のしやすい部屋を設計するのです。今の客室は、ロボットの存在を前提に作られませんでした。どこをロボットに任せて、どこを人間に任せるか、掃除のノウハウが重要になります。ちなみに、ロボットは、暑くても、寒くても、真っ暗でも作業が普通にできます。