長距離王国のケニアの選手には、留学や就職、大会出場などの熱い視線が注がれています。陸上競技における長距離の記録は、ケニアの選手が独壇場の位置を占めます。ベスト20までの中に、5000mが9人、10000mでは11人、マラソンが14人と占めているのです。日本においては、駅伝やマラソンの視聴率が高く、メディアが大々的に報道します。ケニアの選手の獲得は、国際的関心事になっているわけです。
そこで、ケニアの選手を受け入れて成功している国を調べてみました。自由の国アメリカにも、多くの選手が留学しています。でも、日本と違って、成功した選手はいないようです。アメリカの大学では、学業と競技の両立を求められます。成績が低い場合、クラブ活動は停止されます。アメリカでは企業に就職したとしても、純粋にアマチュア選手としての活動が求められます。会社でフルタイムで働き、就業後にトレーニングをすることになります。実力主義のアメリカという風土の中では、努力や精神力だけで国際的選手になることが困難なのです。
日本は、比較的受け入れを上手に行った国でしょう。長距離の強豪校においての活躍が、まずあります。実業団などでも即戦力として活躍しています。ペースメーカーとしての活動も、評価されるところです。でも、彼らに対して、もう少し長いスパンの活躍の場を用意することを考えたいものです。選手生活を辞めたときに、長期にわたってセカンドライフが補償されるような職業訓練を用意しておくのです。日本語の習熟ができれば、ケニアに進出する企業からの誘いがあります。むしろ、ケニアに進出する企業が、組織的にケニアの無名の選手を集めて実業団の長距離部を作ってはどうでしょうか。お金をかけずに、選手の育成と企業に有益な人材の育成を兼ねる仕組みを作れれば面白いですね。ケニアと日本の架け橋になる人材を、企業が独自に作っていくのです。