宅配のピークは、お歳暮と中元の時期になります。12月はその中でも、クリスマスや歳末の荷物が集中することになります。例年この時期、宅配業者はパートやバイトを増員して乗り切ってきたわけです。宅配大手のヤマトが扱う荷物数は、通常の月の2倍になります。これまでは、この時期が学生の休業期間と重なり、比較的バイト要員を集めやすかったのです。ところが、外食産業などでも人手が足りなくなる状況が生まれてきました。人手不足の外食業に加えて小売業も、業種の垣根を越えて人材の争奪が過熱しています。外食産業でも、年末年始の人手不足は確実になっています。過去最高の時給を提示する企業が相次いでいるのです。
そこで、パートやアルバイトの方に企業の要望に添った働き方してもらう仕組みを考えてみました。ヤマトは、一部地域で時給2,000円で運転手の募集をはじめています。アマゾンも倉庫作業で、時給1,850円を提示しています。ネット通販の繁忙期を控え、物流関係のアルバイト時給が高騰しているわけです。ネット通販もそうですが、サービスに支障のないように働いてもらう必要があります。配達に遅れが出れば、苦情が多くなります。「予定通り届かないで困っている」などの問い合わせの電話が殺到します。利用者は、当然時間指定した通りに届くと考えています。問い合わせの電話の殺到が、少ない人数で業務をしている職場をさらに混乱に巻き込んでいきます。悪循環の到来です。
遅配をしないで、笑顔で配達業務をこなす人材が求められています。これらの人材は、給料はもちろんですが、職場の絆も大切になります。アメリカのある調査では、上司と強い絆を持っている社員は、毎月平均588ドル多く収益を上げるそうです。ギャラップの調査は、アメリカ企業で部下と上司が不信感を持って作業する時に生じる損失が、年間3,600億ドル(40兆円)と算定しています。上司が気にかけていると感じているパートやバイトの人達は、会社への歩留まりが高く、仕事の生産性も高いことが報告されています。今後、求人の流れは時給が上昇していきます。でも、時給だけでは人は集まらない状況が生まれつつあるのです。
繁忙期における人手不足は、あらゆる業種で常態化することが確実になっています。より有利に働く職場環境を作るためには、上司と従業員の人間関係が良好になることです。パートやバイトの従業員のやる気を失わせる一言は、「仕事をしてもらうために高い金を出しているのですよ」なのです。高い金は、どこの職場でも用意していいます。その上で、プラスアルファが必要な時代だという認識が必要です。毎日、パートやバイトの方の良い点を必ず3つ上げてみんなに話をしていくことです。個人の良い点を、話すのです。できれば、会社の上層部にその話が伝わるような仕組みを作ることです。会社の上層部はその話を聞いたとき、感謝の言葉をメールでパートやバイトの人に伝えるのです。これは、人間関係に投資する努力です。人間関係への投資を無視すれば、企業や上司の業績は低迷したままの状態になってしまいます。働く姿を把握し、良い点を常に発信することです。