ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

ダンボールが足りなくなるところに商機が見える スモールアイデアNO 184

2018-08-31 06:24:24 | 日記
 
 ネット販売に、ダンボールはかかせません。現在、世界でも最もネット販売の先進国は中国ともいわれています。中国では2016年に宅配された小荷物数が、313億個と4年前の6倍に増えていました。この小荷物数は、日本の8倍を超える数なのです。ダンボールがなければ、ネット販売による便利な社会生活の前提が崩れてしまいます。昨年の中国における「独身の日」では、11月11日が近づくにつれて、ダンボールが足りなくなっていました。ここで、ダンボールを大量に保管していた会社は、大きな利益を上げたことでしょう。
 そこで、増え続けるネット販売におけるダンボールの効果的使用方法を考えてみました。中国の小荷物は、ここ数年50%の割合で伸びています。ネット販売が急拡大する中国の宅配事業に、ダンボールの供給が追いつかない現状があります。一昨年7月に1トン5万円程度だった原紙の価格が、昨年の9月には8万円超えていました。中国では、この原紙の価格が1年で70%も値上がりしているのです。ダンボールの原紙を確保する動きはますます活発になります。中国のアリババ集団などのネット通販が拡大するにつれて、宅配事業はますます普及します。国有企業以外では、アリババ集団は稼ぎ頭です。宅配などに使われるダンボールの消費は、景気のバロメーターになります。この集団は、健在です。これからもこの事業を拡大していくでしょう。
 物の売り買いを敏感に反映する鍵であるダンボ-ルが、不足しているのです。対策を立てなければなりません。日本のあるメーカーが、ダンボールに工夫を加えました。商品棚に、飲料のビンやカンが段ボール箱に入ったまま並べてあるのです。箱のまま商品棚に陳列していても、違和感かないのです。箱をよくみると、見栄えのするデザインが印刷されています。ビンやカンをダンボールから取り出して、並べる必要がありません。並べる作業がなくなったわけです。人手不足という中で、作業効率の改善に寄与する段ボール箱に注目が集まっています。おまけにこのダンボールは、粘着テープやダンボールの端材などのゴミも発生しないように工夫されているのです。出し入れを工夫したダンボールに、改良されているわけです。
 そこで、再度ダンボールの利用について考えてみました。ダンボールが不足しているならば、ダンボールを使わない方法を考えれば良いことになります。その一つに、宅配ボックスがあります。個人用の宅配ボックスを増やして、ダンボールの使用を抑える案が出てきます。次は、丈夫なダンボールを開発して、何度も使い回すことです。ダンボールの箱を返せば、50円キャッシュバックになり、配達の運転手も50円を得るような仕組みです。地球の森林資源は、枯渇状態にあります。資源に優しい行動は、賞讃される風潮にあります。宅配の中で、ダンボールを回収する仕組みを作ることは時代の要請にあっています。
 蛇足ですが、日本のパルプ生産は1000万トンといわれています。実際に使う量は、900万トンです。残りの100万トンは施設を稼動させるために行っているのです。この100万トンが、中国に輸出されています。利益を上げている日本の姿があります。

チケットの悪質転売業者へのちょっとした抵抗  アイデア広場 その393

2018-08-30 17:06:53 | 日記
 
 スポーツやコンサートの入場券の高額転売が、社会問題化しています。希少価値が高く、多くの人が欲しがるものをビンテージといいます。本来は、見たいもの聞きたいチケットは、公正な値段で買えるものです。チケットを高額転売する悪質業者が、ITを使用して買い占めているのです。結果として、利用者が正規の料金で購入できない状況が起きているわけです。悪質転売業者が、販売サイトにコンピュータの自動プログラムを使って申し込みをして、チケットを買い占めてしまうのです。不正アクセスが、全体の9割以上を占めるケースもあるといわれています。
 そこで、コアなファンが公正な料金でチケットを購入できる方法を考えてみました。自動プログラムを利用した悪質業者に対しては、何らかの対策が求められています。その対策は、悪質業者に負担が重く、販売側に負担が軽く、ファンに迷惑のかからない仕組みを作ることになります。チケットを買い占めて高額転売する業者は、ITを悪用しています。社会のIT化は、急速に進んでいます。IT化の進展は早いだけに、IT社会の限界が現れるのも早いのです。普通は、ITの限界が現れた場合、アナログの手法で補うことが行われます。ビンテージなチケット販売の場合、この対象者はコアなファンになります。アーティストが舞台で歌やダンスのパフォーマンスを披露し、ファンがその演技を堪能するというものです。
 コアなファンは、アーティストのチケットを大切にします。その心理が悪質転売業者の高額なチケットを買うという行動になるわけです。一方、これらのファンはチケットを得るために、一定の負担を喜んで引き受ける姿勢ができています。アーティストも、コアなファンに不利益を与えたくありません。この両者が少しの負担を負いながら、悪質業者に重い負担をかける仕組みを作るわけです。その仕組みは、アナログ的な手法の往復ハガキの利用になります。アーティスト側が、開催の日や申し込み方法をツイッターやブログで知らせます。この申し込みのポイントは、往復ハガキでしてもらうことです。ファンは、チケット購入の希望を伝えます。主催者側は、返信用ハガキに申し込みナンバーを記入して本人に送付します。
 返信用のハガキが戻ってきた本人だけが、本当のチケット販売のアクセス権を受けることができる仕組みです。往復ハガキのやり取りが、主催者とファンの負担になります。悪質業者がもし、アクセスをしようとしても、ハガキを持っていなければできません。ハガキを出すとすれば、124円の往復ハガキ代がかかります。現在のシステムで行えば、1ヵ所から5000回程度のアクセスを瞬時に行ってチケットを獲得しているようです。このアクセスする場所もいくつかあるようです。もし、5000回のアクセスをする場合、62万円のハガキ代がかかります。ハガキの出す手間暇とお金は、大きな負担になります。一方、主催者とコアなファンは、ハガキの発送と受取りの手間暇と124円のお金だけの負担で済みます。蛇足ですが、悪質業者は往復ハガキを出すことを、単純作業と考えるでしょう。ファンの場合は、もし当選したらという期待を、開催当日まで楽しみながら待つという幸福な時間を獲得できるかもしれません。
 確かに、主催者側が10,000枚のチケットを販売する場合、大きな負担になります。そんなときには、よりコアなファンに手紙の整理と返信作業をお願いするのです。アーティストとよりコアなファンでパフォーマンスを高めて行くことはよく見られる光景です。プロとアマが協力し合う事業は、新しい局面を創り出します。災害時におけるボランティア活動などにも、出てくる光景です。良い料理は、良い料理人から創られます。その料理人を育てるのは、舌の肥えたお客さんといわれています。良いアーティストを育てるのは、コアなファンになるのでしょう。そのアーティストとコアなファンが、公正な値段で素晴らしい手作りのパフォーマンスを享受したいものです。



マジックナンバー7・日本海海戦・物語化  アイデア三題噺 98

2018-08-29 17:42:23 | 日記
 
 短期記憶ができる情報量は、7個をはさんで前後2個の5から9になります。この記憶量は、マジカルナンバーセブンと言われています。記憶に関心を持つ人の間では、利用価値のある概念として使われています。この短期記憶の時間は、せいぜい20秒といわれています。もっとも、反復したり書いたりすれば、短期記憶内に情報を留めておくことができます。その中で印象に残ったものが、長期記憶に移行していくことになります。蛇足ですが、この時に良質な睡眠が取れれば、記憶の定着が良くなるわけです。このマジックナンバーセブンは、「1」「2」・・・・・・「7」として覚えることができます。また、「029-221-5555」「028-223-6666」・・・・・「027-225-7777」という形でも覚えることができます。027-225-7777のような情報の塊をチャンクと呼びます。マジックナンバーセブンは、チャンクのような数字にも当てはまります。さらに、1行の文章や数行の段落にも適応できるのです。チャンク間の関係を付けることによって、体制化を図ることも可能です。体制化には、階層性とか、類似性とか、論理性などがあります。例えば、論理性は、「あることは、あることから必然的に導かれる」というものです。
 漠然とした事例を挙げると、日本海海戦があります。1905年にロシアバルチック艦隊が、西対馬海峡にさしかかりました。連合艦隊の哨戒艦信濃丸がロシア艦隊を発見し、三六無線電信機で電信を送ったのです。戦艦三笠が三六無線電信機で電信を受取り、戦局を有利に展開したことはよく知られています。当時の通信技術は、イタリアが進んでいました。1895年に、マルコーニが長距離無線に成功していたのです。彼はイタリア政府にこの技術を売り込んだのですが、拒絶されたのです。マルコーニはイギリスに渡り、特許を申請し、すぐに認められます。当時世界一の海軍国であったイギリスは、すぐにこの技術を採用します。もっとも、イギリス海軍がマルコーニにイギリス渡航を要請したという説もあります。日本海軍は、日英同盟の中でイギリス海軍をお手本にしていました。当然、マルコーニの通信技術を利用しました。日本海海戦では、連合艦隊の無線電信技術はロシアの無線技術を上回ったということです。これが、日本海海戦に勝利した理由を論理性を持って導かれる事例になるというものです。
 短期記憶や長期記憶などに関するいろいろな記憶技術があります。その中で、共通しているのは物語化なのです。物語を作ると、頭の中にある知識を使い、覚えるべき事がらをその知識に結びつけていきます。物語化は覚える場合も、思い出す場合にも効果を発揮します。記憶の単位をチャンクとして大量に覚え、さらに物語化をして大量の記憶をアウトプットしやすいようにしていくことができます。さらに、階層性とか、類似性とか、論理性などの視点から記憶をインプットし、アウトプットできるようにすれば、楽しい学習が可能になるかもしれません。

 

漢江の奇跡・パルリパルリ・小さい国内市場    三題噺 97

2018-08-29 17:35:33 | 日記

 現在の韓国では、「パルリパルリ」(韓国語で「早く早く」の意味)という国民意識が形成されたといわれています。パルリパルリは、昔から朝鮮半島にある伝統概念ではありません。高麗・朝鮮の中世の時代には、「パルリパルリ」の文化は無かったのです。その当時は、もっと鷹揚なパターンが存在していました。役所の応対は、非常にのんびりと行われていたようです。でも、今の韓国行政官は、短期間で成果が求められるように、何事にも迅速に対応しようという意識は強いのです。民間企業でも、同じように素早く成果を確実に上げる仕組みができているようです。「パルリパルリ」は、韓国の国民意識を象徴する概念になりつつあるようです。
 そこで、古代朝鮮や李朝鮮には見られなかった「パルリパルリ」が、どのように形成されてきたかを見てみました。韓国初の浦項総合製鉄所(ポスコ)が稼働することを前提にして京釜高速道路の計画は進められました。ソウルから釜山までの高速道路は、韓国経済発展の原動力となったものです。1960年代後半、高速道路に使用される膨大な数量の鉄筋を韓国国内では調達できない状態にありました。でも、この建設計画を強引に推し進めたのです。その牽引役は、浦項総合製鉄所(ポスコ)の稼動だったのです。世界の常識を打ち破るような強行軍でした。浦項総合製鉄所が稼働し、鉄筋が出荷されると、京釜高速道路の工事がスタートしたのです。世界が驚く奇跡を、短期間で完成させてしまいました。京釜高速道路で習得した技術をサウジアラビアなどの産油国で活かして、外貨を稼ぐという仕組みを作りあげました。京釜高速道路の技術を活かして、外貨を稼ぐ「漢江の奇跡」の経済成長を遂げたわけです。
 韓国は、天然資源に恵まれず、日本に比べれば国内市場も小さい国です。韓国企業にとっては、そもそも国内市場だけでは生きられないとの切迫感は強いのです。その韓国に最初に降りかかった危機が、まず朝鮮戦争です。それを乗り越えて、順調に経済成長をする時期がありました。次に、IMF経済危機が襲いました。韓国国民の愛国心が、この危機を乗り切る原動力になりました。国民が貴金属を供出して、この危機を乗り切ったのです。「パルリパルリ」の国民意識は、朝鮮戦争やIMF経済危機、そして海外に進出する企業の危機意識が作りだしたものといえます。
 余談ですが、朝鮮半島の人々と日本人は、DNAで共通部分があります。日本と朝鮮半島の人々のDNAには、経済発展を遂行する資質が宿っているのかもしれません。



空きアパート解消・高齢者の受け入れ・不動産価格の上昇  アイデア三題噺 96

2018-08-28 20:45:12 | 日記

 相続税対策で、全国に多くのアパートが作られました。でも、ソロソロ空き家が目立つようになっています。その一方で、お年寄りがアパートに入れないという理不尽な現象も起きているのです。その理由が、孤独死の増加です。東京23区内での孤独死は、8千件以上の割合で推移しています。遺体の発見まで時間がかかると、臭いがきついために消臭や消毒が必要になります。この事態を大家さんは、嫌うようです。
 そこで、高齢者がアパートを気軽に借りられる仕組みを考えてみました。高齢者がアパートを借りる場合、余生を送る住まいとなります。このアパートで孤独死などになれば、賃貸物件ですから、関係者は原状回復や早急な退去などの追い込まれることになります。子ども達の保証人がいれば、よりスムーズに行くのでしょう。けれど、昨今の孤独な高齢者の増加は、配偶者も親権者もいない状態での死亡となります。葬儀には、お金がかかります。役所の手続きも複雑です。親権者がいない場合、さらに状況は複雑になります。結果として、大家さんは、高齢者にアパートを貸さないようになるようです。
 でも、これらの問題がスムーズに解決する仕組みが整っているのであれば、空いているアパートを使ってもらった方が地域に利益をもたらします。一般的に相続人が確定後、名義変更依頼書、故人の戸籍謄本、除籍謄本などの手続きを経て、銀行口座の凍結を解消して行くようになります。手間と複雑な手続きがあります。これらの問題において、親権者のいない場合でも、賃貸契約を結ぶときに、死後の手続きをスムーズにする仕組みを作るわけです。もちろん、役所もこの契約に関与します。大家さんの心配を取り除いた上で、賃貸契約を成立させていくことになります。
 この時、大家さんが1棟に8つの個室を持っているとします。この部屋を貸し出す場合、条件を付けるのです。例えば、「花が好きな人であること」という条件です。アパートまわりの庭のお花を世話することを条件に、アパートを貸すのです。お花の好きな老人だけに部屋を貸すわけです。同じ趣味の人達同士で、花を通して良好な人間関係を作れるかもしれません。隣人との付き合いも、花の世話を通じて、お互いの見守りということも自分たちで行うことができます。孤独死などの状況にはならない仕組みが作れます。常に庭が手入れされていれば、治安の良い地域になります。人の目が常にあることを、花を通してアピールできるからです。おまけに、治安が良ければ地域の不動産価格は上昇します。もし、花を育てる名人が入るならば、無料にしても利益が出る地域になるかもしれません。この手の人材は、得がたいのです。



バイト学生を育て長く確保する仕組み  スモールアイデア NO 183

2018-08-27 20:46:54 | 日記
 近年の人手不足は、深刻な状態です。三大都市圏の7月のバイト募集時平均時給は、前年同月に比べ24円高い1035円になっています。人手不足を背景に、2カ月連続で過去最高額を更新しているのです。関西地方の平均時給は27円高い1002円と、首都圏以外で初めて1000円台に乗せました。高校生バイトも、不足しています。特に、激しい入れ替わりに、多くの飲食店やコンビニ店が困っているようです。もっとも、一般社会人になっても、3年の勤務で高校生も大学生も、30~50%が会社を辞めていくという現実があります。ある程度の期間を努めてほしいという企業側の希望が、切実になっているようです。
 そこで、バイトの高校生を確保し、その人材を将来にわたって活躍できるようにする仕組みを考えてみました。高校生は、学校で勉強し、予習復習をし、余裕のある場合はバイトをするという生活パターンになります。高校生の能力を伸ばしながら、バイトをしてもらうことが基本になります。一定の学力は、将来の社会にとっても必要なものです。短大や大学に進むには、より高い学力が必要になります。バイトをすることにより、この能力が消耗するようでは、望ましい生活パターンとはいえません。もし、バイトをしながら成績を伸ばすような生徒がいたのならば、奨学生候補として優遇してはどうでしょうか。コンビニは、人手不足に悩んでいます。大学は少子化により、定員の補充に苦労しています。大学とコンビニが、産学連携を行うのです。質の高い人材の確保と育成を、コンビニの現場を通して行うわけです。
 入社時点で最低限身に付けておくべきことを大学時代に学び終えて、すぐに使える人材になっていれば企業としては嬉しいことです。大学で必要なことを学んでから、入社するのが良いに決まっています。ある企業は、カスタムメイドで大学2~4年生向けのカリキュラムを作っています。この企業は、このカスタムメイドのカリキュラムを大学の授業で行ってもらっているのです。入社した時に役立つ勉強を、じっくり実践してもらっているともいえます。このカリキュラムは、経営、会計、販売などの実学を重視したカリキュラム構成になっています。
 産学協力の一環として、企業が大学のカリキュラム作成に参加し、教育内容に食い込んでいるわけです。企業に美味しいことだけでは、産学連携が成り立ちません。カリキュラムに係わる教授の皆さんには、産学協力のプロジェクトにも参加してもらい、研究費を助成する仕組みもできています。もちろん、コンビニ奨学金を支給される学生は、大学で経営や販売の勉強を積み上げていきます。4年後、入社しなければ奨学金を返還させることになります。近年、公的奨学金の返済に困っている人々が増えています。それを、補完する仕組みになるかもしれません。
 蛇足ですが、大学の単位には、実学としてコンビニのバイトが単位として認められることになります。今後、東南アジアに進出するコンビニ各社は、学生のうち海外研修を経験をさせることも可能でしょう。大学の講義には、「海外進出におけるコンビニ戦略」などのテーマがあっても面白いかもしれません。

トイレ市場・中国とインド・各国の事情   アイデア三題噺 95

2018-08-26 17:56:36 | 日記

 日本国内のトイレ市場の成長は、頭打ちになっています。日本の新設住宅着工戸数が、前年度に比べると減少する傾向が続いています。日本国内と海外の二本立ての販売戦略になるようです。中国の北京市では、外食店のトイレについて、「食事時間帯は15分に1回のチェックをするように」と通達が出されています。チェックのしやすい高機能トイレの導入が、トイレ市場の追い風になっています。インド政府のキャンペーンでは、『トイレをまず作り、寺は後で建てよう』と宣伝を繰り返しています。中国とインドも同様に、政府が普及策に取り組んでおり、トイレ市場が拡大する公算が大きいのです。
 そこで、今回は特にインド焦点を絞り、インドのトイレ事情を見てみました。各企業も、トイレ需要が伸びる中国とインド市場の開拓に重点を置いています。LIXILは、インド南東部に工場を持つ現地の衛生陶器メーカーを買収しました。インドの便器などの衛生陶器の市場規模は、630億円年と推計されています。そこに、先行投資を始めたわけです。製造設備を最新鋭にし、従業員の技術水準も上げて高品質の製品生産できる体制を整えています。インドの消費者が、LIXIL製のトイレを注文すると、工事の業者を紹介してもらえる仕組みを構築しつつあります。でも、インドのトイレ事情においては、高級機能の便座や便器、そして洗浄機などは、都市部の富裕層を中心に使用されることになるでしょう。
 インドにおける一般家庭のトイレ普及率は、50%程度に留まっているのです。実はインドでは、住居内にトイレがない家庭が多いのです。野外に放置された糞尿を、不可触民が集める仕組みができていたわけです。もし、トイレが完備すれば、不可触民の仕事がなくなります。つまり、糞尿を集めるカーストが消滅することになります。蛇足ですが、政府の目指す普及式のトイレの構造は、簡易水洗方式です。そのトイレは、手桶で水を流す2槽式になっています。簡易水洗方式のトイレは糞尿で一杯になると、それを下肥にします。戦前、日本の農家でもよく見られた光景です。下肥にするためには、時間がかかります。その間は、もう一つの槽に糞尿を流す仕組みになっています。インド政府は、このトイレを全土に6千万台設置する施策を実施しています。2019年には、100%にする目標を掲げているのです。
 中国とインドには、トイレ市場の可能性があります。でも、トイレ事情は少し異なるようです。中国の場合、生活の質を向上させる要素が強いようです。もちろん、感染症を阻止する要素もあるようです。インドの場合、カースト制度を崩す要因として、トイレ普及を政策として選択したようです。日本の企業は、各国の事情を考慮しながら、成功を修めてほしいものです。


カースト制・IT技術者・上昇志向   アイデア三題噺 94

2018-08-26 17:50:41 | 日記

 13億人の人口を持つインドは、憲法の上では平等を謳っています。でも、強固な身分制度であるカースト制の慣習が、根強く残っている民主国家でもあるのです。カーストは、司祭階級、武士階級、平民、そしてその下に不可触民という人達がいます。不可触民は、糞尿を手で集める人達なのです。インド政府が進める簡易水洗方式トイレの普及は、不可触民を救うための施策でもあります。糞尿を手で集める仕事以外の職業を見つけることが、望まれるわけです。
 そこで、カースト制度の流動化を図る方法を考えてみました。最下層のカーストの人々が別の分野で働くことができれば、経済成長の原動力になります。これを実現するモデルがありました。以前、司祭階級や武士階級が高い教育を子弟に与えようとして、都市に移動していた時期がありました。移動した後の土地を、農民が手に入れ裕福になっていた経過があります。その農民も低いカーストからの脱出を目指して、都市を目指したのです。この農村における下層階級の社会的上昇志向が、今日のインド経済全体の発展を支えてきた重要な要因になっているのです。農村の労働力の流動化が、インドの経済に活性化をもたらしたともいえるのです。
 不可触民という下層階級の人々が、社会的自立と上昇志向を持って、新しいサービス産業に従事することができれば、さらなるインドの経済発展に寄与することになります。インドの誇るコンピュータのソフト産業には、カースト制度がありません。過去から続くカーストには、職業によるカーストが連綿と続いてきました。でも、新しい産業であるIT産業には、カースト制がないのです。日本のソフト産業の狙い目は、この人達になるかもしれません。
 余談ですが、インドに進出したトヨタ自動車は、小学校に女子トイレを設置したのです。当初、このトイレ掃除は、不可触民の仕事と考えられていました。でも、トヨタは設置の条件として、小学校の生徒や先生が掃除を行うことをお願いしたのです。この事例は、成功しました。生徒も先生もカーストに関係なく、トイレを掃除をするようになったそうです。





良質なトイレ文化を広め、その利益を享受する   スモールアイデア NO182

2018-08-26 17:46:38 | 日記
 国内の市場が飽和状態になったときに、多くの企業は海外に目をむけるようになります。海外に進出するときには、市場要因を考慮します。市場要因には、住宅の構造、人口構造、都市計画、不動産環境などあります。現地の市場の特性に合わせて商品やサービスを再構成することも必要になります。そして、海外進出のターゲットには、経済成長を高めている国になります。その国は、中国です。社会が豊かになり、自宅のトイレの機能にこだわる人々が増えているのです。日本の温水洗浄機付きトイレは、この国で人気が高いのです。日本の国内事情と中国の消費者とのマッチングが、当然プラスに働くことが推測されます。
 そこで、中国への高級トイレ販売を考えてみました。中国では、便座や便器などトイレ市場の拡大が続いています。2016年のトイレの便器の販売量は、4480万台と前年比で12%伸びたのです。人口減少の日本では、想像もできないほどの消費量です。特に、温水洗浄便座の機能などが付いた高機能トイレの人気が爆発的に高まっているのです。2016年の高機能トイレの販売台数は、310万台と前年から60%ほど増加しています。中国メーカーの温水洗浄機付きトイレは、約5万円程度で、日本製は10万から15万円程度で販売されています。上海などの都市部の富裕層は、より高級な機能のトイレを購入するようです。
中国政府は「トイレ革命」を掲げて、全国規模で衛生的なトイレの整備を進めています。政府の上層部が、「観光地の劣悪なトイレを改善するため、トイレ革命を推し進めるように」と強い指示を出しています。国民の意向と政府の意向が一致している間は、生産や流通、そして消費が安定期に入ったことを示しているわけです。人口が密集する都市の生活は、感染症との戦いの歴史でした。ローマ帝国の浴槽は、ローマという都市が雑菌を繁殖しやすい環境だったために整備された産物でした。江戸時代の100万都市江戸も、雑菌が繁殖するために、浴槽が整備され、お風呂の文化が栄えました。中国には、伝染病で苦しんだ苦い経験があります。その轍を踏まないように、国民の健康を向上させる政策に取り組んでいるのでしょう。
 中国は長い目で見れば、水不足になる国になります。蛇足ですが、アメリカで起こったシェール革命は、人類にとって採取可能な石油が数倍増えたことを意味します。この採取には、資金、技術、そして水の存在が不可欠なのです。石油を含む地層に水圧破枠用の水を送り込むことが、重要な技術になります。中国には、地層に送り込む大量の水の確保が困難なのです。ある面で、中国は今でも水が不足している国といえるかもしれません。話は、戻ります。中国の富裕層の方は、タンクと便器、そして洗浄機能が一体化したデザインを好むそうです。水不足とデザインの一体化ということから、一つのアイデアがでてきます。お風呂に使った水を大型タンクに貯めて、トイレの水として使うまでの一体化した商品を開発してはどうでしょうか。災害時には、非常用の水になります。余談ですが、人間が1日30分トイレで過ごすとすれば、人生80年で約600日トイレで過ごすことになります。高級機能トイレを購入すれば、600日を快適な環境で過ごすことができるようになるのです。ちょっと、儲けた気持ちになる中国の方もいるかもしれませんね。

太陽光発電ビジネスの主戦場は販売から保守管理に  アイデア広場 その392

2018-08-25 17:44:37 | 日記

 パキスタンにある太陽光発電施設では40k㎡の敷地で、メガソーラーの建設が進んでいます。2015年に開業し、当時の発電能力は40万㎾でした。現在では、原子力発電一基分を超える100万㎾以上で稼動しています。中国企業が、太陽光パネルを40万枚以上を設置して稼動しているのです。パキスタンは、地方で1日10時間以上も停電が続くなど深刻な電力不足に悩まされています。そのために、電力はいくらあっても良い状態といえます。
 アジア太平洋地域の太陽光発電による発電能力は、2012年において世界全体の20%でした。2016年には48%まで急増し、欧州の34%を抜き去ったのです。太陽光発電の能力がアジア太平洋地域では、欧州を抜いて初めて世界最大になりました。技術進展で発電コストは大幅に低下し、原発や石炭火力より割安になる国も増えているのです。太陽光発電設備がほとんどなかった新興国も、電力需要増を見込み能力拡大に取り組む状況が続いています。余談ですが、パキスタンの巨大メガソーラーは、中国が総額5兆円規模でパキスタンに支援する援助の一部になります。でも、これだけ世界中で、太陽光パネルを生産して、耐用年数が過ぎたらどうなるのだろうと考えてしまいました。
 そこで、耐用年数の過ぎた太陽光パネルの有効利用を探ってみました。2030年代半ば以降、耐用年数の過ぎた太陽光パネルの大量廃棄が見込まれています。使われなくなった太陽光パネルが、感電防止策を取らずに放置されている事例も増えてきました。また、分解が難しく、有害物質の有無を確認しないまま埋め立てたりしている事例もあります。耐用年数の過ぎた太陽光パネルの回収やリサイクルの仕組みを、法整備も含めて本格的に検討する時期に来ています。
 太陽光パネルを生産する企業は、以前は日本がトップを占めていました。でも、残念なことに現在は、10位にも入れない状況になっているのです。中国企業を中心に、このビジネスが行われています。その中国企業にも、倒産という波が押し寄せていることは、新聞報道などを見れば明らかでしょう。実は、太陽光発電ビジネスの主戦場は、新設から保守管理に移りつつあるのです。発電所の稼働状況を、ドローンや監視カメラで遠隔監視したりするビジネスです。さらに、発電あるいは設備の損傷をした場合、補償する保険を用意するビジネスなども出てきています。もちろん、故障時には現場に迅速に駆けつけて、部品を交換したりするサービスもあります。自動車保険とJAFが融合したようなサービスが、出てきているともいえます。
 もう一つの方向は、太陽光パネルを分解し、使用素材を回収し、リサイクルするビジネスです。現在の太陽光パネルの生産枚数を考慮すると、2030年以降には世界中に廃パネルが溢れる事態が推測されます。最近、廃パネルのガラスと電池部材を分離する「ホットナイフ」と呼ぶ機材が開発されました。パネルからアルミフレームを1分以内で外す装置を作りだしたわけです。従来は、この分離が難しくまとめて粉砕していました。粉砕の際に、有害成分が混ざり、埋め秒立てざるをえなかった事情があったわけです。分離がスムーズに行えれば、分離したガラスは素材メーカーなどに販売することも可能になります。自社の精錬所があれば、ガラスや電池部材が含む銀などの金属を低コストで再資源化することも可能になります。廃パネルの回収から分解、そして再資源化という一連の処理技術は、もうすぐ実現されるようです。
 もう一つの課題は、一連の処理技術を行う技能者の養成ということになります。途上国から技能実習生として、パネルの監視や修理、そして廃パネルの再資源化行う人材を受け入れることが考えられます。日本において、数年間パネル補修や再資源化企業で研修し、技能を身につけるわけです。その間、日本企業も人手を確保できます。技能実習生は、本格的に訪れる廃パネルのリサイクル事業に携わり、その技能を祖国で活かすことになります。ウインウインの関係が、作られるというお話です。