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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック』ロン クラーク著, 亀井よし子訳

2007年01月24日 | 教育関連書籍
 

あたりまえだけどとても大切なこと.jpg



“給食費を払わない親” に関するニュースには本当に驚かされました。とうとう、そんなところにまで、教育問題が出てくるんだと…。子供の “食育” 問題は親や家庭のしつけ問題でしょう。


ゆとり教育導入当時に、絶対反対だと思った理由の中で、一番分かりやすいものが、

【すでに同様の発想で、アメリカ、イギリスでの“ゆとり教育的なもの”が大失敗している】 ということでした。


先日ご紹介した、『日本を滅ぼす教育論議(岡本薫)』 の中でも、ゆとり教育を始めると知った外国人から“日本人は我々を見ていないのか” と言われたというエピソードが紹介されています。


そうです。すでに20年前にアメリカのレーガン政権は、衰退するアメリカ経済の問題は教育にあるとして 『危機に立つ国家 :A Nation At Risk』 を発表し、これは何千万部も売れたベストセラーとなりました。その一部、英語ですがよろしければご覧下さい。大学受験生なら読めると思います。


 →http://www.ed.gov/pubs/NatAtRisk/risk.html




結局、日本でも教育再生会議がこれから、きっと “日本版、危機に立つ国家” を発表し、アメリカのゼロトレランス方式(生徒に対する不寛容:小さなことでもきちんと罰則を与える) が、例えば、いじめっ子に対する出席停止措置にあたるのでしょう。


数年前の予想通り、もうそっくりの道をたどっていると感じます。


そんなアメリカでも、教育現場で悩まされたのは、学力の低下の後に続く、マナーの低下、日本なら少し前の学級崩壊、フリーター、失業問題、そして犯罪です。


本書は2001年に「全米最優秀教師賞」を受賞した著者が、教育現場における日常生活のマナーの大切さを紹介した本です。


目次は以下のようなものです。


大人の質問には礼儀正しく答えよう

相手の目を見て話そう

だれかがすばらしいことをしたら拍手をしよう

人の意見や考え方を尊重しよう

勝っても自慢しない、負けても怒ったりしない

だれかに質問されたら、お返しの質問をしよう

口をふさいで咳やくしゃみをしよう

何かをもらったら三秒以内にお礼をいおう

もらったプレゼントに文句をいわない

意外な親切でびっくりさせよう

〔ほか〕


日本とは文化が異なりますので、そのまま具体例を受け入れることはできないでしょうが、その行動の根底にある、相手に対する思いやりは共通です。


ポイントは、この筆者が上のようなことを頭から押しつけるのではなく、まず自ら実践し、それがなぜ大切なのかも子供たちに考えさせていたからこそ成功したというところだと思われます。


大変読みやすく、ユーモラスでもあり感動的でもあります。 本書は子供の教育論であるばかりでなく、私たち大人の生き方をも問題にしていると思います。ちなみに著者はこの教育実践を通じて、ハーレムの底辺校から優秀な生徒を生み出しています。


給食費もそうですが、上記のような、普通は説明せずとも “当たり前” だと思われることが、そうではなくなっている、このような題名、内容の本が必要とされる時代になったとも考えられますね。

あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック

草思社

詳  細


P.S. 給食費問題、すずさんのブログ、【What A Woderful World】 で取り上げておられます。ぜひご覧下さい。

  → どうしようもない親、息ができなくなる 
   



また、genio先生の時事問題もチェック!

 → 入試に出る時事ネタ日記





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 『あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック』ロン クラーク著, 亀井よし子訳
(草思社:254P:1470円)





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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブッシュの教育政策 (ysbee)
2007-01-24 14:29:24
VIVAさん、本日2007年の年頭教書が発表されました。
ブッシュはこの中の教育問題の項目で、相も変わらずおなじみの「No Children Left Behind Act」をまた持ち出しました。これはもともとU.S. Marine/米国海兵隊の戦場での鉄則「No Men Left Behind」(倒れた仲間を置き去りにするな)をそのまま教育現場の政策に持ち込んだ、まことにイ~ズィ~な命名の法案です。

要するにおちこぼれ生徒の解消という主旨なんですが、軍隊用語を教育界にもってくるあたりがネオコン丸出し。これが9/11以前のブッシュ唯一のお題目で、この法案名を聞いた時点で、とんでもないのが大統領になっちゃったなぁと誰もが唖然とした法案でした。

それから早や6年!すでに60兆円にもなろうというイラクで使われた軍事費を、国内の予算に回していたらどんなに潤沢になっていたことか……戦争は社会のあらゆる断面に影を落としています。平和は社会の、教育の、基本条件です。あと1年半の辛抱!
(この著者はクリントン時代にこの本を書いたのでしょうね、多分)
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ysbeeさん (VIVA)
2007-01-24 17:52:34
こんにちは、そうでしたね、すっかり失念しておりました。No children left behind ですか。なるほど、背景を知らないと、“おぉ~いいなぁ~”ですね。

本書は、アメリカ版のマナーですが、本当にこんなんなんだと思いましたよ。そういえばブッシュは理科の授業で、進化論と天地創造説と両方教えればよいと言ったそうですね。
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有難うございました。 (すず)
2007-01-24 18:26:14
 わざわざご連絡有難うございました。拙い文章ですが、実際に給食費を払っている親として書いたものです。皆さんのご意見が沢山伺える事を期待しています。
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すずさん (VIVA)
2007-01-24 20:02:56
それにしても…、払わないという選択肢があるのかよという気がします。高いのかなぉ~。給食費、気にしていませんんでしたが、未納が合計すると億単位にのぼるんですね。
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Unknown (kazu4502)
2007-01-24 21:59:03
VIVAさん、毎日ご苦労様です。
勝手にTBしました、すみません、どうも道日教組に我慢がなりません。時間があれば読んでください。
今後ともよろしくお願いいたします。
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そういえば (haruママ)
2007-01-24 22:48:11
給食費、一応払ってます・・・
小学校へ行くようになって、PTA会費及び協力費というのが、給食費と一緒に引き落とされてますが(ウチの学校は、全部引き落としなんです)、ただ、説明の段階で「何にどのように使われるのか」という点をイマイチあやふやにされたのが(学校側に)ひっかかりました。
別に払いたくないわけではないし、自分自身なかなか協力できないので、あえて「内容」を聞いたのでしたが、逆に思われたようでした。
「~費」というのが何だか多い気がして、保育園の頃から、使い道や内容を詳しく聞いてた私なんですが、小学校ではうっとうしく思われてるようです。

この本、立ち読みした記憶が・・・恥ずかしながら、自分、ちょっとダメ親かも・・・って思いました(ちょっとじゃないって!?)。
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haruママさん (VIVA)
2007-01-24 23:28:35
うちの子供、実は、あの亡くなった、風見しんごさんのお子さんと一緒の小学校だったんです…。

それはともかく、今、その小学校の給食費を確認したら、毎月【4450円】だそうです。

あっ、思ったより高いなという印象ですね、勝手に3000円くらいだと思ってました。

もちろんだからと言って払わないという選択肢はまったくないんですよ(笑)。

低学年・中学年・高学年で違うそうです。

あれ?何か複雑なことがありそうな気がしてきました。
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kazuさん (VIVA)
2007-01-24 23:38:07
most welcomeですから!
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高いのでしょうか?? (すず)
2007-01-25 08:57:13
 ここの小学校の給食費は毎月4000円です。年度末の2月だけは調整として2720円ですが、VIVA様の学校で学年ごとに違うのは、食べる量の違いからでしょうか?

 この地域での給食費未納対策は、「子ども会ごとでの集金」なんだそうです。金融機関からの引き落としよりは、断然回収率が良いそうです。同じ学区内で頻繁に顔を合わせる同士、迷惑はかけられないという意識からでしょうか?人の口に戸は立てられないからでしょうか?なるほどなと思いました。
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すずさん (VIVA)
2007-01-25 09:36:27
まぁ、まずは、とんでもない金額でない限りは、額の問題ではないというところがポイントですが(笑)。

とりあえず、どうなんでしょう。今、うちの塾のある横浜都筑区の中川というところは、お弁当は驚くほど安いんですよ。300円でもあります。大人の弁当が。1月なんかは15日くらいしか給食はないでしょうからね。

記事にいくらですかと、他の人にも問いかけておけばよかったですね。

金額が3段階に分かれているのは、そういうことだと思います。確かに、1年と6年は相当違うでしょうが、ずっと通うことを考えれば、一律でも良いのでしょうか。

集金は引き落としです。すずさんのところのようになったら、きっと払っていない人が多いということなんでしょうね。
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