みんなが楽しく過ごすクリスマス。テレビにはにぎやかな番組がたっぷりあるし、お正月もすぐそこ。冬休みは楽しいことがいっぱいあるけれど、子どもたちにその休みの間に読んで欲しい一冊を取り上げます。
小説すばる新人賞や直木賞など数々の賞をとっている村山由佳さん。筆者はじめての短編で、一日で読めますし、中学入試にも出される感動の一冊で、挿入される絵もすばらしい。
■■■ ストーリー ■■■
場面は昭和61年(1986年)、小学校4年生の主人公のワタル、その仲間ハム太、ノリオ、ヤンチャ4人の物語です。いつも一緒に遊び、出かけるのも、いたずらをして叱られるのも一緒。
ところがある日突然、ヤンチャが原因不明の病気にかかって入院してしまいます。 見舞いに行くと、元気の固まりのようだったヤンチャの、やせ細り、体中に発疹のある変わり果てた姿に3人はたじろぎます。そんなヤンチャを喜ばせたい一心で、彼らはタイムマシーンを作りはじめます。
もちろん遊びで作ったおもちゃのようなものですが、それでもいいからヤンチャは乗ってみたいというのです。
クリスマス直前、やっと完成したタイムマシーンの写真を持って、ヤンチャのいる病室に駆け込むのですが、彼はそこにはおらず、ヤンチャのベッドがきれいにされています。ヤンチャはその日の朝、突然、発作を起こし亡くなっていたのでした。
そして、ヤンチャのお葬式の日、残された3人は、ヤンチャを助けるのには間に合わなかったけれど、将来、大人になったら絶対にタイムマシーンを作ろうと固い約束をします。
やがて、月日が流れ、世紀が変わる2001年、当時10歳だった彼らも25歳になりますが、あの約束はもちろん果たせないまま。約束には決着が付かないまま、3人がおのおのの人生を歩み始めていますが…。現実にタイムマシーンが作れなくとも、果たせなかった過去の約束を忘れない。
■■■
友情の物語とも、大人への成長の物語とも言えます。最後はやや哲学的な独白で終わっていますが、それが、すっと頭に入るかどうかは個人差がありそうです。まぁ入試で狙われるのもこのあたりでしょう。
クリスマス直前に友達が死んでしまうという展開ですから、明るい話ではありませんが、筆者のすぐれたユーモアのセンスと、印象的なエピソードで読み手を離しません。短時間で読めて、しかも深い、子どもに何かを考えさせるには絶好の一冊だという気がします。
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『約束』村山由佳 画・はまのゆか
集英社:96P:1680円
ぜひ子供たちに読んで聞かせたいと思います。
はっきりしたエンディングがないので、考えると思うのです。ちなみに主人公のワタルも最後はまだフリーターです(笑)。学校の推薦図書にはならないかも。
子どもって、考えてるようで考えてなかったり、考えてないようで考えていたり・・・そんな、気持ちに時々ハッとさせられます。
きっと、私が読んで家においといたら、いずれ娘も読むんでしょうね~。大人が読んで感じることと、子どもが読んでかんじることと、やっぱり違うのでしょうか・・・ね?娘がどう感じるのか、いつか読んだ時に、聞いてみたいものです。
かなり遅くなりましたが、ブックマークさせていただきました。(いいですか?ってそれも遅いですね・・・スイマセン)
機械オンチで・・・夫に言われて気付いた、頭がスローな私です。
これからも、宜しくおねがいします
ブックマークありがとうございます。haruちゃん、haruパパさんによろしくお伝え下さい。
村山さんといえば恋愛小説、と決めてかかっていましたが、この作品はすばらしいですね。教えていただき、ありがとうございました。
小中学生(高校生も?)が安心して読める本を薦めていらっしゃるようですので(そんな解釈で、宜しいのでしょうか?)、何故村山さん?と不思議でしたが、今日この本を読んでみて納得しました。『天使~』(シリーズ)が余りにも有名になりすぎましたよね(笑)。
ところで同じタイトルの『約束』(石田衣良氏)も好いですよ。短編集ですが、全編しみじみとした作品です。大阪教育大付属小学校の事件からヒントを得て描かれたそうです。そういえば、石田さんも恋愛小説の大家でしたね。お二人とも、幅広いジャンルの作品が描ける方なのでしょう。
今『手紙』が売れていますが、この作者の東野さんも『サンタのおばさん』という児童書をお書きです。
作家というのは、どんな頭脳をお持ちなのでしょうか? 私には まるで別世界の人、という感じがします(泣)。
もちろん、生徒たちに良書を薦めるのが一番の目的です。ご父母や講師仲間には薦めるというより、いろいろ考える材料になれば良いかなと…。
何よりこうして、例えば風先生から情報をもらったり、やりとりさせていただけるのは大きな喜びです。
風先生もブログがあればいいのに…。