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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『約束』 村山由佳 画・はまのゆか

2006年12月24日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け

 

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みんなが楽しく過ごすクリスマス。テレビにはにぎやかな番組がたっぷりあるし、お正月もすぐそこ。冬休みは楽しいことがいっぱいあるけれど、子どもたちにその休みの間に読んで欲しい一冊を取り上げます。


小説すばる新人賞直木賞など数々の賞をとっている村山由佳さん。筆者はじめての短編で、一日で読めますし、中学入試にも出される感動の一冊で、挿入される絵もすばらしい。


■■■ ストーリー ■■■


場面は昭和61年(1986年)、小学校4年生の主人公のワタル、その仲間ハム太、ノリオ、ヤンチャ4人の物語です。いつも一緒に遊び、出かけるのも、いたずらをして叱られるのも一緒。

ところがある日突然、ヤンチャが原因不明の病気にかかって入院してしまいます。 見舞いに行くと、元気の固まりのようだったヤンチャの、やせ細り、体中に発疹のある変わり果てた姿に3人はたじろぎます。そんなヤンチャを喜ばせたい一心で、彼らはタイムマシーンを作りはじめます。

もちろん遊びで作ったおもちゃのようなものですが、それでもいいからヤンチャは乗ってみたいというのです。

クリスマス直前、やっと完成したタイムマシーンの写真を持って、ヤンチャのいる病室に駆け込むのですが、彼はそこにはおらず、ヤンチャのベッドがきれいにされています。ヤンチャはその日の朝、突然、発作を起こし亡くなっていたのでした。

そして、ヤンチャのお葬式の日、残された3人は、ヤンチャを助けるのには間に合わなかったけれど、将来、大人になったら絶対にタイムマシーンを作ろうと固い約束をします。

やがて、月日が流れ、世紀が変わる2001年、当時10歳だった彼らも25歳になりますが、あの約束はもちろん果たせないまま。約束には決着が付かないまま、3人がおのおのの人生を歩み始めていますが…。現実にタイムマシーンが作れなくとも、果たせなかった過去の約束を忘れない。

 

■■■

 

友情の物語とも、大人への成長の物語とも言えます。最後はやや哲学的な独白で終わっていますが、それが、すっと頭に入るかどうかは個人差がありそうです。まぁ入試で狙われるのもこのあたりでしょう。


クリスマス直前に友達が死んでしまうという展開ですから、明るい話ではありませんが、筆者のすぐれたユーモアのセンスと、印象的なエピソードで読み手を離しません。短時間で読めて、しかも深い、子どもに何かを考えさせるには絶好の一冊だという気がします。

 

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『約束』村山由佳 画・はまのゆか
集英社:96P:1680円

 

 


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
平和ですね (kubokawa)
2006-12-24 12:17:33
平和でいい本ですね。
ぜひ子供たちに読んで聞かせたいと思います。
コメントありがとうございます (VIVA)
2006-12-24 13:12:13
友人が亡くなる話ですから、平和かどうかは読む人によると思いますが、良い本だと思いますよ。
Unknown (milesta)
2006-12-24 13:21:42
いろいろと考えさせられそうな本ですね。村山由佳さんは、重い本から恋愛小説、エッセイといろいろ書かれていますが、児童書まで書かれていたんですね。読んでみたいです。
milestaさん (VIVA)
2006-12-24 19:12:20
記事で書いた繰り返しになりますが、子どもに何かを考えさせるために読ませたいなという本なんです。

はっきりしたエンディングがないので、考えると思うのです。ちなみに主人公のワタルも最後はまだフリーターです(笑)。学校の推薦図書にはならないかも。
一度読んでみたいです (haruママ)
2006-12-25 23:52:38
純粋に、読んでみたいです。
子どもって、考えてるようで考えてなかったり、考えてないようで考えていたり・・・そんな、気持ちに時々ハッとさせられます。
きっと、私が読んで家においといたら、いずれ娘も読むんでしょうね~。大人が読んで感じることと、子どもが読んでかんじることと、やっぱり違うのでしょうか・・・ね?娘がどう感じるのか、いつか読んだ時に、聞いてみたいものです。

かなり遅くなりましたが、ブックマークさせていただきました。(いいですか?ってそれも遅いですね・・・スイマセン)
機械オンチで・・・夫に言われて気付いた、頭がスローな私です。
これからも、宜しくおねがいします
haruママさん (VIVA)
2006-12-26 07:39:09
大人なら一時間もかからずに読めるだけの量しかありませんから、ちょっと時間があれば、図書館でも、立ち読み!でも読めるでしょう。気に入れば購入されれば良いと思います。子どもに読ませたかったのと、絵がきれいなので買いました。

ブックマークありがとうございます。haruちゃん、haruパパさんによろしくお伝え下さい。
とても良かったです。 (風)
2006-12-28 18:49:18
こんばんは。
村山さんといえば恋愛小説、と決めてかかっていましたが、この作品はすばらしいですね。教えていただき、ありがとうございました。
小中学生(高校生も?)が安心して読める本を薦めていらっしゃるようですので(そんな解釈で、宜しいのでしょうか?)、何故村山さん?と不思議でしたが、今日この本を読んでみて納得しました。『天使~』(シリーズ)が余りにも有名になりすぎましたよね(笑)。
ところで同じタイトルの『約束』(石田衣良氏)も好いですよ。短編集ですが、全編しみじみとした作品です。大阪教育大付属小学校の事件からヒントを得て描かれたそうです。そういえば、石田さんも恋愛小説の大家でしたね。お二人とも、幅広いジャンルの作品が描ける方なのでしょう。
今『手紙』が売れていますが、この作者の東野さんも『サンタのおばさん』という児童書をお書きです。
作家というのは、どんな頭脳をお持ちなのでしょうか? 私には まるで別世界の人、という感じがします(泣)。
風先生 (VIVA)
2006-12-28 20:12:02
そうですか、そうおっしゃっていただけると大変光栄です。

もちろん、生徒たちに良書を薦めるのが一番の目的です。ご父母や講師仲間には薦めるというより、いろいろ考える材料になれば良いかなと…。

何よりこうして、例えば風先生から情報をもらったり、やりとりさせていただけるのは大きな喜びです。

風先生もブログがあればいいのに…。