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CX「ザ・ノンフィクション~婚活ドキュメンタリー後編」に思う

2024-02-13 12:47:00 | 放送
フジテレビの「ザ・ノンフィクション」で2週続けて婚活テーマのドキュメンタリー放送「令和の婚活漂流記2024」(2/4、2/11)が放送された。婚活のカリスマとも呼ばれる植草美幸氏(婚活アドバイザー)の薫陶を受けて婚活に励む人々の奮闘ぶりを描く番組である。婚活に励む3人(女性1人、男性2人)を個々にスポットを当てて、植草氏のアドバイスを交えたその活動を追ってゆく内容となっている。ここでは「後編」の内容を中心に記してゆく。

この番組は放送後の反響が大きく、各方面で話題となっているようだ。そこで共通して見られる論調の一つに、2人の男性の内の1人である進藤さん(仮名・29歳)へのエールを含む内容が多い事が分かる。進藤さんは正直すぎるほど非常にピュアな男性で、カリスマ婚活アドバイザーである植草美幸氏の助言を素直に聞き入れて自分を変えようと必死に頑張っている。良い人ではあるのだが、その一方で筆者が気になった部分も多かったのも事実だ。

まず、YouTube動画のコメントでも同じ意見が散見されたが、進藤さんの「鼻出しマスク」の不快感、である。この番組で進藤さんが映るシーンの多くで彼は「鼻出しマスク」の状態になっている。そもそも「マスクをする意味・目的」が全然理解できていないようだ。とても理系の開発系業務をしているとは思えないほどだ。理系であるにも関わらず科学的思考ができないのだろうか。意味も考えずに「形」だけ社会に合わせている…かのように見える。理解以前に意識化もできていないのだろう。筆者はここに彼の無神経性が象徴的な形で露出していると考えている。筆者自身はこのようなタイプの人といかなる形でも関わりたいとは思わない。

そもそも彼は「自分を変えたい」と思っているにも関わらず、番組を見る限りでは全て植草氏のいいなりになっており、「そこまでやらないと(植草氏のいいなりにやらないと)自分は変わらないんだろうな」と述べている。「自分を変えたい」にも関わらず「他人任せ」なのである。つまり主体性が無いのである。ここにも彼のやりなげな精神や悪い意味での無頓着な人間性が出ている印象を受けた。

また、植草氏との面談シーンでは、進藤さんが椅子の背にもたれて座り、腕組みをしながら植草氏の話を聞く姿が映る。ここで植草氏はそれを「態度が悪い」「そこが相手に不快感を与えているかも」として注意するのだが、番組の最後の方で進藤さんは再び同じ誤り(腕組みして話を聞く)を繰り返しているのである。さらに、このドキュメンタリーの前編で登場したお見合い相手の北川さん(仮名)に対して悪意があったか無かったかは不明だが、失礼な物言いをしてしまうあたりに、この進藤さん自身の「無神経」「無自覚」そして「未熟さ」を感じてしまうのは筆者だけではないだろう。さらに言うなら、それ以前に北川さんにも大きな問題があったのであり、進藤さんの言葉はそれに対する意趣返しとも取れる。そうだとしても、その「場」を荒らさない対応は29歳なら求められるところ、と言えよう。

これが社会経験の少ない20代前半ならともかく、社会経験もそれなりに積んできたであろう29歳になってこれでは…如何なものだろうか、という気がするのである。相手に「問題あり」と思ったとしても、少なくとも、こうした外から見える部分でこれだけ「無神経」を感じさせてしまっては、「そりゃ婚活も難しいでしょうね」と思わざるを得ないものがあるのだ。もちろん進藤さんは基本的には「良い人」だとは思う。故に頑張って欲しいと思うが、しかし、進藤さんの根っこの部分にあるこの「無神経」「空気が読めない」部分が今後もネックになりそうな気がして仕方ないのである。ポイントは、「彼がいつ、そこに気がつくのか」、であろう。

それから、進藤さんの名誉の為に書いておくと、交際が成婚に至らないのは相手となる女性側にも問題がある場合が多いのだ。今回、進藤さん47回目のお見合いの相手となった東大卒の女性は進藤さんに対して「上から目線」基調で対応してくるのが鼻についた。「家事はどれくらい出来るのか」「毎日、料理を作って写真を送れ」などと進藤さんに上から目線で要望(ほとんど命令?)するのだが、これ自体が失礼なことである。それでもピュアにそのオーダーに応える進藤さん。そして、彼が「真剣交際」の段階に進めたいと希望したのだが、女性はその回答を保留した。だいたい「回答を保留」の段階でもう「終了フラグ」が立っているのだが、進藤さんはそれでも健気に待ち続けた。その後、真剣交際には進めたのだが、最終的には女性の親が進藤さんの学歴を問題視(女性は東大卒)した事や、進藤さんの家事能力の問題、そして彼の年収では持ち家を購入することは無理だろう、という女性の判断で交際は破談となったのである。だが、学歴云々は最初から判っていた筈であり、最後の最後で「それ言う?」な妙ちきりんな対応には疑問がある。それでも番組はこうした女性側の問題はスルーし、植草氏もスルーするのである。植草氏もテレビ局も「婚活はひたすら男性側だけが必死に頑張るもの」という枠組みで捉えているのだろうか、と疑問に思う。さらに、この相手女性もたいがいだが、現代は男性に優秀な学歴、さらに豊かな経済力、そしてイケメンであること…という条件が揃っていないと家庭は持てないのが実態だ。全く救いのない話である。少子化になるのも当然であろう。



50代の会社経営者にして資産家の内田さん(男性・仮名)は、植草氏から「貴方は早とちり」と言われるように、早合点して自分で都合よく解釈して突き進んでしまう傾向があるようだ。また、自分の言動・行動に無意識的なところが多いのかもしれない。街なかでの番組インタビューに応える内田さんは無意識的に耳の穴をほじる動作を数回繰り返していたが、それが照れのせいだとしても、あまり品の良い行動とは言えないだろう。
そのせいか、何度も婚活には失敗を重ねているようである。だが、この「婚活テーマのドキュメンタリー後編」に於いて、内田さんのターンで最も気になったのは、実は内田さん自身よりも、今回のお相手である中国人女性(40代)である。この女性も経営者とのことで、対等な経営者目線で話せる分、内田さんとは気が合う…ように思えたのだろう。結婚後の生活についても生活費を折半して公平に折り合いをつけてやっていく殊勝な姿勢を見せていたお相手の中国人女性だが、交際が進行して内田さんが「これはもう成婚だな」と確信を持ち、例によって先走って植草氏に成婚退会の申請をしてしまった。しかし、相手の中国人女性は植草氏に対して「未だ成婚していない」「結納金が欲しい」という希望を伝えてきたのである。それだけではない、「結婚後の生活費は全て夫が支払うのが当然で女性が払う必要はない」と言い、さらに駄目押しに「(自分の分の)成婚料も払って欲しい」とねだる始末。内田さんとのお見合い・デート時には殊勝な態度をも見せ、愛情があるような振る舞いを見せていた中国人女性だが、いざとなるとこれである。えげつないレベルで欲望丸出しだ。

これに対して内田さんは「文化の違いかな」と思ったようだが、これは筆者やこのブログをお読み頂いている読者の方ならある程度想像できるところであろうが、中国人・中華民族というのはこういうものなのである。中国人は常に「自分の利益」を第一にモノを考え、そしてそれが全てだったりする。徹底的に自分中心・自己中心的なのである。そこに日本人的な「思いやり」「性善説」の発想や思考など一切無い。一切だ。悪口を言っているのでもないし貶しているのでもない。これが中国人の民族的な特質として普遍的に見られるものである、と言っているだけだ。それは厳然たる事実である。こうして内田さんのケースも救いのない終わり方で番組は進行する。



ただ1人、女性会員のゆかさん(仮名・28歳)のケースだけは男性二人のケースとはかなり違う。植草氏の指示で二重目蓋の整形手術を受けるのだが、後で相手となる男性会員から写真と実際が違うという指摘を受けた。「手術しろ」という指示をしたのは植草氏だが、そんな指摘を受けて植草氏は「私も答えようがない」ので、女性自身から言うように指導する。これは如何なものだろうか。整形を指示・推奨したのは植草氏なのである。植草氏のやり方に若干の無責任さを感じるのは筆者だけではないだろう。ともあれ、心の広いお相手の男性(会社役員・33歳)はそれを受け入れて、最終的には成婚に至った。番組の中では唯一の成婚例として紹介されることになったのである。めでたいことである。



番組を視聴していて、全般的・総合的に気になったのは、植草美幸氏が厳しく指導しダメ出しもするのは基本的に男性だけ、であるところだ。番組を見ている限りは、女性会員は一般的に非常に強いクセというかアクが強い印象であり、中には「とんでもないでしょ、この人」と言えるほど(常識に照らして)おかしな女性会員も居る。ただ、番組はそこにはスポットは当てないのである。女性には優しく、男性には厳しく…そうした番組制作者のバイアスのようなものが感じられる放送ではあった。

上段で「バイアス」と書いたが、そもそもこの番組を見て、何か「女尊男卑」的な番組制作者のバイアスを感じるのは筆者だけではないだろう。3人登場する婚活者の内、成功(成婚)例として紹介するのは女性の一人だけで、男性の二人は失敗(成婚に至らず)例として紹介される。ここに、こうした番組構成にしようとした制作者(と放送局)の恣意的なニュアンス(バイアス)を感じるのだ。色々あった中で最終的に女性は持ち上げ、男性は下げる…こうした組み方にするのは社会に定着している女尊男卑の思想が土壌にあるように思えて仕方ない。男性はどこまでも下げて良い。しかし女性には優しく、そして上げる。女性の会員は顔出しせずに進行し、男性会員は顔を出して恥を晒させる・・・「こうした番組の作り方は女性視聴者(と、フェミニスト)への配慮であると共に、テレビ局(マスコミ)の男性全般への「上から目線」を感じるものである。しかも制作者はその事に無意識で「男性はどれだけ下げても構わない」という価値観を当然の事として意識せずにやっているように見える。一人の女性が成婚に至り、二人の男性の失敗が確定した後で、番組ではわざわざナレーションで「街は恋人たちが寄り添う季節になりました」と語って見せる。それが益々「上手くいかない男性達」の惨めさ・哀れさを強調する演出となる。こうすることで女性視聴者は溜飲を下げ、男性視聴者は益々諦観を強くするのである。


参考までに、元番組ディレクターだったYouTuberのさっきー氏の動画↓を閲覧されたい。ノンフィクションでありドキュメンタリーは決して「真実」を見せてくれるものではない。フジテレビは民放であるから視聴率を取れる内容にしなければならない、という使命を背負って番組を作っている。なので、番組制作者は一般的に、数字(視聴率)の為には平気で嘘もつくし偏向報道もするし、勝手に切り貼りして作ったストーリーを見せることもあるし、大事なことを「報道しない自由」を行使したりもするのだ。

『フジTV「ザ•ノンフィクション」の過剰演出が多い理由』

ノンフィクションと銘打ちながらも、必ずしも「本当の事実」「真実」が描かれる訳では無い事がよく分かるだろう。



まして、今回の婚活ドキュメンタリーの構成・演出(ディレクター)は女性である。必然的に「女性的な恣意」が入ったが故にあのような作りになったのかもしれない…そんな印象を受けるのである。





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<2024年4月3日:追記>
東京・目黒で結婚相談所を経営されている方がショート動画で語っていたところによれば、「ザ・ノンフィクション」を視聴した地元の友人から「高いお金を払って無理矢理嫌な思いをさせられているように見えた」「高いお金払ってこれしかマッチングできないのかって思われないかな」と言われてショックを受けたそうである。あの番組を視聴した限りではそう思われても仕方がないだろうし、実際にその通りである実態もあると思われる。だが、この経営者によれば、番組に出てきたマッチング方法は古いやり方であり、今は仕組みが新しくなっており、より良い縁組が可能だ、という趣旨の事を話していた。もっと納得できるマッチングは「ある」ということで、あの番組で婚活業界自体が誤解されかねない事を憂慮していた。









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