短いお別れ

勝手に思う事を、徒然なるままに…

『薔薇のない花屋』

2008年01月14日 19時28分20秒 | Weblog
年が明け、半月程が過ぎた。休みの記憶も薄れ始め、いつも通りの毎日を過ごしている。ただ、休み前の色々な物事の感覚は、少しずつ戻ってはきたけれど、まだ完全ではない。この冬の休みはあまりに長過ぎた。

そして、この三連休を迎えた。また、振り出しに戻るかもしれない。

僕はこの冬、9日間休みを取った。

しっかりと休みを取って、普段、気になりながらも、忙しさを理由に見て見ぬふりをしてきた様々な物事をきっちりと片付けようと思った。無理のない予定も立てた。

しかし、いざ休みが始まると、初日から上手く事は運ばなかった。

仕事から距離を取っても、どうにもならない用事は突然生まれる。

1日目、2日目と予想もしなかった来客があり予定は大きくズレた。そして、もう、立て直す事は不可能だった。

相変わらずの、自分の意志の弱さに、驚いた。きっと僕の意志は、100円硬貨一枚で買えるビニールの傘よりも脆い。僕の意志を砕くのは、茹で上げ前のママー・スパゲッティを真っ二つに折るよりも容易に違いあるまい。

何はともあれ、その後の僕の生活はひどかった。

誰かが来たら、酒を飲み、誰も来なかったら、やはり酒を飲み…、TVを見た…。

TVのち酒、時々睡眠…。最低だ…。

とにかく、TVは異様に見た。何故か、邦画をたくさん見たような気がする。

森山未來さんが、長澤まさみさんを抱き上げ、助けて下さいと叫び、若くして亡くなられた夏目雅子さんが、なめたらあかんぜよと凄み、照英さんが、教え子に泣きながら吠えていた…

正直、あまり覚えてはいない。クオリティのせいではない。アルコールの仕業だ…

どの作品も、まっとうな状態で観れば、楽しめたのだろう。どれも、原作やオリジナルが人気をはくしたものばかりだ。

最近、邦画やテレビドラマを観ていて、あまりハズレがないような気がする。何となく、それなりに楽しめてしまう。

でも、それだけだ。何と言うか、"うん、つまらなくはなかったけれど…"という感じだ。まぁ、あくまで僕個人の感想だけれど。

元々、そんなに邦画を観る方ではない。ただ、テレビドラマは、以前はよく観ていた。

先日、フジテレビの番組で、平成元年から昨年までの同局の連続ドラマを振り返るというコーナーがあった。

平成元年放映の、小泉今日子さん、陣内孝則さん出演の『愛しあってるかい!』から、昨年放映された、福山雅治さん、柴咲コウさん出演の『ガリレオ』まで、主に高視聴率ドラマや話題性の高かったものを中心に紹介された。

振り返って観てみると、思い入れのあるドラマが幾つもあって、思いの外、感慨深いものだった。

テレビドラマというものは、それを思い出す時、そのドラマが放映されていた当時の自分の身の回りの状況、或いは自分自身を、何故か鮮明にフラッシュバックさせる。

我々は、ドラマに自分を投影させ、主人公の気持ちで1時間を過ごし、泣き、笑い、そして何かを考える。その時の自分であるからこそ、その時代であるからこそ、考えられる何かを考える。連続ドラマは週に一度の手軽な、でもいとおしいエンターテイメントであると同時に、純粋な時代の証人であるのかもしれない。

僕は個人的に、野島伸司さんの脚本作品を好んで観ていた。

フジテレビで言えば、『101回目のプロポーズ』、『愛という名のもとに』、『ひとつ屋根の下』、が人気作品で、上述のドラマを振り返るコーナーでも紹介されていた。

僕は、『君が嘘をついた』や『愛しあってるかい!』などのトレンディドラマや、『この世の果て』、『リップスティック』などのシリアスドラマ、或いは色々と物議を醸し出したりした初期のTBSドラマも好んで観ていた。

大田亮さんプロデュース、野島伸司さん脚本、三上博史さん出演、というドラマは全て観ているような気がする。

野島作品には、僕の知りうる限り、原作はない。色々と叩かれたりした時期もあるけれど、全てオリジナルである。当然、結末は誰にもわからない。

映像作品にとって、原作とは料理で言えば素材であり、その脚色、キャスティング、カメラワーク、演出の仕方、つまり、調理方法により、出来映えは変わる。だから、どんなに面白い原作、どんなに売れた漫画や小説が原作でも、つまらないものはつまらない。

でも、内容自体が著しくつまらなくなる事はそうそうない。

最近のドラマは、人気の原作、ヒット作品のリメイクを人気キャストで映像化する事が非常に多い。したがって、ハズレは少ない。

でもやはり、内容が有名なため、来週はどうなるのだろうという、ドキドキ感は少ない。原作やオリジナルを知っている友人にオチをばらされたり、原作やオリジナルとのイメージのギャップに落胆したりする場合も多々ある。

個人的には、オリジナルストーリーで、毎週ワクワクできる連続ドラマを期待してしまう。

そして、今クール、野島伸司さんのオリジナルストーリーが、フジテレビの月曜9時枠で放送されると聞いて期待している。

『薔薇のない花屋』という作品で、香取慎吾さんと竹内結子さんが共演し、山下達郎さんが主題歌を担当するらしい。

今日の9時から初回がスタートする。

SMAPが全面的にプロモーション活動をし、ローズデーと題しフジテレビがバックアップし、香取慎吾さんはサマンサタバサで薔薇を配り、かなり力を入れている。そこらへんは、個人的には、アレだけれど、楽しみにしている。

野島伸司さんの連続ドラマ脚本は、2005年にTBSで放送された『あいくるしい』以来、フジテレビでは、木村拓哉さん、竹内結子さん共演の『プライド』以来となる。

僕がフジテレビの月曜9時枠を観るのは、前クールの『ガリレオ』は、東野圭吾さんの原作は読んでいたけれど、ドラマは観ていなかったので、NEWSの山下智久さん、長澤まさみさん共演で、三上博史さんも出演していた昨年の4月―6月クールの『プロポーズ大作戦』以来だ。このドラマも、フジテレビ月曜9時枠としては2006年の『トップキャスター』以来の原作なしのオリジナルドラマだった。


『薔薇のない花屋』が、この時代の今の僕に何を与えてくれるのか、後の僕の中にどのような形で残るのか、それはわからない。

そもそも、テレビドラマをエンターテイメント作品を、そのようにややこしく観る必要はないという人も多いと思う。

でも、何はともあれ、毎週、ワクワクできる作品である事を期待している。

そして、毎週月曜日は『薔薇のない花屋』をリアルタイムで規則的に観る事によって、休みボケをした僕の感覚が戻り、いつも通りの、"今の僕の日常"というひどく平凡なドラマが正常に進んでいくと、個人的には本当にありがたい限りである。