ちょっと古いニュースだけれど、不可能と言われていた花、青いバラがサントリーフラワーズにより、2004に花開き、2009年から販売される。らしい…
また、バラの話…
ドラマ『薔薇のない花屋』を見て以来、どうも、バラが気になる。ひょっとしたら、ドラマ自体よりも…。以前の記事にも書いた通り、プリザーブドローズも衝動買いしたし…。なんて単純なのだろう…。
でも、その枯れない花は、思わぬところで、役立っている。
これもまた、以前の記事で書いたと思うけれど、僕には、香水の調合師を目指している仲の良い女の子がいる。彼女は自分の25歳を香りのために生きている。
ただ、最近、元気がない。色々とあったようだ。何があったかなんて聞かない。そこまで、野暮じゃない。
僕は彼女からのメールへの返信に、例のプリザーブドフラワーの写真を添付した。
"花で癒されて欲しい"という思いが半分。もう半分は"この花ちょっと良くない?"と自慢したい気分で…
ただ、僕の稚拙な考えが思わぬ効果を生んだ。
彼女は、調合の学校に通っているのだけれど、最近、先生にこう言われた。「あなたの作る香りは、暗い」
調合は、その時のメンタルな部分が、香りに感覚として出る。今の彼女は、ピンク色の花をイメージして、明るい香りを作っても、何処かに暗い影のある香りになってしまう。
分かっていても、彼女が抱えるものは、簡単に消す事はできない。彼女は今の心を受け入れようと考えた。暗い中に"何か"がある香りを作ろうと考えた。
そのようにしていくつかの香りを調合した。それは、今まで感じた事のない不思議な作業だった。
彼女は、いくつか作ったサンプルの中で、蓮の花をイメージした香りに惹かれた。
暗く深い森の中を歩いて行く。一人でどこまでも歩いて行く。辿り着いた場所には、光が射している。それは、木の葉の間から静かな池を照らした。そこに浮かぶピンク色に輝く大輪の蓮の花…。それが、彼女のイメージだ。その香りはそのものだった。
香りは、彼女が抱えるものにも光を射し、花を咲かせた。
そのイメージのソースは、僕が彼女の携帯電話に送ったプリザーブドフラワーの画像だったと、彼女は言った。
黒く無機質な携帯電話の中にひっそりと燃える赤い花。それが、彼女に新しい香りをもたらした。
まぁ、たまたまだけれど…
僕は思う。青いバラ、それはどんな香りがするのだろうと。
Blue Roseという英語は、不可能の代名詞と言われてきた。
でも、今、青いバラは、淡く儚い色で、確かに生きている。
25歳の女性にも不可能はないと、僕は考えている。彼女も確かに生きている。香りと共に。
去年の初夏、駒込の六義園(東京都文京区)に、香りの参考にと、彼女は紫陽花を見に行ったらしい。
今年は一緒に行こうと誘われている。紫陽花もまた、儚い色を見せる花だ。
一足先に、やはり駒込にある旧古河邸で、バラを見るのも良いだろう。暖かな春の日が良い。
東京は今日、雪が降っている。まだ、春の音は聞こえない。
ただ、巡らない季節はない。
色や香りはひどく曖昧なものだ。確かな青や確かな明るさは、なかなか存在しない。ただ、春は確かに訪れる。
その季節が足音を聞かせる頃、彼女が、僕等が抱える不可能は、また少し消えているかもしれない。
また、バラの話…
ドラマ『薔薇のない花屋』を見て以来、どうも、バラが気になる。ひょっとしたら、ドラマ自体よりも…。以前の記事にも書いた通り、プリザーブドローズも衝動買いしたし…。なんて単純なのだろう…。
でも、その枯れない花は、思わぬところで、役立っている。
これもまた、以前の記事で書いたと思うけれど、僕には、香水の調合師を目指している仲の良い女の子がいる。彼女は自分の25歳を香りのために生きている。
ただ、最近、元気がない。色々とあったようだ。何があったかなんて聞かない。そこまで、野暮じゃない。
僕は彼女からのメールへの返信に、例のプリザーブドフラワーの写真を添付した。
"花で癒されて欲しい"という思いが半分。もう半分は"この花ちょっと良くない?"と自慢したい気分で…
ただ、僕の稚拙な考えが思わぬ効果を生んだ。
彼女は、調合の学校に通っているのだけれど、最近、先生にこう言われた。「あなたの作る香りは、暗い」
調合は、その時のメンタルな部分が、香りに感覚として出る。今の彼女は、ピンク色の花をイメージして、明るい香りを作っても、何処かに暗い影のある香りになってしまう。
分かっていても、彼女が抱えるものは、簡単に消す事はできない。彼女は今の心を受け入れようと考えた。暗い中に"何か"がある香りを作ろうと考えた。
そのようにしていくつかの香りを調合した。それは、今まで感じた事のない不思議な作業だった。
彼女は、いくつか作ったサンプルの中で、蓮の花をイメージした香りに惹かれた。
暗く深い森の中を歩いて行く。一人でどこまでも歩いて行く。辿り着いた場所には、光が射している。それは、木の葉の間から静かな池を照らした。そこに浮かぶピンク色に輝く大輪の蓮の花…。それが、彼女のイメージだ。その香りはそのものだった。
香りは、彼女が抱えるものにも光を射し、花を咲かせた。
そのイメージのソースは、僕が彼女の携帯電話に送ったプリザーブドフラワーの画像だったと、彼女は言った。
黒く無機質な携帯電話の中にひっそりと燃える赤い花。それが、彼女に新しい香りをもたらした。
まぁ、たまたまだけれど…
僕は思う。青いバラ、それはどんな香りがするのだろうと。
Blue Roseという英語は、不可能の代名詞と言われてきた。
でも、今、青いバラは、淡く儚い色で、確かに生きている。
25歳の女性にも不可能はないと、僕は考えている。彼女も確かに生きている。香りと共に。
去年の初夏、駒込の六義園(東京都文京区)に、香りの参考にと、彼女は紫陽花を見に行ったらしい。
今年は一緒に行こうと誘われている。紫陽花もまた、儚い色を見せる花だ。
一足先に、やはり駒込にある旧古河邸で、バラを見るのも良いだろう。暖かな春の日が良い。
東京は今日、雪が降っている。まだ、春の音は聞こえない。
ただ、巡らない季節はない。
色や香りはひどく曖昧なものだ。確かな青や確かな明るさは、なかなか存在しない。ただ、春は確かに訪れる。
その季節が足音を聞かせる頃、彼女が、僕等が抱える不可能は、また少し消えているかもしれない。