みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

深夜の非常警報

2017年06月26日 | 俳句日記

上方落語に引越しを題材にしたものが
ある。
其の中に次のようなセリフがあった
「カタツムリさんは偉いな〜⁈」

家を背負った蝸牛が羨ましいと嘆息す
る主人公を、故枝雀師匠が熱演されて
いたのを思い出す。
実に惜しい天才噺家でいらした。

私の引越しが一段落したことはご報告
させて戴いた。
落語の主人公と同様の感想である。
全身の骨格と筋肉が悲鳴をあげている。

風呂に入るのも億劫で、身を横たえて
みたが、あちこちの痛みが意識を呼び
覚まし寝付けない。
意を決して、湯を張った。

この歳になると、総ての身体の故障は
血流にあると実感している。
湯船に半ば眠るが如く浸かっていると
溜まった疲れが、痛みと共にお湯の中
に溶け出して行くようで、蘇った。

身体を拭いている時に「ウソ!」と顔
を挙げる、火報のベルが鳴り出した。
午後11時43分である。
耳をすますと、発報音は外から聞こえ
ていた。

すぐさま浴衣を引っ掛け道路に出た。
やはり、隣のマンションの警報だ。
ベランダ側の窓々を見回してみたが、
火も煙も見えない。

三々五々歩道に人が集まり始めた。
誰が通報したのか、消防車が二台到着、
火元を探し始めた。
火報はまだ鳴り続けている。

五分経ち、十分経ち、消防士も対応に
戸惑っていた。
結局、原因は定かでない儘に故障だろ
うと言うことで、野次馬に説明があり
流れ解散した。

私はかつて消防関係者から聴いたこと
がある。
側にいた若い消防士にこう伝えた。
「自殺の可能性もあるよ」

と言うのは、自殺する直前に火報を鳴
らし、腐る前に発見してもらうことを
意図する者があるらしいのだ。
真似する者がいるかもしれないので、
大ぴらには言えないのだそうだ。

いずれにせよ傍迷惑な話であった。
火報は30分後に止んだ。
身体も冷えた。
4時には起きなければならないのに。

〈身を剥ぎて 起きる午睡や 御膳時〉
放浪子
季語・午睡(夏)

6月26日〔月〕曇り梅雨
散々であった。
朝のお勤めを果たして、帰宅すると
限界が来た。
友人の来訪で起こされなかったら、
終日寝ていたかも知れない。
さて、夕餉を作りに行くとしよう。
小学生が下校している。

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