田川市石炭・歴史博物館のブログ

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山本作兵衛コレクションが持つ意義

2016年11月07日 | 日記

皆さん、こんにちは。

先月のブログ『山本作兵衛コレクションの貴重性』では、「実際に炭坑の坑内で働いた経験者による、視覚的で具体的な記録」としての「山本作兵衛コレクション」炭坑記録画の世界的な貴重性についてご説明しましたが、今回はもう少し踏み込んで、その魅力を探ってみます。

ユネスコ【国際連合教育科学文化機関】の世界の記憶(世界記憶遺産)のホームページでは、「山本作兵衛コレクション」を次のように紹介しています。




「山本作兵衛コレクション」は、明治時代後期から、筑豊の炭坑業ではまだ産業革命が進行していた20世紀初頭までの、日本の発展状況を裏付ける私的記録である。

当該コレクションは、素朴な絵画に説明が書き加えられた構成となっており、文字通り、炭坑の最前線で働いていた一人の男性が、実際に体験した出来事を記述、描写した記録である。

当時の日本の炭坑について記述した文書は、政府や企業などの公式文書によるものがほとんどで、一人の労働者が作成した私的記録は非常に貴重である。

作兵衛氏の絵画には、公的記録では読み取ることができない当時の生々しさや臨場感がある。
当該コレクションは、世界的に歴史的な重要性が高い時代を実際に生きた一人の人間の視点に基づく真正な記録である。

「山本作兵衛コレクション」は、昨年、2015年7月に同じくユネスコの世界遺産に登録された『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』に象徴されるように、世界的にも意義深い『日本の産業革命』、そして近代化の急速な歩みの中で、それを支えた最重要の石炭供給地である筑豊炭田で、ほぼその歴史の主要な過程を一炭坑労働者として生きた人物の視点から記録したものであることに大きな意義があるわけです。

また、「世界の記憶一般指針」の中の「人間社会における思想、発見、業績の展開を表象するもの」という基準にも合致していると高く評価されました。

さらに個人の記録であると同時に、炭坑に携わり近代化を支えた無名の人々の世界共通の「集団が共有する記憶」でもあると考えられています。

同じく世界記憶遺産に登録された『アンネの日記』(オランダ)が、少女個人の日記ではなく迫害された人たちの持つ記憶『コレクティブ・メモリー【collective memory/集合的記憶】』であると同様の意義が、『山本作兵衛コレクション』にも見出されます。

次回は、「山本作兵衛コレクション」の記載内容について、もっと深くお伝えします。

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