アパッチ蹴球団-高校サッカー篇:project“N”- 

しばらく自分のサッカー観や指導を見つめなおしていきたいと思っています。

クサビにおいて重要なこと

2015年05月18日 02時27分07秒 | 戦術の謎
前回の記事で楔を当てることもしくはピヴォ当てについて書いたが、中途半端な状態で終わってしまったので、今回はその続きを書きたいと思う。

楔を当てる効用については、味方を前向かせるため、相手の裏を取るための準備など、さまざまな利点がある。ただ、強いチームほど簡単に楔を入れさせてくれないし、楔が入った瞬間に相手を潰しにかかってくる。その潰しに来る相手の当たりが怖いからどうしても、楔を入れる側はためらってしまうし、受ける側も怖がってしまう。味方が潰され、ボールも奪われる。確かにこれでは、楔を入れないようになってしまっても仕方ないのかもしれないし、初心者が楔を入れるのを避けるのも無理はない。

ここで一番の問題は、楔を受けるときに相手のDFを見ていないということ、もしくは見れていないということ。無意識的に相手DFを怖がって、はじめから背中を向けてしまっているというFWも多い。こういうFWは日本には意外と多いような気さえする。とりあえず、楔を当てて崩すという形ありきの戦術の中で楔のパスを受けることだけを考えているFWは少なくない。しかし、相手DFからすると、これほど潰し易いFWもいない。楔を受けることしか考えていないFWはペナルティーエリア内でなければ、寄せるタイミングや身体を当てるタイミングを間違えることはない。むしろ、いつもシュートを狙っているFWや裏を狙っているFWの方が、結果として楔を受けやすくなる。なぜならば、相手は裏が怖かったり、シュートを打たれるのが怖かったりするので、裏を取られなければ、シュートを打たれなければとりあえずいいか、という判断になることが多いからである。もちろん、楔を受けて強引にターンしようとするFWも相手にとってはとても厄介な相手。FWとして大切なのは、攻撃の優先順位を常にどんな時でも意識すること。具体的には、どんなときでもどこからでもシュートを打つ意識を忘れないこと。次にシュートを打てないときはシュートを打つために裏を取ること。この二つはどんな時でも絶対に忘れてはならない部分。これは楔を受けるときでもかわらない。むしろ、何のために楔を受けるのかということを考えればその受け方も当然変わってくるし、、楔の受け方た後の動きも変わってくる。

こういう理想論的なことを指導において選手に伝えると、技術やフィジカルに自信のない選手ほど、「そうは言っても・・・」という顔をする。たしかに、技術もフィジカルも経験もなければ、そういう顔をしてしまうのもわからないでもない。ただ、このタイプの選手は、サッカーの本質的な部分の理解と実践が少し薄くなってしまっている。具体的にいうと、相手を見ないでサッカーをしてしまっている。対戦相手を見ないでサッカーをする・・おそらくウイイレなどゲームでは絶対にそんなことはしないはずの選手が、なぜか実際の試合では相手を見ない。もちろん、ゲームと実際の試合は違う、という意見はあるかもしれない。相手を見すぎて、味方のボールホルダーを見切れない、スペースを探せない、そんな感覚をもってしまっているのかもしれない。ただ、どう考えても対戦相手を見ないのは本質的ではない。相手の動きすべてを掴み見切ることはできないとしても、相手の動きを感じることはできるはず。相手が何を意識しているかということを感じることは同じ敷地内で接触プレーも含めて対戦しあうボールゲームにおいて重要な部分のはず。どんな初心者でも、相手のDFは抜けなくても、相手を見ることは絶対にできる。むしろ、相手の方がレベルとして上であれば、まずは相手を注意深く観察するところからはじめるべき。例えば、鬼ごっこにおいて鬼がどこにいるかを把握しないで逃げる選手はどこにもいない。絶対に相手の動きを意識するし、相手の動きの逆をとるはず。相手にタッチされそうになっても、ギリギリまで間合いを保ちながら、緩急や変化をつけて鬼をかわそうとするはず。楔を受けるときに、いろいろと考えて動こうとしている選手は、対戦相手からするとやはり捕まえにくい。

とすれば、問題は相手をどう見るかといことになるが、この点については、また次回に記事を改めたい。