帳簿書類等の保存期間及び保存方法 法人税

2020-02-29 12:09:49 | 税務・会計 法人税
 
 帳簿書類等の保存期間及び保存方法

 平成31年4月1日現在法令等

 1 帳簿書類等の保存期間

 法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。
 また、法人が、取引情報の授受を電磁的方式によって行う電子取引をした場合には、原則としてその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。
 ただし、その電磁的記録を出力した紙によって保存しているときには、電磁的記録を保存する必要はありません。
 (注1) 「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
 (注2) 平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。
 また、平成27年度及び平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。

 2 帳簿書類の保存方法

 (1) 原則的な保存方法
 帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。
 したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。
 (2) 6年目以降のマイクロフィルムによる保存方法
 帳簿書類の保存は、紙による保存が原則ですが、保存期間の6年目以降(一定の書類については4年目以降)の帳簿書類は、一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができます。
 なお、マイクロフィルムによる保存を行う場合には、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダ又はマイクロフィルムリーダプリンタを設置する必要があります。
 (3) 電磁的記録による保存方法
 自己が電磁的記録により最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿書類で一定の要件を満たすものは、紙による保存によらず、サーバ・DVD・CD等に記録した電磁的記録(電子データ)のままで保存することができます。
 なお、電磁的記録による保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。また、この申請書は、備付けを開始する日の3か月前の日までに提出する必要があります。
 (4) 一定の書類のスキャナ読取りの電磁的記録の保存方法
 保存すべき書類のうち、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類以外の一定の書類については、紙による保存によらず、スキャナ読取りの電磁的記録による保存(以下スキャナ保存といいます。)を行うことができます。
 なお、スキャナ保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。また、この申請書は、スキャナ保存を行おうとする日の3月前の日までに提出する必要があります。
 (注1) 帳簿については、スキャナ保存を行うことはできません。
 (注2) 平成28年度税制改正により、スキャナ保存の要件の一部が改正されました。
 (5) 電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存方法
 自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿書類については、一定の要件の下で、紙による保存によらず、その電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルム(COM)により保存することができます。
 なお、電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出して承認を受けることが必要です。また、この申請書は、電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存を行おうとする日の3か月前の日までに提出する必要があります。

 3 電子取引をした場合の電磁的記録の保存方法

 電子取引の取引データの保存方法としては、1. 電子データをそのまま保存する方法、2. 電子データを出力した書面を保存する方法及び 3. 電子データをCOMに出力して保存する方法の3通りの方法があります。
 これらの方法に関しては、税務署長の承認を必要としませんので、各法人が任意に選択できますが、規則性及び継続性なく保存方法が混在することは認められていませんので、ご注意ください。

退職した従業員の保険料の徴収 厚生年金・健康保険 雇用保険

2020-02-20 14:52:07 | 労働・社会保険
 退職した従業員の保険料の徴収

 厚生年金・健康保険

 1. 従業員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生し、事業主は、毎月の給与から前月分保険料を控除することができます。( 健康保険、厚生年金保険ですと、例えば5月分の保険料を6月に徴収(6月支給給与から控除)し納付するというのが原則の考え方です。 )

 2. 従業員の方が月の途中で退職した場合は、退職月の前月分の保険料を退職月の給与から控除し、月末に退職した場合(資格喪失日は翌月1日)は、退職月の前月と退職月の2か月分の保険料を退職月の給与から控除することができます。

 3. 賞与に対する保険料は、支給する賞与から控除することができます。退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象となりません。

  雇用保険

 雇用保険の保険料は、毎月の報酬の額に応じて、保険料率を掛けた額を徴収しているため、退職月も通常と同様に徴収します。 ( 雇用保険被保険者に賃金を支払う都度徴収。 ) したがって、退職日がいつであるかは雇用保険を徴収するうえでは関係ありません。 労働の対価としての賃金を支払う場合は徴収を行います。

雇用調整助成金 雇用維持関係の助成金

2020-02-19 12:34:58 | 労働・社会保険
 雇用調整助成金

 助成内容

 概要
 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。

 主な受給要件
 受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
 (1)雇用保険の適用事業主であること。
 (2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。
 (3)雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。
 (4)実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。
 〔1〕休業の場合
  労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。(※1)
  ※1 事業所の従業員(被保険者)全員について一斉に1時間以上実施されるものであっても可。
 〔2〕教育訓練の場合
  〔1〕と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであり、当該受講日において業務(本助成金の対象となる教育訓練を除く)に就かないものであること(※2)。
  ※2 受講者本人のレポート等の提出が必要です。
 〔3〕出向の場合
  対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。
 (5)過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。

 受給額
 受給額は、休業を実施した場合、事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合、賃金負担額の相当額に次の(1)の助成率を乗じた額です。ただし教育訓練を行った場合は、これに(2)の額が加算されます。(ただし受給額の計算に当たっては、1人1日あたり8,335円を上限とするなど、いくつかの基準があります。)
 休業・教育訓練の場合、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分受給できます。出向の場合は最長1年の出向期間中受給できます。

 助成内容と受給できる金額
 (1)休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)
 ※対象労働者1人あたり8,335円が上限です。(平成31年3月18日現在)  中小企業  2/3 中小企業以外  1/2
 (2)教育訓練を実施したときの加算(額) (1人1日当たり) 1,200円

 休業等の判定基礎期間の初日(出向の場合は出向開始日)が令和元年8月1日以降にある場合の本助成金の支給額算定において、助成額単価の上限額となっていた雇用保険の基本手当日額の最高額が従前の8,260円から8,335円に見直されました。


相続の承認又は放棄の期間の伸長 相続

2020-02-18 15:20:50 | 相続・贈与(税)

 相続の承認又は放棄の期間の伸長

 1. 概要
  相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。
  1. 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
  2. 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
  3. 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

  相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に,単純承認,限定承認又は相続放棄をしなければなりません。もっとも,この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても,なお,単純承認,限定承認又は相続放棄のいずれをするかを決定できない場合には,家庭裁判所は,申立てにより,この3か月の熟慮期間を伸長することができます。

 2. 申立人
 •利害関係人(相続人も含む。)
 •検察官

 3. 申立先
  相続開始地(被相続人の最後の住所地)の家庭裁判所

 4. その他
  申立ては,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にする必要があります。


遺産分割調停後 更正の請求・更正処分 裁決事例 相続税

2020-02-16 12:25:47 | 相続・贈与(税)

 遺産分割調停の成立に基づきされた他の共同相続人からの更正の請求に係る減額更正処分の後に、請求人に対して行われた相続税法第35条第3項第1号の規定に基づく増額更正処分に違法はないとした事例

 請求人は、共同相続人らが共同で提出した相続税の申告を修正等する場合には、共同相続人らの間で協議の上、共同で修正申告又は更正の請求をすることが社会通念に合致するもので、請求人の同意がないままに先行してなされた他の共同相続人に対する相続税の還付手続は誤りであり、請求人に対する更正処分も誤りである旨主張する。

 しかしながら、本件では、遺産が未分割のまま申告が行われた後、遺産分割調停の成立により共同相続人らの相続税額に増減が生じたため、他の共同相続人が更正の請求をし、原処分庁は、同人に対する減額更正処分をした後に、相続税法第35条第3項第1号の規定に基づき、職権で請求人に対する更正処分をしたのであり、その過程に何ら違法な点は見当たらない。
 
 相続税法は、同法第27条第4項で、共同で申告することができる旨を定めているに止まり、共同で修正申告又は更正の請求をしなければならない旨の規定はなく、また、同法第35条第3項第1号は、「更正の請求に基づき更正をした場合において」と規定し、減額更正処分が先行することを予定しているから、請求人に対する更正処分に先立ち、請求人の同意を得ずに他の共同相続人による更正の請求及び同更正の請求に対する原処分庁による減額更正処分がなされたとしても何ら違法ではない。

 平成22年1月5日裁決