相続開始の年に被相続人から贈与を受けた宅地に係る小規模宅地等の特例の適用の可否 相続税

2019-08-31 13:15:35 | 相続・贈与(税)

 相続開始の年に被相続人から贈与を受けた宅地に係る小規模宅地等の特例の適用の可否

 照会要旨

 平成○年中に甲は父から貸家建付地の敷地(276平方メートル)の持分2分の1の贈与を受けましたが、同年中に父が死亡しました。

 この場合、その贈与により取得した土地の価額は贈与税の課税価格に算入されずに、相続税の課税価格に加算されることになります(相法19)が、この土地について小規模宅地等の特例を適用する場合には、甲が贈与を受けた持分に対応する面積を含めて200平方メートルまで適用することができると考えて差し支えありませんか。

 (注) 甲は父から遺産を相続しています。

 回答要旨

 小規模宅地等の特例が適用される財産は、個人が相続又は遺贈により取得した財産に限られています(措法69の41)。

 したがって、甲が贈与を受けた土地の持分は相続又は遺贈により取得したものではありませんから、その贈与を受けた財産の価額が相続税法第19条の規定により相続税の課税価格に加算されたとしても、その贈与を受けた財産については小規模宅地等の特例の適用はありません。

 また、甲が贈与を受けた土地の持分について相続時精算課税を適用する場合も、その土地の持分は相続又は遺贈により取得したものではありませんから、その贈与を受けた財産については小規模宅地等の特例の適用はありません。

相続税等の課税対象になる年金受給権 相続税

2019-08-30 13:47:07 | 相続・贈与(税)

 相続税等の課税対象になる年金受給権

 年金には国民年金や企業年金、その他個人年金保険契約に基づく年金など様々な種類の年金があります。
 被相続人の死亡により取得する年金受給権については、年金の種類などによって相続税の課税が異なります。ここでは主なケースを二つ説明します。

 一つは、在職中に死亡し、死亡退職となったため、会社の規約等に基づき、会社が運営を委託していた機関から遺族の方などに退職金として支払われることになった年金です。この年金は死亡した人の退職手当金等として相続税の対象となります。

 もう一つは、保険料負担者、被保険者、かつ、年金受取人が同一人の個人年金保険契約で、その年金支払保証期間内にその人が死亡したために、遺族の方などが残りの期間について年金を受け取ることになった場合です。この場合、死亡した人から年金受給権を相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。

 年金受給権が相続税の課税対象となるときの価額の評価は、相続税法第24条の規定に基づき解約返戻金相当額などにより評価します。

 なお、厚生年金や国民年金などを受給していた人が死亡したときに遺族の方に対して支給される遺族年金は、原則として所得税も相続税も課税されません。また、死亡したときに支給されていなかった年金を遺族の方が請求し支給を受けた場合は、その遺族の方の一時所得となり、相続税はかかりません。

消費税における「事業」の定義 消費税

2019-08-28 14:21:18 | 税務・会計 消費税・その他税目等

 消費税における「事業」の定義
 
 照会要旨

 消費税法上における「事業」の定義は何でしょうか。所得税の通達では「事業」と「業務」を区分して考えていますが、消費税においては区分する必要はないのでしょうか。

 回答要旨

 消費税においては、事業者が「事業」として行う財貨・サービスの提供を課税対象としていますが、この場合の「事業」とは、「同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行すること」をいいます。これは、消費税が消費者に負担を求める税であることにかんがみ、個人が消費者として行う行為を課税対象から除外するためのものです。

 なお、所得税法における「事業」と「業務」の区分は、所得金額の計算上、その者が支出する費用等について必要経費として収入金額から控除できる範囲を考える場合の基準として用いられているものであり、この区分けを消費税の世界にもちこむ必然性、必要性は特にありません。

 消費税法にいう「事業」は、所得税法にいう「事業」よりも広い概念です。

土地の収用に伴い消滅する借地権に係る補償金 消費税

2019-08-27 18:37:07 | 税務・会計 消費税・その他税目等

 土地の収用に伴い消滅する借地権に係る補償金

 照会要旨

 X社は、その代表者が所有する土地に借地権を設定し、その土地を事業の用に供していますが、Y市が実施する道路改良事業のため、その土地が収用されることとなり、X社とY市は権利消滅補償契約を締結し、Y市はX社に対して借地権を消滅させることに対する権利消滅補償金として1億円を支払うこととなりました。
 この場合、X社の借地権の消滅は、消費税法施行令第2条第2項《資産の譲渡等の範囲》の規定により対価を得て資産の譲渡を行ったものとなり、X社が受け取る権利消滅補償金は、非課税売上げとなるのでしょうか。

 回答要旨

 消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であり、「資産の譲渡」とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいうとされています。

 また、消費税法施行令第2条第2項では、土地収用法その他の法律の規定に基づいてその所有権その他の権利を収用され、かつ、その権利を取得する者からその権利の消滅に係る補償金を取得した場合には、対価を得て資産の譲渡を行ったものとするとされています。
 
 照会の場合、Y市(収用者)からX社に対して借地権の消滅に係る補償金として権利消滅補償金が支払われていますが、Y市は、収用に係る土地の借地権を消滅させ、その土地の権利関係を清算した上で収用するものですから、収用に係る土地の所有権そのものを取得するものであって、その借地権を取得するものではありません。
 
 したがって、照会の土地の収用に伴う借地権の消滅は、Y市がその収用に係る土地の借地権を取得するものではないことから、資産の譲渡に該当せず、また、消費税法施行令第2条第2項に規定する場合にも該当しないことから、X社がY市から受け取る権利消滅補償金は、資産の譲渡等の対価の額に該当しません(非課税売上げとなりません)。

 ・不課税・課税対象外

商品券やプリペイドカードなど 消費税

2019-08-23 15:22:05 | 税務・会計 消費税・その他税目等

 商品券やプリペイドカードなど 消費税

 1 商品券やプリペイドカードなどの譲渡

 商品券、ギフト券、旅行券のほかテレホンカードなどのいわゆるプリペイドカードの譲渡は、物品切手等の譲渡として非課税とされています。

 (注) 商品券などの譲渡に課税すると、最終的に提供を受ける商品やサービスが同じ一つのものであるにもかかわらず、二重に課税されることになります。したがって、このような二重課税を避けるために商品券などの譲渡には課税しないことになっています。

 2 商品券やプリペイドカードを使用して商品を購入等した場合

 (1) 課税仕入れの時期

 商品券など物品切手等を用いる取引では、物品切手等の購入は非課税とされ、後日、物品切手等を使って商品の購入をしたり、サービスの提供を受けた時が課税の時期となります。
 すなわち、仕入れに含まれる消費税額の控除は、商品券などを購入した時ではなく、後日その商品券などを使って実際に商品の購入又はサービスの提供を受けた者が、その時に行うことになります。
 なお、事業者が自ら使う商品券などで継続して購入した日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合は、その経理処理が認められることになります。

 (2) 課税仕入れに係る支払い対価の額

 事業者が自ら使う商品券などを購入した場合の控除する消費税額は、引換を受けた商品やサービスの価格ではなく、物品切手等の購入に要した金額をもとに計算することになります。

 3 チケット業者の取扱い

 チケット業者が販売する郵便切手、印紙、証紙は非課税取引とはなりませんが、物品切手等の販売は非課税取引になります。


 
 (物品切手等に該当するかどうかの判定)

 6-4-4 法別表第一第4号ハ《物品切手等の譲渡》に規定する「物品切手等」とは、次のいずれにも該当する証書及び資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第3条第1項《定義》に規定する前払式支払手段に該当する同項各号に規定する番号、記号その他の符号(以下6-4-4において「証書等」という。)をいうものとして取り扱う。(平15課消1-13、平20課消1-8、平22課消1-9により改正)
 (1) 当該証書等と引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の提供(以下6-4-4において「給付等」という。)を約するものであること。
 (2) 給付等を受けようとする者が当該証書等と引換えに給付等を受けたことによって、その対価の全部又は一部の支払債務を負担しないものであること。
 (注) いわゆるプリペイドカードは、物品切手等に該当する。

 例示 商品券•プリペイドカード•図書券•ビール券•旅行券•映画・演劇等の入場券