宇治「歴史公園」市会委で僅差可決 京都・16日の本会議焦点

2018-10-16 12:33:43 | 政 governing

 京都府宇治市が新たな観光拠点と位置付け、2021年度開設を目指す「(仮称)お茶と宇治のまち歴史公園」整備運営事業を巡り、事業者との契約議案が12日夜、市議会9月定例会の建設水道委員会で、僅差で可決された。市議会では事業の進め方への賛否が拮抗(きっこう)しており、16日の本会議採決に注目が集まる。

 歴史公園は、宇治川太閤堤跡が07年に発見され、09年の国史跡指定を機に市が計画。京阪宇治駅近くの宇治川沿いに整備する。遺構を保存・活用する史跡ゾーン(約1・4ヘクタール)と、ミュージアムなどの施設を設ける交流ゾーン(約1・1ヘクタール)を設け、宇治茶の魅力や地元の歴史の発信、地域交流の拠点とする。

 費用は工事や用地取得に67億8千万円、維持管理・運営に20億6千万円。運営収入の14億2千万円を引き、市は全体事業費を74億2千万円とはじく。

 市は20年にわたり施設の設計や建設、運営を民間に委ねるPFI事業を初採用。今春、企業グループを優先交渉権者に選び、提案内容を明らかにした。

 これまでの審議で、複数の市議が、事業者の選定過程や提案について「非公開や黒塗りが多い」と批判、来場者数などの根拠にも疑問を示した。市は「提案は要求水準を満たしている」とする一方、「観光入り込み客数や観光消費額、税収の増加は一定、見込めるが、詳しい試算は困難」とする。

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 宇治市は本年度から4年で85億円の収支不足を見込み、事業の廃止縮小や公共施設利用料の一斉値上げに踏み切った。9月定例会では、歴史公園事業の見直しを求める請願が出され「市民サービスが大幅カットされる中、歴史公園は不要不急」との訴えが、請願者や市議からあった。

 この収支不足が判明したのは、公園事業に20年で25億4千万円の経費負担を確保する債務負担行為を盛り込んだ予算案が、3度目の提出で可決した昨年6月議会の後。市議は「厳しい財政状況を債務負担行為の議決前に聞いていたら、違う結果になったかも。隠していたのではないか」と市を追及した。

 市は「人口減や少子高齢化が進み、積極的な投資も重要。選択と集中で成長戦略に取り組みたい」と理解を求めた。また、交流ゾーン整備で国の補助を受けるために20年度末までの施設完成が必要として「逆算すると、契約の議決は今定例会がタイムリミット」(市幹部)と強調する。

 宇治市は17年度までに、公園事業へ42億3千万円を投入した。うち補助金は計25億2千万円で、交流ゾーンの用地取得に約8億円が入っている。

 契約議案が16日の本会議で否決された場合、市は「交流ゾーンの補助金は場合によっては目的外使用になり、国から返還を求められる恐れもある」。他にも、各種事業や関係機関へ広範囲に影響が及ぶとしている。

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 9月定例会で建設水道委員会は、午前7時前までの「徹夜議会」を含め2度、日程延長した。12日の委員会でも質疑が相次ぎ、午後9時45分すぎ採決。複数の議員が一時退席を表明するなど駆け引きもあったが、委員長(自民党)を除き、うじ未来1人、自民1人、公明党1人の計3人が賛成。共産党2人、京都維新・宇治1人の計3人が反対で賛否同数となり、委員長裁決で可決した。

 市の木下健太郎都市整備部長は「重みのある判断をいただいた。長年取り組んできた事業であり、16日の最終判断を待ちたい」と話した。

【 2018年10月14日 15時59分 】



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