TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

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感慨深いギャラリー池田美術移転と池田一朗氏のこと

2006年11月14日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 池田一朗氏が画廊をやめるとの噂を耳にし、ちょっと驚いた。何かひと時代が終わったような感慨を憶えた。バブル崩壊以降撤退した画廊は多く、この数年銀座の一等地は海外ブランドに占領され、移転した画廊も多い。しかし、池田さんの画廊がなくなるというのは寂しいものがある。やめてほしくない画廊の一つだ。そう思って訪ねてみて、噂が間違いであることを知った。銀座から撤退するが、他の地域で再スタートするとのこと。それでは・・・ということで、送別会と進発式をかねて一献傾けることになった。
 小生が絵の収集を始めたのは30代半ばのこと、はじめて入った銀座の画廊がギャラリー池田美術であった。コレクションの初期に、ルオーの版画が欲しくてのぞいたのであるが、この時ミゼレーレの『キリスト』を購入した。その後ブラックやハワード・ホジキン、山口啓介のような作品を頂戴し、お付き合いがつづいている。
 小生、2003年に某美術雑誌から美術界で活躍する人々とのインタビュー特集を依頼されたが、その最後の対談相手をお願いしたのが池田一朗氏であった。絵を商うこと以上に、企画画廊としていい仕事を続ける見識ある画廊主として尊敬していたからだ。池田さんは現代美術作家の版画作品にこだわってきたが、それこそ普通の人々への絵画普及であり、我々アートNPOの理念にも通じる。
 ともかく一杯やろうということになり、京橋にある福井の魚を食べさせる店『松した』で酌み交わす。酒は福井の地酒、魚も福井のしめ鯖。そんなわけで、この夜は送別会ではなく、池田さんの新しい門出を祝う酒になった。池田さんの新しい出発とご成功を祈りたい。(山下透)


 (写真は池田一朗氏と荒川修作作品)


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