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岸田劉生展

2019-10-15 | アート&クラフト

東京駅のステーションギャラリーで開催中の「岸田劉生展」に立ち寄りました。

台風一過の翌々日でしたが、東京駅はもう普段と同じ様子で人が行き交っています。一方で「北陸新幹線一部運休のお知らせ」などの案内も。被災地の方々は大変なのに申し訳ない。。。と思いつつ入場。

 

岸田劉生というとあの有名な「麗子像」と「切通し」を描いた絵の印象がほとんどでした。

しかし年代中に展示された作品を見渡していくと、画風や技法やテーマがどんどん変わっていったのだということがよくわかりました。

10代の頃の独学という水彩画からして達者ですが、若いころの自画像はゴッホ風で驚きました。

◆「自画像」(1912)ほぼゴッホ?

 

これが一年後には別人のような画風に。

◆「自画像」(1913)表情に自信が感じられます。

自画像や肖像画だけで30点ほどありましたが、荒めのタッチがだんだんデューラーのように細密になっていくのがよくわかります。

 

そして教科書でもよく見かけたこの作品。

◆「道路と土手と堀(切通之写生)」(1915)

見ていると絵の中に吸い込まれそうになる不思議な感覚。手前の草や石のリアルな表現と不安げな二本の影、奥の道路や壁の不一致。

面白かったのはこの場所を別角度から描いた絵。

◆「代々木付近」(1915)なるほどこうなっていたのですか。

 

このころ描かれた静物画も質感や存在感が見事。

◆「壺の上に林檎が乗って在る」(1916)

 

そして岸田劉生といえば「麗子像」ですが、生涯で70点ほどの「麗子像」を描き50点ほどが現存しているとのこと。

◆「麗子肖像(麗子五歳之図)」(1918)ずいぶん印象が違います。

◆「麗子八歳洋装之図」(1921)洋服は珍しい。

 

このころからしばらく日本画に傾倒します。

◆「椿之図」(1924)これだけ見たら劉生とはわからないですね。

 

そして再び油彩画の制作を始めるのですが、

◆「路傍秋晴」(1929)あの「道路と土手と堀」を思い起こさせます。

 

これから次はどう変わっていくのか?というところで岸田劉生は38歳で亡くなってしまいます。もう少し長生きしたらどんな作品を残してくれたのでしょうか?

38歳は早いなあ。そんなことを思いながら会場を後にしました。

 

◆しりあがり寿さんの「麗子」イラストがかわいい

◆東京ステーションギャラリーで好きなレンガ壁

 

(2019.10.14)

 

 

 

 


コートールド美術館展 魅惑の印象派

2019-10-08 | アート&クラフト

上野で開催中の「コートールド美術館展」

これはなかなか充実した名画ぞろいの展覧会です。印象派・ポスト印象派好きにはたまらないでしょう。

 

◆今回の目玉 マネ「フォリー=ベルジェールのバー」

実物は初めて見ましたが、構成や構図の不思議な面白さ、手前の静物の表現力など引き込まれる作品です。

◆モネ「花瓶」

睡蓮シリーズもいいですが、こういった小品もいいです。

◆モネ「秋の効果、アルジャントゥイユ」

秋の日の空気を感じさせるような一枚。

◆マネ「アルジャントゥイユのセーヌ河岸」

モネと同じテーマですがまさにマネの世界。巧い!女性の白いドレスと黒い帽子と髪の毛の対比もいいアクセント。

◆ルノワール「桟敷席」

女性の表情と肌、ドレスの質感が見事!

◆ルノワール「春、シャトゥー」

ちょっとモネの「アルジャントゥイユのひなげし」を思わせるようなこの作品、温かいタッチと色調が素敵です。

◆ドガ「舞台上の二人の踊り子」 安定のドガ。

◆セザンヌ「カード遊びをする人々」

セザンヌは苦手だったのですが、今回この作品(色調)で少し好きになりました(笑)

◆ゴッホ「花咲く桃の木々」

日本を意識して描かれ作品。遠くに富士山のような山が。

◆スーラ「クールブヴォワの橋」

「グランドジャット島の日曜日の午後」を小さくしたような作品。計算されつくされた色の並び方がすごい。

そしてまたしても紛れ込んだように異彩を放つあの人が。。。

◆ルソー「税関」

上に立っている人や右側の樹はいったいどうなっているのでしょう?

 

展示構成もよく工夫されていて、「画家の言葉」「時代背景」「素材・技法」というテーマで大きくまとめ、さらにセザンヌやルノワールなどは作品をまとめてひとつのコーナーにしたり、ポイントとなる作品は色・構図・技法などを図解したパネルで見ることができるなど、大変わかりやすいです。

 

気がつけばもう2時間。けっこう混雑していましたが流れはよく、少し待てば作品の正面で鑑賞できました。

ミュージアムショップもなかなかセンスのいいお洒落なグッズが並び、色々買いたくなってしまいました。

この秋おすすめの展覧会です!

 

◆国立博物館前の広場では「全国陶器市」 ここでもう1時間。

(2019.10.08)