The wild flowers of Portugal. ポルトガルの野の花 

学名など判ったものだけ明記しています。和名などをご存知の方はどうか教えてください。

ケンタウレア・マキュロザ Centaurea maculosa

2021-08-04 10:11:54 | ポルトガルの野の花

キク科、Asteraceae、ヤグルマギク属、ヨーロッパ原産、多年草、

学名:Centaurea maculosa、

英名:Spotted Knapweed、

2015年6月13日、2016年9月25日、2017年7月12日、ポルトガル、ベイラ地方で撮影、

 

ヤグルマギク属には草丈 30-120cm の一年草または多年草で、寒さには強いものが多い。葉は細長く、前縁のものもあるが、1回または2回の羽状複葉のものが多い。

 

花は管状花からなる頭状花で、アザミに似た姿のものが多いが、頭状花の組成が粗く、マツムシソウの花のように見えるものもある。花色は、青・紫・藤色などのブルー系と、黄花のイエロー系に分かれるが、園芸種には白・ピンク・紅色などの品種もある。属名のケンタウレアはギリシャ神話に出てくる半人半馬の怪物ケンタウロスが由来。英語読みにしてセントーレアまたはセントレアと呼ぶこともある。ケンタウレア・マキュロザは「世界で最も研究されている外来種」のベスト3にランクされている。

 

下記はケンタウレア・マキュロザを使った興味深い研究報告です。長いですが全文を掲載します。ヤグルマギクの1種(Centaurea maculosa、キク科)はもともとヨーロッパ種ですが、これを米国西部に導入したら、北米の野生種を追い出して、これに置き換わってしまっていました。この原因は C. maculosaが毒素カテキンを生産し、北米に土着の野生種の発芽や生長を抑えるためであることが明らかになりました。ヨーロッパ種は、C. maculosaを含めて、カテキンには抵抗性で、この植物の周りの土壌に蓄積したカテキンの量では全く影響を受けません。しかし、在来種の C. diffusaはカテキンに感受性で、カテキンにより反応性の高い活性酸素が発生し、これによりCaイオン関与のシグナル伝達が起こり、遺伝子発現に変化を生じて細胞が死ぬことが明らかにされています。外来種が在来種を追いやるのは主に繁殖力の違いにあると考えられてきました。したがって、植物が化学的な作用によってお互いに干渉しあうという考え方は従来は受け入れらませんでした。毒物を供給する側の植物は、この毒物を受ける側の植物の周囲にその毒物を運ばなければなりません。

 

 

 

作る側の植物の周りの毒物量は受ける側の植物の周りよりも高いはずです。ということは、作る側の植物はこの毒物に対して抵抗性になるように進化してきたに違いありません。しかし、受ける側の植物にも抵抗性を高めるような淘汰圧がかかります。したがって、植物が共存すればその植物種はお互いの毒素に抵抗性を進化させていかなければなりません。しかし、共存しない場合は、お互いの毒物に対して感受性が異なっても不思議はないと考えられます。従って、アレロパシーも外来種が蔓延する原因の1つと考えられるようになりました。

ホウセンカの1種(Impatiens glandulifera)は、英国では、最も侵略性の強いものの一つですが、この近縁種であるキツリフネ(Impatiens noli-me-tangere)は数が少なく、絶滅危惧種です。これも化学物質に対する抵抗性の違いによるものと考えられます。 また、ヤグルマギクC. maculosaの在来生息地にいる土壌微生物は雑草の生長を抑制する効果が高く、侵略地である北米の土壌微生物は、C. maculosa自身の生長を高める作用が強いことが示されています。これらのことから、この外来種の侵略を北米で成功させた理由は、化学物質だけではなく、根圏の微生物相の違いも影響していると考えられています。(ドクトル・ミツイの生物学雑記帳/いきものの不思議より)

©2021 MUZVIT

 

(GKZ植物事典より)和名は、学名の音読みから。属名の Centaurea はギリシャ神話に登場する半人半馬のケンタロウスに因んでいる。ケンタロウスがこの草で矢傷を治したという話に因んでいる。種小名は「斑点のある」の意。

ケンタウレア・マキュローサーはキク科の多年草である。茎はあまり太くはならないが、直立し、上部で分枝をして横枝を長く張り出す。茎には細毛が散生する。草丈は30~100㎝程度となる。根生葉はロゼット状に地に張り付くように広がり、長さ12㎝、幅5㎝程度で羽状に深裂する。茎葉は狭楕円形~線形へと変化し、先端部は尖り、茎に互生する。茎葉の基部には小葉のような托葉がつく。5~7月頃、茎頂並びに枝先に径1,2㎝程度の花を付ける。総苞は卵形で、総苞片の先端部は毛深く黒色となる。(GKZ植物事典より)

 

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