Gちゃんとの初対面は強烈だった。1985年9月、厦門大学の宿舎でのことだ。
「お前、名前なんて言うの?」
「しらいし まき です」
「マキか いい名前だな これから マキって呼ぶよ」
初対面の人に「お前」と言える人はそうはいないだろう。そして、その日から今日まで彼の態度は変わっていない。私の方が日本式の挨拶(初対面では少しは丁寧な言葉で・・・)に囚われていたのだ。彼の方では初めから気取ることなく自分を晒し、「本音で付き合おう」という合図を送っていた。言葉の前に既に私を受け容れてくれていたのである。
翌朝、彼は葡萄酒(ダイナスティという高級白ワインだったかな?)の瓶をゴミ箱に捨てていた。到着した晩に、何を想いながら葡萄酒を空けたのだろうか。