猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

中村芝翫さん

2010年04月21日 | Weblog

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先日、NHKで83歳の中村芝翫さんが、出演していた。

東京の新歌舞伎座が建て替えのため休場となるので、「さよなら公演・実録先代萩」

に出演している話や「歌舞伎座とともに歩んだ80年の歴史」などを振り返って語って

いた。

中村芝翫さんは「父・五代目中村福助は私が5歳の時に亡くなり、その後は祖父の

五代目中村歌右衛門の手元で育てられたが、その祖父も12歳の時に没した。後ろ

盾のなくなった私に親代わりとなって」芸を教えてくれたのが昭和の名優、六代目尾

上菊五郎であった。」(21日日経朝刊より)

祖父が亡くなった時にはずいぶん苦労されたようだ。

それまでは「坊ちゃま」と読んでくれていた人が、祖父が亡くなった後は「小僧お

茶を持ってこい」というようになったとのことだ。

芝翫さんは「今になると、そう言ってくれた人がありがたく思う」と話していた

「苦労は買ってでも・・・」という諺があるが、これほど実践的な教育はない。

今の時代は、そういう厳しいことを言ってくれる人が少なくなった。

最も中村芝翫さんは謙虚で、学ぶ意欲が中途半端ではないからこそ、「厳しく言って

くれた人に感謝する」と言えたのだと思うが、それにしても「厭なことを言ってくれる人

が少なくなった」のも確かだ。

世の中が昔と違って複雑になってきているので、単純に「大人はもっと厳しくなろう」と

言うつもりはないが、少なくとも大人は「自分の子供だけでなく、世間の子供

達を育てる」という気持ちを持ち続けたいものだ。