宮澤賢治の里より

下根子桜時代の真実の宮澤賢治を知りたくて、賢治の周辺を彷徨う。

〔まあこのそらの雲の量と〕

2017年03月07日 | 10番稿
賢治が封印した詩稿群(「第三集 詩稿補遺」分)
   〔まあこのそらの雲の量と〕

   まあこのそらの雲の量と
   きみのおもひとどっちが多い
   その複雑なきみの表情を見ては
   ふくろふでさへ遁げてしまふ
   清貧と豪奢はいっしょに来ない

   複雑な表情を雲のやうに湛えながら
   かれたすゞめのかたびらをふんで、
   さういふふうに行ったり来たりするのも
   たしかに一度はいゝことだな
   どんより曇って
   そして西から風がふいて
   松の梢はざあざあ鳴り
   鋸の歯もりんりん鳴る
   きみ 鋸は楽器のうちにあったかな

   清貧と豪奢とは両立せず
   いゝ芸術と恋の勝利は一諸に来ない
   労働運動の首領にもなりたし
   あのお嬢さんとも
   行末永くつき合ひたい
   そいつはとてもできないぜ

     <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)>

《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。


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